Ai AF Nikkor 60mm F2.8Dの最小絞りはF32?F54?(追記あり) ― 2007年02月26日 00時00分00秒
今日も日本カメラからのネタですまん。表題のAi AF Nikkor 60mm F2.8Dの最小絞りはF32?F54?に関して、今月の日本カメラ2007年3月号に不思議な記事を見つけた。
レンズの絞りは小さいほどよいが、通常の絞りはF32までしかない。F32だと絞りが足らないことが多い。色々と調べた結果、富士フイルムS3プロにニッコール60ミリマクロを付けるとF38・F45・F54まで使えることがわかったので(メーカー確認済み)、現在はこの組み合わせで便利に使っている。
日本カメラ2007年3月号92ページ「水滴写真のつくりかた」渡辺利彦氏
Ai AF Nikkor 60mm F2.8Dは持っていないのだが、ニコンの絞り制御はバネの力で絞り羽根が絞り込まれる構造になっている。レンズ単体では絞り込まれる方向に力が掛かっている。最小絞りに絞りリングがセットされていると、レンズ単体では最小絞りにセットされる。中間の絞りに絞りリングをセットすると、絞り羽根はもっと絞る方向に動きたいのだが、リングに制限されて、指定の絞りまでしか絞られない。ボディ側で絞りを制御する場合もこれと同じで、最小絞りにリングをセットしておいて、絞り連動レバーを目一杯動かすと最小絞り、途中までしか動かさないと、その途中の絞りまでしか羽根が絞り込まれないという仕組みだ。
それが、絞りリングがF32までしかないレンズでどうしてF54まで絞られるのかがわからない。レンズ単体でF32までしか絞れないのに、どうしてFinePix S3Proのボディ側からF32を超えて絞れるのだろう。メーカー確認済みというが、ボディの富士フイルムに確認したのか、レンズのニコンに確認したのか気になる。
あるいは、Ai AF Nikkor 60mm F2.8Dは等倍時にF32よりもF値が暗くなるのを絞りを開くことでF32を維持するような仕組みを持っているのだろうか。その仕組みをボディ側から解除する、と。それか、ボディ側が絞りを維持する設定になっているのを(繰り出すあるいはズーミングにつれて、絞り連動レバーを開ける方向にずらす)のを解除する(これだとほかのレンズボディでもできる機種がある)。それらならわかるが、無限遠時にF32までしかないレンズでF54まで絞れるのだとすれば、どういう原理でF54まで絞れるのか知りたい。これは、Ai AF Nikkor 60mm F2.8Dと富士FinePix S3Proとの組み合わせだけなのか。他のレンズやボディではどうなのか。なんか色々と気になる記事だ。
【追記:2007年2月27日】
昨晩、MANA様とBlackCrane様からコメントをいただき考えた結果、この渡辺利彦氏は、どのレンズでも全群繰り出す方法でマクロ撮影をすると実効F値が大きくなる(暗くなる)ことを知らないで書いているという結論に私は達した。ボディ側から絞りを制御するニコンボディにDタイプのマイクロニッコールを付けると、繰り出して実効F値が大きくなるとカメラ側のF値表示も大きくなる。それを何か特別のことだと勘違いしているようなのだ。実効F値を表示するのは特別の機能だが、実際に実効F値が大きくなっているのは、このレンズやボディの特別の機能ではない。どのレンズでも全群繰り出せば実効F値は大きくなるのである。
http://www.nikon.co.jp/main/jpn/profile/about/history/nikkor/n18j.htm
例えばニコンF3ボディにAi AF Micro Nikkor 60mm F2.8Dレンズをつけて等倍になるように繰り出した場合、絞り表示がレンズの絞りリングのF32のままであっても、実効F値はF32ではなくF54なのである。これは、Ai Nikkor 55mm F2.8に接写リングをつけようが、Ai AF Nikkor 50mm F1.4Dをベローズにつけて等倍にしようが、絞り2段(4倍)近くの露出倍数が掛かるのは同じだ(フォーカシング方式やレンズの最小絞りによってF値の違いがある)。ちなみに手元のMacro Apo-Lanthar 125mm F2.5SLは最小絞りがF22までしかないが、等倍時には露出倍数が4倍(説明書に明記)で実効F値はF44になる。
日本カメラの同記事末尾によると、渡辺氏は1937年生まれで元ペンタックスの社員で1980年からフリーで日本写真家協会会員なのだそうだが、TTL測光以外の方法でマクロ撮影をしたことがないのだろうか。いや、TTL測光であっても繰り出すとファインダーが暗くなっていくことで、露出倍数が掛かることはわかるはずだ。「多数の写真クラブ講師をつとめる」とあるのだが、大丈夫なのか。私は、無限遠時にF32までしかないレンズをF54まで絞れる特別な機能があるのなら、中古でFinePix S3Proを買おうかと思ったぐらいだ(笑)。
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MANA様、BlackCrane様、コメントありがとうございました。
コメント
_ MANA ― 2007年02月26日 21時31分10秒
_ BlackCrane ― 2007年02月26日 21時44分01秒
私はAi AF Nikkor 60mm F2.8Dを持っていますが、私が持っているF100やD200でもこの様に表示されます。
中古で購入したレンズなので、最初使った時は故障しているかと思いましたが、調べてみたところ近距離撮影での露出倍数を自動的に行っているようです。
実際に使ってみると、被写体との距離が近くなるとF値が増えていくので、それは実感できます。
便利なようなお節介なような機能ですが、わざわざマイクロの名を与えているだけあって、こだわりがあるようです。
詳細は、ニッコール千夜一夜物語 第十八夜の最後のほうに分かりやすくまとめてありますので、そちらを参考になさると良いと思います。
http://www.nikon.co.jp/main/jpn/profile/about/history/nikkor/n18j.htm
_ Haniwa ― 2007年02月26日 22時00分24秒
ありがとうございます。
全群繰り出しのレンズを繰り出すと実効F値が暗くなるのは知っていましたが、それはレンズやボディに関係なくなることなので、あえてこの記事のように「この組み合わせで」と言っている以上何か特別なのかと不思議に思ったわけです。
BlackCrane様、はじめまして。コメントありがとうございます。
納得いたしました。ボディ側から絞りを制御するボディは繰り出しにしたがって実効F値を表示するのは知っていました。この記事の渡辺氏は繰り出すと実効F値が暗くなることを特別の機能だと思っているのかもしれませんね。BlackCrane様のご説明で氷解しました。
それにしても当たり前のことを変な風に書く人ですね、渡辺利彦氏は。
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http://www.nikon.co.jp/main/jpn/profile/about/history/nikkor/n18j.htm
ここの「ズームマイクロは意外に明るい」で言われていることとかが関連しているのでしょうか?
それとは関係ないのかな?別な話?