「思い出のネガを救いだそう」(アサヒカメラ2009年11月号) ― 2009年10月23日 00時00分00秒
今月のカメラ雑誌もつまらないので買うのをやめようと思ったのだが、アサヒカメラの2009年11月号はニューフェース診断室に富士フイルムのGF670Professionalが取り上げられているし、特集の「思い出のネガを救いだそう」が参考になりそうだったので購入した。また、ニューフェース診断室にフィルムカメラが取り上げられるのも今後そう多くはないだろうから…。
時間がないので詳しく取り上げられないのだが、一番参考になったのは以下の部分だ。
ポジとネガでは保存性が違うのだここで「実は、温度25℃で湿度50%以下という条件でも、今のポジカラーなら100年持ちますよ」と驚きの発言。ポジは、そのフィルム自体が写真の完成品ということで高い耐久性を持たせているという。一方のネガカラーは「悪条件ではポジの4分の1ぐらいの耐久性」という。
ポジは「写真」だけれど、ネガカラーは「あくまでプリントのための中間物」という考えだという。同じカラーフィルムというくくりで、なんとなく保存耐久性も区別なくイメージしていたが、実はポジとネガでは別物なのだ。しかし4分の1としても「温度25℃以下、湿度50%以下」で25年以上という数字になるので実用的には問題ない。
アサヒカメラ2009年11月号(第94巻第11号・通巻996号)153ページ
富士フイルム前嶋邦夫氏、文:まつうらやすし氏
あら、外式のコダクローム以外の内式ポジカラーの方がネガカラーよりも退色が早いのかと思っていた。実際にかなり前のポジフィルムが退色ですかすかになったという話を聞くし、ライトボックスのところにおいてあるサンプルのポジフィルムはひどことになってるし…。しかし、我が家では父親がリバーサル(ポジ)は8mmフィルムを除いて使っていなかったので、ネガカラーと同時代で比べたことはなかったのだった。ライトボックスの上のサンプルは論外の保存状況だし。以前のリバーサルフィルムと違って今のリバーサルフィルムでは耐久性(保存性)が向上しているのだろうし。
そうか、リバーサルの方が持つのか。そうだとするともっとリバーサルの撮影比率を上げなければ。まあ、ネガカラーの方はいつもアナログの同時プリントをしているのでプリントの方でも持てばいいのだが。この点、ケイジェイイメージング扱いでは同時プリントが原則的に存在しないコダックエクター100は、いいフィルムなのだが使いにくい。時間も他のネガカラーよりも掛かる。エクター100使うんだったら他のネガカラーかリバーサル使うわい。はやくケイジェイがエクター現像やめてくれないかなぁ。
私が常用しているカラーリバーサルフィルムの富士のセンシアはもともと学術用を意図していたものなので、現行品のセンシアIII(RA III)はデータシートに「色像保存性:新カプラ-の採用により,従来のリバーサルフィルムと比較して色像保存性(退色性)が飛躍的に良化」と書かれていて保存性をかなり意識している。
まあ、手元のネガカラーも25年ぐらいでは色が少し変わってはいるが像がなくなったりはしておらず、フィルムスキャナの退色補正(Digital ROC)の一番弱いレベルでなんとかなるぐらいなのだが。それに、「悪条件ではポジの4分の1ぐらいの耐久性」がどうして「『温度25℃以下、湿度50%以下』で25年以上という数字になる」のかよくわからない。「温度25℃以下、湿度50%以下」というのは「悪条件」じゃないでしょ。良条件だとどのぐらい耐久性に差があるのかについては富士フイルムは述べていない。このあたり意図的にリバーサルを使わせようとミスリードしている気配がある(笑)。「最悪どんな条件でも4分の1の保存性だとしても」ということなのだろうが別の意味に取られかねない表現だ。
記事にはほかにも保存の方法やフラットベッドスキャナでのダメージネガの補正の仕方などが載っている。ちょっとそこまで紹介する時間がない。フィルムスキャナではなくフラットベッドスキャナしか扱っていないところなんかスポンサーの影響ありありな感じが嫌だが(笑)。フィルムスキャナがもっと選択肢あったころからこういう記事を載せてくれればよかったのになぁ。
コメント
_ ノーネームしたん ― 2009年10月23日 23時24分07秒
_ kgr2007 ― 2009年10月25日 10時04分41秒
フィルム関連の豊富な話題が大変面白く、時々拝見させていただいてます。
急な話で恐縮ですが、イルフォードから100ft長巻が大量デビューする「かもしれません」。
というのも、今後の需要次第で正規販売するかどうかただいま試験販売中とのことで、現在は“サイバーグラフィクス社”でWeb販売のみだそうです。
