コダックアラリス、Kodak映画用フィルム(ECN-2プロセス)の非正規再生品について注意喚起 ― 2019年06月11日 00時00分00秒

コダックアラリス、Kodakフィルムの非正規再生品について注意喚起(デジカメWatch)なのだそうだ。
立て続けにフィルム関連のニュースとは、すごいですな。デジカメWatchもフィルム関連のニュースを普通に扱うようになって、いまやカメラ関係の中心メディアになっているのかもしれない。
さて、コダックアラリスの注意喚起の中身は、以下のようだ。
コダック アラリス ジャパン株式会社は6月5日、「KODAKロゴ入り35mmフィルム非正規再生品に関するご注意」をWebサイトに掲載した。
中国のオンラインショッピングサイトで流通しているKodakロゴ入りの35mmフィルム(非正規再生品)は、35mmパトローネに「Kodak 5207 / VISION 3 Color Negative Film / Process Kodak ECN-2」と記載された、あずき色のラベルが貼られているのが特徴だという。
これは映画用のKODAK VISION3フィルムを使用済みパトローネに詰めたもので、写真用カラーネガフィルム向けのC-41現像処理を行うと、フィルム背面のバッキング層が剥がれ落ち、現像液の交換および現像機のラック洗浄が必要になる場合があるという。
なお、KODAK VISION3フィルムを現像するためのECN-2プロセスは、日本国内の通常の現像所では受け付けていないという。
これは、消費者側からすると、日本国内では普通に現像するところが見つからないという被害で済むが、現像を受け付けたラボ側からすると「C-41現像処理を行うと、フィルム背面のバッキング層が剥がれ落ち、現像液の交換および現像機のラック洗浄が必要になる場合がある」という甚大な被害が出るものだ。"Process Kodak ECN-2"と書いてあったら絶対にC-41処理してはいけないということですな(分かった上での自家現像除く)。
調べると、ECN-2処理のネガフィルムの「フィルム背面のバッキング層」というのはカーボン層のようだ。間違えてC-41の現像機に入れたらカーボンまみれになるのか。大変だな。
しかし、中国でECN-2処理のこういうフィルムが普通に売られているということは、中国ではECN-2処理の現像が簡単に得られるということなのかねぇ。中国では映画フィルムの現像がまだまだあちこちでなされているのだろうか。もっとも、ECN-2処理ができるといっても、こんな35mmフィルムの36枚撮りみたいな短いフィルムは、映画用の現像機ではつなげて長くしないと現像できないかもしれない。まあ、短いフィルムでもそれがたくさん集まって来ればそれでいいのかもしれない。ECN-2処理の現像機を遊ばせておくのが勿体ないから、こんな詰め替えフィルムを売っているのかもしれない。なんか現地の事情を調べたくなりますな。
あと、レンズ付きフィルムでも同様にECN-2処理の映画用"Kodak 5207 / VISION 3 Color Negative Film / Process Kodak ECN-2"を詰め替えたものがあるので要注意とのこと。
KODAKロゴ入り35mmフィルム非正規再生品に関するご注意(コダック アラリス 2019年6月5日)
KODAKロゴ入りレンズ付きフィルム非正規再生品に関するご注意(コダック アラリス 2019年3月27日)
Processing KODAK Motion Picture Films,Module 7 Proces ECN-2 Specifications(PDF)
アメリカのニュージャージーに連絡先を置くfilmphotographystore.comというところでも、VISION 3フィルムの詰め替え品を売っているようだ。
35mm Kodak Vision 3 Film
なお、上記販売サイトにはアメリカ国内でECN-2現像をしてくれる3箇所のラボ(Little Film Lab(California) ,The Camera Shop (Minnesota) ,Old School Photo Lab (New Hampshire) )が書かれている。なお、執筆時現在littlefilmlab.comのサーバーからは応答がないようだ。
