踏みにじられた教育基本法審議 安倍アナクロ強権政治の誕生(立花隆)2006年11月21日 00時00分00秒

踏みにじられた教育基本法審議 安倍アナクロ強権政治の誕生(立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス:日経BP)

強行採決にいたる以前の、一見もっともらしい審議が積み重ねられていたかに見える部分についても、地方公聴会のプロセスで、実は政府側がお金をバラまき、ヤラセの質問をさせるなどしていたことが国会でバクロされた。民意を直接に問う民主的な手続きだったはずの公聴会が、民主主義とはほど遠い、見せかけだけの民主主義で、実は官製のサル芝居プロセスだったことがバラされてしまったのである。

その問題が国会の場で追及されようとしたまさにそのときに、15日の強行採決に次ぐ、強行採決となったわけだ。

いったい政府は何をそんなに急いでいたのか。それほど急いで採決する必要がどこにあるというのか。

【教育の理念を変更する理由はどこにもない】

安保条約のときは、安保条約の国会通過に合わせてアイゼンハワー米大統領が来日することが決まっていた。それに合わせての強行採決だった。

だが、今回の強行採決はいったい何のためだったのか。そのような日限を決められた重要日程は何もない。

教育基本法が安倍新内閣の最重要法案というなら、何よりも審議を十分に尽くすべきではなかったのか。

子供たちの自殺の問題、いじめ問題、学力低下問題、高校での必修課目未履修問題等々、日本の教育に問題が山積していることはよくわかるが、それらの問題と、教育基本法はまるで結び付きがない。 教育基本法は、まさに「基本法」そのものであって、教育というのは、そもそも何をどうすることをいうのかなど、教育の基本的な理念を論じた「理念法」である。高度に抽象的な思想的内容の法律である。日々の教育に具体的にどのような内容を盛り込むべきなのかなど、具体的条目をテンコ盛りにした学習指導要領のような「具体的コンテンツ法」ではないのである。

現行教育基本法の理念の部分は、世界のどこに出しても恥ずかしくないような立派な理念がきちんと盛り込まれており、その内容に、昨日、今日、明日でバタバタと改変しなければ困るような部分は一切ない。

強行採決に次ぐ強行採決をしなければならないような特段の事情は何もない。

教育基本法を改正する必要はないということと、なぜ安倍内閣が教育基本法を改めたがっているかについては、立花隆氏が朝日新聞2006年11月6日(月)東京本社版夕刊1面に詳細に書かれている。これがWebにアップされるのを待っていたのだが、強行採決されてしまってそちらの方に重点が置かれた記述になってしまった。残念。

【関連】
教育基本法改正案 このままでは反対です(日本弁護士連合会)

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