NIKKOR-S・C Auto 50mm F1.4 (Ai改)を、Nikon F-501やF-301につけてみる ― 2008年07月17日 00時00分00秒
NIKKOR-S・C Auto 50mm F1.4 (Ai改)を買ったものの、外で試写できないでいる。作例はもう少しお待ちください。それで、仕方ないので夜な夜なカメラにつけてピントを合わせて遊んでいるのである(寂)。
それでNIKKOR-S・C Auto 50mm F1.4 (Ai改)は、改造Aiニッコールなので、ニコンF-501やF-301でプログラムAEが可能なのであった。F-501やF-301に装着してみると、AiレンズやAi-S(Ai AF含む)レンズだと、絞りリングがF11以上に絞られていないとカメラのファインダー内のシャッタースピードが表示されず△と▽が交互に点滅して絞りリングのセットを警告してくれる。これは絞りリングが絞られていないと、プログラムAEでカメラが絞りを絞りたくても絞りリングでセットされた絞り値が上限となってしまうからである。
ところが、改造Aiニッコールレンズだと、絞りリングがF11以上にセットされていなくても上記の△▽の警告は出ない。これは、AiニッコールレンズやAi-Sニッコールレンズ(Ai AF含む)と改造Aiレンズの違いに、開放F値連動ガイドの有無があるからだ。改造Aiニッコールレンズには開放F値連動ガイドがない。すなわち、絞りリングのAi連動はするが、カメラボディにそのレンズの開放F値がいくつなのかは伝わらないのである。
AiニッコールレンズやAi-Sニッコールレンズ(Ai AF含む)は、絞り値が開放から何段なのかという情報と、開放F値連動ガイドから得た開放絞り値とから、絞りの絶対値が分かるのである。だから、F11以上に絞られているかどうかがカメラ側に分かるのである。他方改造Aiレンズは、開放F値連動ガイドがないので、開放から何段かという相対値しかカメラには分からない。
それで、改造AiレンズでプログラムAEを使う場合はちゃんと絞りリングが最小絞りに絞られているかちゃんとチェックしないといけないのだ。また開放F値が分からないのにプログラムAEができることを不思議に思う方もおられると思う。これは、カメラが「F2・1/30秒」だと考えたとして、そのレンズの開放F値がF2.8であれば、絞りが絞られてミラーが上がる前に再測光して(瞬間絞り込み測光)、「F2.8・1/15秒」に修正することで適正露出になるようにしているのである。だから改造Aiレンズの場合、プログラムAEにセットしてカメラのファインダー内で表示されたシャッタースピードは目安に過ぎず、実際にはかなり違っている可能性がある。ただし、露出は適正ということになる。この瞬間絞り込み測光は、絞り羽根の動きがあやしい壊れたレンズでも適正露出になってしまうという優れているのか優れていないのかよく分からない機能でもある(笑)。
次にニコンF-501にNIKKOR-S・C Auto 50mm F1.4 (Ai改)を装着した場合のフォーカスエイドについて書いてみたい。F-501では開放F値F4.5以上の明るいレンズでフォーカスエイドが可能になっている。NIKKOR-S・C Auto 50mm F1.4 (Ai改)を装着した場合、Ai AF Nikkor 50mm F1.4Dよりもフォーカスエイドで合焦を示す範囲が広い。F-501にはFM3A用のK3スクリーンを入れているので、真ん中にスプリットプリズムがあるのだが、それがずれていても合焦マークが点灯したままである。Ai AF Nikkor 50mm F1.4Dや他のレンズの場合は、スプリットプリズムでピントのズレが分かる場合には、フォーカスエイドの合焦サインも非合焦の△がついている。しかし、NIKKOR-S・C Auto 50mm F1.4 (Ai改)に限っては、F-501のフォーカスエイドはあまり当てにならない。他方ニコンF100のフォーカスエイドの場合は、そういうことはなく他のレンズと同じように合焦サインが点く。F100の場合はファインダー倍率が低いしスーパーインポーズ用のスクリーンが入っているからか、逆にファインダースクリーンでのピントが肉眼でわかりにくく、フォーカスエイドの方が正確っぽいという問題があるのだが(苦笑)。
というわけで、早く外で試写したいぜ…。試写のボディはF100の予定。というのはフィルムはISO100のフジのセンシアIII(RA III)を使う予定なのだが、日中に絞り開放付近で撮りたいからだ。私の持つ他のニコンボディは最高1/2000秒までしかシャッタースピードがないので、ここは、1/8000秒まであるF100で試写することにしたのだ。ファインダーがアレなのでDK-17Mも装着する。
写真は、左:NIKKOR-S・C Auto 50mm F1.4 (Ai改)、右:Ai AF Nikkor 50mm F1.4D。
露出計連動ガイドが、Ai方式の中心機能。この切り欠き部分がボディの露出計連動レバーに当たって、絞りリングが開放から何段にセットされているかを検知する。
開放F値連動ガイドは、非CPUレンズでもプログラムAEが可能なボディで、開放F値と上記の絞りリングが開放から何段にセットされているかの情報と合わせて、絞りリングのセットされている絶対値を知ることができるものである。AiやAi-Sレンズには開放F値連動ガイドがあるが、改造AIレンズにはない。Aiレンズなのか改造Aiレンズなのかは、この開放F値連動ガイドの有無で判断する。
レンズタイプ識別ノッチは、AiレンズなのかAi-Sレンズなのかの識別に利用する。AiレンズとAi-Sレンズとでは、絞り連動レバーの動きと絞り値との関係が違うので、絞り連動レバーから絞りを制御したときに誤差がでる。Ai-Sレンズの方が絞り連動レバーの動きと絞り値との関係がリニアで、Ai以前のレンズは絞り値が大きくなるに従って絞り連動レバーの動く距離が小さくなっている。その違いを識別してボディ側からの絞り値制御の誤差を少なくするためにある。
焦点距離識別リッジは、135mm以上か135mm未満かを識別するためにある。ニコンFAやF-501ではプログラムAEが「標準」と「高速」の2タイプあって、自動切り替えの場合135mm以上の焦点距離のレンズには高速プログラムラインが適用される。そのための識別リッジ。F-501では手動でプログラムラインを切り替えることも可能。F-301は、自動切り替えはなくて、手動でのプログラムライン切り替えのみ。F-301では焦点距離識別リッジの情報は使っていないことになる。FAは自動切り替えのみ。なお、ズームレンズの場合、長焦点側が135mm以上であれば135mm以上としての焦点距離識別リッジが備わっている。また、AI-Sテレコンバーター(TC-201S、TC-301S、TC-14AS、TC-14BS)も135mm以上としての焦点距離識別リッジを持っている。
と、まあよくも機械的な連動でこれだけの情報を伝えようとしたものだと感心してしまう。これだけのレンズ側の情報をフルに活用しているボディは少ない。いまならCPU内蔵チップに入れて電気的にやりとりすれば済むからなぁ。
【関連追記:2008年7月25日】
・NIKKOR-S・C Auto 50mm F1.4 (Ai改) ゲット! ― 2008年07月14日
・Nikon FA、F-301、F-501、F4で使用できない改造Aiニッコールレンズ ― 2008年07月16日
・NIKKOR-S・C Auto 50mm F1.4 (Ai改)の作例 ― 2008年07月25日
【関連追記ここまで】
最近のコメント