CRF250L整備あれこれ(2025年2月)2025年02月17日 00時00分00秒

Honda CRF250L(MD38)リアブレーキユニット整備後

今日はバイクネタだ。Honda CRF250L(MD38)の整備を着々と進めている。この時期の太平洋側は空気が乾燥しているので、吸湿性の高いブレーキフルードの交換に適している。また、ラジエタークーラント(冷却液)の原液を水道水で希釈する際に水道水の不純物が少ない時期なので向いている。また、一般には寒くて(あるいは積雪や路面凍結などで)バイクに乗らないのでバイクの整備をする時期だとされている。

私個人としては、この時期もバイクに乗りたいというか、関東地方南部はなかなか氷点下にはならないので、関東地方南部に限ってはむしろ暑い時期よりもこの時期の方がバイクに乗るのに向いているとさえ思っている。ということで、着々とCRF250Lの整備を進めている。

最初に整備しなければならないのは、ラジエタークーラント(冷却水)の交換だ。交換時期は4年とあるのに、交換を忘れていて5年経っていた。CRF250L(MD38)の指定クーラントは、ホンダウルトララジエーター液を30%に希釈したものだ。
Honda純正二輪車用メンテナンスケミカル | for ENGINE(エンジン系統)

それで、「ウルトララジエーター液 1L(原液)」を注文して届いたのだが、ドレンボルトのところのワッシャを注文し忘れていて、あとからWebikeに「HONDA 純正部品品番[90463-ML7-000] ワツシヤー,シーリング 6.5M」145円を他のものと一緒に注文した。注文した際はすべて在庫ありだったのだが、注文確認メールが1日遅れで来てひとつの商品が「入荷予定日:2025年02月18日 火曜日 から 2025年02月19日 水曜日」とかいてあった。「ああ来週の水曜か、待つか」と思っていたら水曜になっても来ない。よく見たらその時点で再来週の火曜か水曜日じゃん。

他の部品は確保されているのに、その部品が入らないために2週間も留め置かれている。その部品とは、STANLEY スタンレー電気 ストップランプ用電球 ブリスターパック 定格:12V 21W口金:BA15s (S25)入り数:2個入品番[No.5] だ。要するに、白熱球のダブル球で、このあいだブレーキ/テールランプをLEDに置き換える前の電球だ。これはフロントのウインカー(方向指示器)がポジションランプと兼用になっていて、LED化するとポジションランプを活かしたままにできるのか検索しても分からなかったので、予備の電球として念のために注文したのだ。【訂正】スタンレーのNo.5は、CRF250Lのリアのウィンカー(方向指示器)用電球だった。フロントは、耐震のダブル球で「No.69」だ。訂正します。【訂正ここまで】今すぐに必要なわけではない。注文したときのスクショを撮ってなかったので、注文時は在庫ありだったじゃないかと文句も言えない。

ヨドバシドットコムは取寄せ品でも発送前までならキャンセルできる。そのうえ、デフォルトで「準備出来た商品から発送」になっている。さらにヨドバシは送料無料だ。しかし、Webikeは、発送前でもキャンセルは出来ないし、まとめて発送になっている。これって、1つの商品が入らないために私向けに取り分けた商品をずっと保管しておかなければならないってことでしょう。もう1回分送料払うから既に確保した商品は送ってくれよ。効率悪すぎるよ。ということで、ラジエタークーラントの交換はまだできない。ワッシャの再利用でもいけるとは思うが、次に交換するのは4年後でそれまでは触らないので、ちゃんと新品ワッシャにしたい。

CRF250Lサービスマニュアル英語版(オーストラリア公開版)18-3スクリーンショット

次に、整備が必要なのはブレーキフルードだ。フロントのブレーキフルードはリザーバータンクの窓から見た感じではまだ茶色になっていないのでいけそうに見える。しかし、リアのブレーキリザーバータンクを見るとかなり茶色い。これはもう前後ともフルードを交換した方がよい。