コメント
_ ノラ猫軍将軍山本ミケ六 ― 2019年06月11日 14時19分46秒
_ みっち ― 2019年06月11日 14時43分44秒
でもこの記事、ECN-2プロセスを必要とする映画用フィルムって、どーいうものなんだか、ひと言説明しておいてくれたら、よかったと思うんですけどねぇ。これだけだと、無知な現像所にカーボンまみれテロを仕掛けている奴がいるのか、と勘違いされかねないです。(笑)
このバッキング層(Rem-jetと呼ぶ)は、ハレーション防止、静電気防止、潤滑と保護用らしいです。なぜスチル用にはなくて、映画用にあるのか、というと映画用はフィルムの走行速度が速いので、静電気防止が不可欠だから、とのこと。そう言われると、なんか納得ですねぇ。
なお、除去処理は、現像前に、炭酸ナトリウムの水溶液で軽く洗うだけのようですから、たいしたことないですなぁ。国内でも、どこかでやってくれないですかね。
_ Haniwa ― 2019年06月17日 12時57分27秒
■ ノラ猫軍将軍山本ミケ六閣下
>何も考えないで販売してるんでしょうね…、
>あっちで現像してくれるようにちゃんとしてくれてるなら良いのでしょうけど…、そういう事もなさそう…。
まあ、自分の環境では現像可能だからよそでも普通と思って売っているのかもしれませんね。ちゃんとECN-2だとシールを貼っているだけマシかもしれません。
>しかしすごい罠だなぁ。
バイト君が気づかずにC-41ミニラボに投入してラボ機終了なんてなりそうでこわいですね。
■ みっち様
>でもこの記事、ECN-2プロセスを必要とする映画用フィルムって、どーいうものなんだか、ひと言説明しておいてくれたら、よかったと思うんですけどねぇ。これだけだと、無知な現像所にカーボンまみれテロを仕掛けている奴がいるのか、と勘違いされかねないです。(笑)
そうですね、そこは「デジカメWatch」なので(笑)。
でも、いまは写真関係の中心メディアになっているので、もう少し突っ込んだ記事内容でもよかったかもしれませんね。記者の中にはフィルム愛好者も多いようですし。
>このバッキング層(Rem-jetと呼ぶ)は、ハレーション防止、静電気防止、潤滑と保護用らしいです。なぜスチル用にはなくて、映画用にあるのか、というと映画用はフィルムの走行速度が速いので、静電気防止が不可欠だから、とのこと。そう言われると、なんか納得ですねぇ。
ということは、酷寒の地で機械式カメラに入れて使うのに向いているかもしれませんね。
>なお、除去処理は、現像前に、炭酸ナトリウムの水溶液で軽く洗うだけのようですから、たいしたことないですなぁ。国内でも、どこかでやってくれないですかね。
レンタルラボだと自分で除去処理をしてからラボ機に入れられますから、なんとかなるような気もします。しかし、ちゃんと除去処理をしていないで入れられたら大変なことになるので、私がレンタルラボの店主だったら禁止にしますね(笑)。
_ たけぴょん ― 2019年12月24日 01時15分55秒
昔は映画用の現像所でやってくれたんですけどね。
今はダメです。
映画用フィルムの現像器は1.5m毎に接続したフィムルの現像はトラブルの元だと(大友さんの元)。
簡単にはカラー印画紙用の現像液で何とかなります。
バッキングは水洗時に擦れば落ちます。
自分はECN2を自家処方してます。
参考までに。
_ Haniwa ― 2019年12月25日 19時00分56秒
コメントありがとうございます。
いまは短く切った映画用フィルムの現像はやってくれないんですね。
売った中国の会社が責任もって現像してくれたらいいのに…。
>簡単にはカラー印画紙用の現像液で何とかなります。
>バッキングは水洗時に擦れば落ちます。
>
>自分はECN2を自家処方してます。
ありがとうございます。もしこのフィルムを買ってしまったらそうさせていただきます。
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>甚大な被害が出るものだ
>日本国内では普通に現像するところが見つからないという被害で済むが
何も考えないで販売してるんでしょうね…、
あっちで現像してくれるようにちゃんとしてくれてるなら良いのでしょうけど…、そういう事もなさそう…。
しかしすごい罠だなぁ。