先頃コダックがモノクロを縮小した矢先のことなのでちょっと驚きましたが、ISO50のPAN F PLUSやC-41処理のXP2Sまでも100ftを用意するあたり、その“やる気”はちょっと嬉しいです。
上記 サイバーグラフィクス社 か ILFORD PHOTO あたりで検索するとすぐ出てくると思いますので、まずはフィルムローダーのご用意を(笑)。
_ MANA ― 2009年10月25日 10時14分55秒
ニコンのフィルムスキャナは、費用対効果を考えると支払う値段じゃないし、OSのサポートが不安だし…結局、フラットベッドスキャナにしてみました。
手持ちの古いミノルタのフィルムスキャナよりも良いのかなと思います。やっぱり、デジタルは新しいのに限りますよね。今度、ちゃんと比べてみようと思っています。
ポジとネガの保存性の話、勉強になりました。
ちょっとした撮影&その場で配りたいなんていうときにはネガで、ちゃんとしたのはポジというのが正解なのかな…
_ maple ― 2009年10月26日 12時47分44秒
ネガ派としてはそれ言われると弱い(汗)
デジタルデータよりは「形として残る」けど、パッと見てわかるとは言いがたいしなあ。
先日曽爾高原にベルビアを持って行って、現像が返ってきたからスキャンしたのですが、へたくそが使うとネガと大して変わらないのかなあと感じて少なからずショック(泣)
GT-X970にしたらきれいになるのかなとか物のせいにしたりして。
_ Haniwa@m(_ _)m ― 2009年10月26日 16時50分32秒
_ SHIDA ― 2009年10月26日 23時23分43秒
ところで、今日とんでもないニュースをみました。「一眼カメラ」は「従来の交換式はレフ板で画像を反射させる構造から「一眼レフ」と呼ばれたが、新規格はレフ板をなくし、レンズから直接焼き付ける方式で、高画質と小型化の両立に成功した」ですって。
ttp://sankei.jp.msn.com/economy/business/091010/biz0910101800009-n1.htm
_ Haniwa ― 2009年10月27日 15時40分53秒
■ ノーネームしたん様
D200がでた頃なんかフィルムスキャナに見向きもしなかったのに、今頃になってこんな特集するなんて、という気持ちですね。それも、いまからフィルムで撮ってという前向きじゃなくて、過去に撮ったフィルムをどうのという扱いもどうもなぁ、という感じですね。編集者にスポンサーにへつらう気持ちはないのかもしれませんが、結果的にスポンサーに編集方針が踊らされているんですよねぇ。まあ、今後ますます気に入らない場合は雑誌買わないですし、記事にも取り上げませんから(笑)。
スリーブのダメージフィルムは、COOLSCANの場合は、ストリップフィルムアダプタSA-21でローディングせずに、スライドマウントアダプタMA-21にストリップフィルムホルダFH-3を使って挿入すれば大丈夫です。FH-3だけ別売ですが1500円ぐらいのものなのでCOOLSCANユーザーは買っておくのがいいと思います。
>ノラ猫がHaniwaさんの会社に”手”を回して、「彼(Haniwaさん)を忙しくさせるのだ!。」と、ノラ猫が嫌がらせを・・・・・。
あう、来週ぐらいにはなんとか片付けたいです。糞を、じゃなくて仕事を(笑)。
■ kgr2007様
はじめまして。コメントありがとうございます。
情報ありがとうございます。イルフォード万歳!\(^o^)/ですね。
https://www.cybergraphics.co.jp/e-commex/cgi-bin/ex_disp_category.cgi?id=1050
本当にフィルムローダー用意しないといけないですね。
よく考えますと、フィルムを切ってパトローネに詰めるよりも長巻きで売った方がコストが少ないですよね。問題は長巻きを切って自分でパトローネに詰める人が少ないということですが。イルフォードのフィルムを使う人ならば、そういう使い方をできる人が多そうですから、このやり方でメーカーもユーザーも幸せになれるんでしょうね。
ILFORDはいまや貴重な超高感度フィルムDELTA3200 PROFESSIONALも出してくれていますので今後も頑張って欲しい会社です。
情報ありがとうございました。
■ MANA様
GT-X970ご購入おめでとうございます!\(^o^)/
古いミノルタのフィルム専用スキャナよりもいいですか。これはMANA様のブログに注目せねば。