ブレーキフルードは空気抜き(エア抜き)をしなければならないので面倒くさいと思っていたが、キジマ ブレーキオイルチェンジャー105-305 ― 2017年03月16日で紹介したものを使うと簡単にできた。注意する点は、CRF250Lのフロントブレーキリザーバータンクの吸い込み口が思ったよりも高い位置にあって(吸い込み口がドーム状になっている)、継ぎ足しをしようと思っているうちにつーっとブレーキフルードが吸い込み口以下になってしまい、空気(エア)が入ってしまうことだ。縦長のリアのリザーバータンクと違って横長で深さもないので、空気が入るリスクはフロントの方が高い。一旦ブレーキ側のドレンボルトを締めてからリザーバータンクに継ぎ足すようにすればよいと気づいたが、既に空気が入ってしまった(泣)。ブレーキレバーの感触がタイトになるまで根気よく空気を抜く(エア抜きする)はめになった。

交換したブレーキフルードは、CRF250L指定のHonda純正ブレーキフルードウルトラBF DOT4だ。

交換の目安

初回は3年、2回目以降は2年ごとの交換となります。 ブレーキフルードは吸湿性があり、劣化すると水分が混入し、水分の沸騰により気泡が生じてブレーキが効かなくなるベーパーロック現象などを起こす可能性があります。また、長期間の使用による劣化はブレーキのゴム部品などに悪影響を与えます。定期的に交換しましょう。

※詳しくは、車両本体の取扱説明書とメンテナンスノートをご確認ください。

ブレーキフルードはもっと頻繁に交換しなければいけなかったのか。「茶色くなってきたから」じゃ遅すぎる(泣)。

あと、ブレーキパッドやブレーキピストンやブレーキハンガーピン回りも掃除したかったのだが、ホンダCRF250Lは整備性が悪い。ブレーキ回りを分解するためにはブレーキをフロントフォークに止めているボルト2本を外さなければならないのだが、そのボルトが再利用不可で、外すたびに新品にしなければならない(ボルトには緩み止めのゴムのようなものが塗布されている)。前回フロントブレーキホースに傷を付けて交換した際(KTC トルクレンチ デジラチェGEK060-R3 ― 2018年02月20日)にはそのボルトも注文して新品交換したが、【追記】そのときにボルトを新品にしたと思ったが記事を読んだら書いていない。その後の別の時期だと思う。【追記ここまで】その後、ブレーキダストで汚れているフロントブレーキをなんとかしたいと思っても、ボルトを注文するのが面倒でずっと触らないでいた。今回ボルトを注文し忘れたが、面倒なので、再利用するつもりでブレーキもフロントフォークから外して掃除した。ただし、ブレーキピストンやシーリングは外さなかった、見えているところのブレーキダストを拭き取ったり歯ブラシで磨いた。

一番気になっていたのは、ブレーキのハンガーピンのグリスアップだ。再利用不可のボルトのためにずっと分解しないでいた。今回外してみたら、上の方の黒い方はまだシリコングリスが残っていたが、下の方は、シリコングリスがほとんど残っていなかった。これではスムーズにブレーキが動かない。やっぱり分解してよかった。要するにホンダはブレーキを止めているボルトが緩むのが嫌でゴム塗布のボルトを毎回使用せよと言っているのだろうが、自分でここが緩んでいないか確認しながら頻繁にブレーキを手入れした方がいい。次からは気になったらブレーキを分解しよう。ブレーキフルードを交換しただけではブレーキタッチがタイトになっただけだったが、ブレーキピストン回りとブレーキハンガーピンのグリスアップをしたら、微妙なブレーキタッチができるようになり、ほんの少しのブレーキレバーの動きがブレーキに伝わるようになった。これが本来の動きのはずだ。ブレーキレバーの動きがリニアにブレーキピストンに伝わる感じ。少なくとも2年でブレーキフルードを交換して、そのときにボルトも一緒に交換すればよいだろう。それまでは気になったらブレーキを外して分解清掃だ。

