アサヒカメラ50mm特集「最新50mmレンズに迫る」2009年01月22日 00時00分00秒

アサヒカメラの2009年2月号は50mm特集だった。ひとつは「最新50mmレンズに迫る」で、もうひとつは「MFニッコール50ミリレンズの描写力」だ。そのうちの「最新50mmレンズに迫る」では、ニコンのレンズではAF-S NIKKOR 50mm F1.4GとAi AF Nikkor 50mm F1.4Dが取り上げられている。

そして写真家の赤城耕一氏が、ニコン映像カンパニー開発本部第二設計部第二設計課副主幹の小濱昭彦氏に、AF-S NIKKOR 50mm F1.4Gについてインタービューしている。

新50ミリF1.4開発者に聞く
「50ミリはニッコールの顔」

―設計を変えたのはデジタル一眼レフの影響ですか?

それもあります。硝材やコートの変更、AF化などをしても、32年間基本は同じでした。今回超音波モーターを搭載しようということになり、新設計になりました。

―絞りリングがないのは残念でした。

苦渋の選択でしたが、メカが入ると、そのぶん光学設計の自由度が下がってしまいます。写りを優先しました。ただ、MFリングのトルク感などはこだわっています。

―レンズは増えましたね。

この一枚増が、かなり利いています。コマ収差などもかなり改善しています。MTFでも向上していますし、絞ったときの性能もよくなっています。非球面レンズを使えば無限遠の性能が向上しますが、近距離の性能が犠牲になりがちです。フローティング機構で改善できますが、ボケに悪影響が出ることがあります。今回は全体繰り出しでバランスをとりました。

―ナノクリスタルコートを採用しなかったのは?

もともとゴーストのでにくいレンズ設計にしましたし、今回使ったコーティングでもナノクリスタルコートの場合とあまり違いません。また、標準レンズなので、高価格にしたくなかったというのもあります。50ミリは会社の顔、しいてはニッコールの顔のレンズですからね、。実は私がニコンに入社したのは、50ミリのF1.4を設計したかったというのも理由の一つなんです。「けっして顔を汚してはいけない」と思いながら設計しました。

(アサヒカメラ2009年2月号99頁)

はじめにAF-S化ありき

絞りリングを無くすとその分光学設計の自由度が高まるというのだが、実際にこのAF-S NIKKOR 50mm F1.4Gで絞りリングの部分がそんなに光学系と干渉しているのだろうか。50mm F1.4Dの方は最大径が64.5mmなのに対して、50mm F1.4Gの方は73.5mmとなっていて9mmも径が太くなっている。これに絞りリングを付けるともっと太くなるというのだろうか。光学系の各レンズの直径はDタイプに比べてそんなに大きくなっていないようだから、この径が太くなった部分には何が入っているのだろう。光学設計の自由度というよりもAF-Sの超音波モーターとM/Aモードのための機構が入っているんじゃないのだろうか。前玉が奥まっているというか鏡筒が光学系よりもかなり長いのもそれと関係しているように思える(F1.4Dは長さ42.5mm、F1.4Gは長さ54mm)。光学設計を優先したら絞りリングを入れられなくなりました、というのとは違うように思う。最初からAF-S化が決まっていて、そのために鏡筒が大きくなるので絞りリングは優先順位が低かったのではないか。光学設計の自由度を絞りリングをなくした理由にするのはちょっと違うのではないか。はじめにAF-Sありき、だったのだと思う。絞りリングは「うまく付けられれば付ける」ぐらいの位置づけだったんじゃないか。

「ニッコールの顔」に絞りリングのないことの意味

また、「50ミリはニッコールの顔」だと言っているのだが、だからこそこのレンズに絞りリングのないことが不満なのだ。ニッコールの顔のレンズに絞りリングがないということは、ニコンは今後はもう絞りリングなんて無くしてしまえと言っているのだと私は解釈した。だからもうニコンの新製品は買う気がしなくなった。次のボディは非CPUレンズで露出計が作動するのだろうかAi連動は付いているのか、次のレンズは絞りリングはあるのだろうかなどと心配するのが嫌になったのだ。絞りリングのある中古レンズで楽しめば余計な心配はしなくて済む。

全部のレンズを併売するのか?

ニコンは今後単焦点レンズをAF-S化するたびに絞りリングをなくしてそのかわり現行のDタイプレンズを併売するのだろうか。なんとコストの掛かることか。いや、そうではないだろう。50mmは特別に併売したが、他の常用焦点距離のAF単焦点レンズをAF-S化したときには、従来のAFレンズは生産終了にするのが常識的な考え方だろう。

レンズにはレンズ単体で絞りを変えられる絞りリングが必要だ

なお、私がレンズには絞りリングが必要だと考える理由は、
ニコンは絞りリング無くすな!赤城耕一先生万歳! ― 2008年12月22日
AF-S NIKKOR 50mm F 1.4 Gに絞りリングがなかったので思うこと ― 2008年09月25日
を参照。

ニッコールレンズの絞りリングの件は書いていてもう嫌になってくるので、記事にするのはこれが最後だと思う。もうひとつの特集の「MFニッコール50ミリレンズの描写力」の方が楽しそうだ。

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