私はGT-X970とGT-X770とで迷って結局X770を買ったのですが、X-770ではまだ1回もフィルムをスキャンしていません。中判カメラを買ったら使うと思うのですが、なかなか予算とものの巡り合わせがうまくいかなくて。
ネガの方がラチチュードが広いのでいいと思っていたのですが、保存性にそんなに差があるのならネガもスキャンしないといけないですね(いままではポジを中心にスキャンしてました)。うーん、これは大変。だったら最初からデジタルで撮った方が…。でもフィルムで撮るのが好きなんですよねぇ。プリントも好きですし。
■ maple様
ネガはたしかにぱっとみてわかりにくいですが、デジタルデータよりは何かが見える分マシだと思います。CD-RなりHDDなりがごろんと出てきた場合にその中身をその場では確認できませんから。
ベルビア、難しいですか。低感度だと色々制約がありますからねぇ。私もネガですが、インプレッサ50でなんども痛い目に遭いました。私もベルビアに挑戦してみます。選択肢があるうちにいろいろ使ってみなければ。
>GT-X970にしたらきれいになるのかなとか物のせいにしたりして。
そうして皆さん、経済に貢献していくのです(笑)。わたしも別にシグマの28mm F1.8で十分だと思いつつ(逆光でアレですが)、ディスタゴンとか手を出してしまうのです…。
■ SHIDA様
良条件ですよね。夏に摂氏25度以下なんて私の今まで住んだところではどこも無理です。
普通の室内というか押し入れの中でカラーネガが45年ぐらいもっています。リバーサルは8mm映画ですが、50年ぐらいはもっています。モノクロはもっともっています。ただ、劣化がないとは言えません。きれいな部分もありますが、変色退色の激しいものもあります。モノクロも銀ぎらしてきているものが多いです。銀ぎらは私がこどもの頃からそうでしたから、私はモノクロフィルムって銀ぎらしているものと思っていましたが、その頃既に劣化していたのかもしれません。
産経新聞にはカメラマンがいないんでしょうか(笑)。記者は写真を撮らないんでしょうか(笑)。デスクは記事に目を通さないんでしょうか。校閲部はなにをしているんでしょうか。
うちにあるカメラは皆、「レンズから直接焼き付ける方式」の新企画ですね(笑)。家に昔からあったカメラもみんな「レンズから直接焼き付ける方式」です。焼き付けるときに「レフ板」(笑)が待避して「レンズから直接焼き付ける方式」のカメラもあります。ニコンで言えばF3H、キヤノンEOS-RTやEOS-1RSが「従来の方式」なんでしょうね。しかし、「レフ板」の使い方とか用語を知らなさすぎですね。
マスコミの一角ですらこんな感じだから、パナソニックは「一眼」で消費者騙せると思ったんでしょうね。うちにあるカメラは古いものも含めてみんなパナソニックのいう「一眼」ですよ。レンズから直接焼き付けています(笑)。しかし、デジカメで「焼き付け」たら困るんじゃないのかなぁ(笑)。1枚しか撮れないじゃないですか。そうか、撮像素子が1枚撮ったら次の撮像素子に入れ替わるんだっ。これだったらフィルムカメラに内蔵してデジタル化できますね。さすがパナソニック、何歩も先を行っています(笑)。135のパトローネに入った撮像素子がパナソニックから出る日を待ちます(笑)。
情報ありがとうございました。
_ JP ― 2009年10月31日 09時51分13秒
メモリーカードもディスクもハードディスクも、100年はおろか25年も持ちますまい。
写真に価値を見出す気持ちが強ければ、大切な写真ほどフィルムですよ。
でも、JPEG、RAWが現行の主流は間違いないのでハイブリッド使用がベストなんでしょうね。
_ Haniwa ― 2009年11月02日 16時30分21秒
仰るとおりだと思います。それで家族や親戚の写真は絶対にフィルムです。じゃ、Haniwaにデジタルで撮られた人はどうでもいい人なのかっ!と言われると困りますが(笑)。
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某スポンサーメーカー様マンs・・・・・・、いや・・そんな事出版社の中でやってないと思いますが、フラットヘットスキャナの方がフイルムだけでなく、他の物(Haniwaさんの会社の、Haniwaさんが””どうでも良い””と思ってる重要書類とか(泣))もスキャンできますから(当たり前ですが)、普及率からいえばフラットヘットスキャナの方が読者が参考になるかなーぁ、という優しい配慮で・・・、状態の悪くなったフィルムは(しわとか、切れたりした物)、機械の中で詰まったりしないフラットヘットの方が安心かも・・・。
>逃避中
ノラ猫がHaniwaさんの会社に”手”を回して、「彼(Haniwaさん)を忙しくさせるのだ!。」と、ノラ猫が嫌がらせを・・・・・。