問題はリアブレーキだ。サービスマニュアルに寄ると、リアブレーキは、ブレーキフルードを抜いて、ブレーキホースを外して、ブレーキパッドハンガーピンを外して、「後輪を外して」、やっとスイングアームから外れて分解できるらしい。ここで問題なのは「後輪を外して」だ。いや、ブレーキハンガーピンをグリスアップするのに後輪外すのか?以前乗っていたヤマハDT200R(3ET)のリアブレーキは、ボルト1本(再利用可能)を抜いて上の方にブレーキキャリパーを回転させてブレーキディスクから離すと手前に抜けるようになっていた。ブレーキホースに負担が掛らないようにうまくやれば、ブレーキフルードは抜かなくてよいし、もちろん後輪はそのままだ。だから頻繁にブレーキハンガーピンにグリスアップしていた。ブレーキハンガーピンは、ブレーキパッドとブレーキディスクが平行になって全面で当たるように自然と調節する重要な部品なのでここがスムーズでないと効き始めはブレーキが効かず、かなり押されてからやっとブレーキパッドがブレーキディスクに全面で当たるようになるので、カックンブレーキになりやすい。だから後輪をロックさせたりさせなかったりで方向をコントロールするのにブレーキハンガーピンは重要なのだ。CRF250Lは重たいバイクなのでDT200Rのように後輪ロックでターンとかしないけど(オレも歳を取ったし)。

それで、仕方なくCRF250Lの後輪を外す準備に入った。後輪を外すのだから、バイクはメンテナンススタンドに上げなければならない。RSタイチRSP104クイックスタンド購入 ― 2018年06月05日で報告した、RSタイチRSP104クイックスタンドでCRF250Lを上げる。

リアのアクスルシャフトナットを緩めて…と言いたいが、緩まない。一旦クイックスタンドを下げて後輪が地面に設置した状態でアクスルシャフトナットを緩める。後輪が宙に浮いた状態では、力が入らなくて緩まなかった。

またCRF250Lをクイックスタンドで上げるのだが、後輪を外すということはチェーンも外すということだ。チェーンを外すにはチェーンカバーも外さなければならない。チェーンカバーも外して、アクスルシャフトを抜く。しかし、アクスルシャフトを抜いてもチェーンは外れない。そりゃそうだ。チェーンが走行中に外れないように適切な弛み加減に調整してあるのだから。ということで、せっかく調整したチェーン調整ナットも緩めてチェーンを弛み状態にして、チェーンを外す。これでやっと後輪が外れた。ブレーキディスクやドリブンスプロケットがどこかに当たって曲がったりしないように後輪は安全なところに退避させる。

やっとリアブレーキユニットがスイングアームから外れる。ブレーキパッドハンガーピンを抜いて、ブレーキユニットを2つに分かれるようにする。これで2つのブレーキハンガーピンにご対面だ。リアの方はグリスは残っていた。ただ、黒く汚れているのできれいに拭き取って新しいシリコングリスを塗布してもとどおりに組む。

なお、前後のブレーキパッドの裏には念のためKITACOブレーキパッドグリスを塗布しておいた。銅の色をしたグリスだ。以前、フロントブレーキをブレーキクリーナーで掃除したらブレーキが鳴くようになったので買ったものだ。ブレーキパッドの裏に塗布するとブレーキパッドの鳴きがおさまった。以来、ブレーキパッドを外したときには裏面にこのKITACOブレーキパッドグリスを塗ってから組み立てるようにしている。でもちゃんと整備してあれば本来ブレーキは鳴かないものだと思う。特にブレーキハンガーピンのグリスアップがしてあれば鳴かないんじゃないかと思う。

それで、後輪をもとどおりに組むのだが、これが面倒くさい。なぜなら、後輪のアクスルシャフトを通す穴のところには左右にカラーが付いているのだ。ブレーキユニットをスイングアームの内側の定位置において、両側のカラーが落ちないようにしながらアクスルシャフト穴を合わせてアクスルシャフトを通さねばならない。手が足りないのだ。カラーを何回も落とした。スタンドで上げたバイクの後方に胡座をかいて、足でタイヤを上げながら左右のカラーが落ちないように気をつけながら、左手でアクスルシャフトをスイングアームの穴に通して…という曲芸のようなことをしながらなんとかアクスルシャフトを後輪とブレーキユニットの穴に通した。

さて、またチェーンをドリブンスプロケットに掛けて、チェーンラインを調整しなければならない。チェーンラインの調整には、CRF250L整備いろいろ ― 2018年06月19日で紹介したデイトナのチェーンアライメントツール品番72054を使った。話は逸れるが、CRF250L整備いろいろ ― 2018年06月19日のトップにある丹沢ホームの建物は、先頃亡くなられた原広司(建築家・東京大学名誉教授)氏の設計だ。
国民宿舎丹沢ホーム People's Lodge " Tanzawa Home "

原広司氏は、梅田スカイビルや京都駅ビルや札幌ドームを設計したことで知られる。隈研吾氏も山本理顕氏も原広司氏のもとで学んだようだ。

話が逸れたが、リアブレーキのハンガーピンをグリスアップするだけでこれだけの手間が掛かる。ヤマハDT200Rの整備性と比べてホンダCRF250Lの整備性は段違いに悪い。こんなんでホンダ系のバイク屋さんは仕事が捗るのか心配だ。それとも工賃が高く取れるから安泰なのか。謎だ。【追記】ここからの教訓として、CRF250Lは後輪を外す機会があったら、リアブレーキハンガーピンのグリスアップも同時にやれということだ。整備性悪すぎるので。なお、リアブレーキハンガーピンの指定グリスは信越化学のシリコングリスだ。【追記ここまで】

【追記】冒頭の写真を見ると、リアブレーキのピストンがあんまりきれいじゃないですな。リアブレーキユニットを外すのに後輪を外すのが面倒でそっちに気がそがれていて、ブレーキピストンの掃除を忘れていた。次の機会に掃除しよう。やっぱりCRF250Lの整備性悪すぎるよ。【追記ここまで】

あと、エンジンオイルは、指定が10W-30なのだが、0W-30のホンダウルトラG4をいつも使っている。いちどG3にしてみたが、吹け上がりがG4の方がよいのでまたG4に戻した。もしかしたらG3の方が燃費がよいかもしれない。とういうのもG4は吹け上がりがよいので、信号グランプリ(笑)で125ccのスクーター(これらのスタートダッシュは速い)に負けないように前に出たりしてしまうので(笑)。

ホンダウルトラG4は、2021年にリニューアルしてから、以前よりも常温での粘度が高くなって色も少し茶色くなった。リニューアル前は色は薄くて常温ではしゃぶしゃぶのオイルだった。性能は自分がCRF250Lに乗る分にはリニューアル前後では変わらないと感じる。ホンダウルトラG4は定価がものすごく高いが、実売価格はそんなに高くないので、偽物を掴まされない販売ルートで安いところを選んで買って欲しい。私はWebikeで買うことが多い。

なお、私は日本語版のサービスマニュアルをホンダドリーム店で高いお金を払って買ったが(Honda CRF250Lサービスマニュアル&パーツカタログ ― 2014年11月18日)、2023年までオーストラリアで英語版のCRF250L(MD38)のサービスマニュアルが公開されていたので、そのInternet Archiveのリンクを貼っておく。活用して欲しい。
http://web.archive.org/web/20230319073955/http://www.hondampe.com.au/docs/owning_a_honda/owners_manuals/motorcycles/62KZZ00_CRF250L13_OM.pdf

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