フィルムとデジタル撮影での被写界深度の違い(Ai Nikkor 20mm F2.8SとCOLOR-SKOPAR 21mm F4 P)2025年06月25日 00時00分00秒

【画像】Ai Nikkor 20mm f/2.8S(Ai Nikkor 20mm F2.8S)

COLOR-SKOPAR 21mm F4 Pを新品購入したら、前玉内側に傷があって交換してもらった際に、マウントアダプターの精度の問題やレンズの被写界深度表示に合わせても無限遠までピントが来ない問題(過焦点距離)など色々と悩んだ。
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上記リンク先の最後の記事にみっち様がコメントをくださり、以下のように解説してくださっています。

みっち ― 2025年06月06日 18時23分01秒

>荒野の故障ブログへようこそ(泣)…

おっ、流石はHaniwa氏!というところなんですが、ちょいと疑問があります。
というのは、無限遠でピントがちゃんと合っているレンズで、途中の距離目盛表示が大きく狂っているのって、そんな事ありうるのかなぁ、という疑問です。

そもそも、ここで云ってる被写界深度って、許容錯乱円径を0.033mmに取った場合の話だと思います。これで計算すると、焦点距離21mm、F8、距離2mでは、後方被写界深度は無限遠になります。でも、この0.033mmって、確たる科学的根拠に基づくものではなく、フィルム時代の話で、六つ切りだか四つ切だかの印画紙にプリントした画像を1mくらいの距離から視力健常な人が見てボケがない、とかが元になっていたような記憶があります。

一方デジタルでは、平気で等倍鑑賞しますので、この許容錯乱円径をいくつに設定するかは、かなり難しい問題です。フルサイズデジタルカメラで2400万画素ですと、だいたい画素ピッチは0.006mmくらいだと思います。許容錯乱円径を画素ピッチの2倍とすると、0.01mmくらいであり、上記条件での後方被写界深度は1mちょっとしかありません。これでは厳しすぎではないか、ということで許容錯乱円径を0.02mmとすると、後方被写界深度は5mちょいくらいです。

この問題は、昔から色々なサイトで議論されていたような。どこかに定説があるのかなぁ、まぁ、みっちが今思いつくのはこんなところです。

https://haniwa.asablo.jp/blog/2025/06/06/9780667#c9780707

みっち様ありがとうございます。

それで、CONTAX G用Biogon T* 21mm F2.8にはピントリングも距離指標もないので試せないが、Ai Nikkor 20mm F2.8S(Ai Nikkor 20mm f/2.8S)には、距離指標も被写界深度目盛りもあるので、2m・F8で試してみた。Rayqual LM-NZマウントアダプター + COLOR-SKOPAR 21mm F4 P ― 2025年06月06日でCOLOR-SKOPAR 21mm F4 P試した2m・F8とどう違うのか同じなのか。

【写真1_1】秋葉原・神田川(和泉橋から神田ふれあい橋方向を望む):Nikon Z6、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F8、絞り優先AE、1/200秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5810K)、マルチパターン測光、 マニュアルフォーカス(MF)、手ぶれ補正ON(ノーマル)、高感度ノイズ低減:標準、ピクチャーコントロール「オート」、手持ち撮影、FTZマウントアダプター、L37Cフィルター、フードなし、JPEGをリサイズ、ピントは「神田ふれあい橋」に合わせてある
【写真1_1】秋葉原・神田川(和泉橋から神田ふれあい橋方向を望む):Nikon Z6、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F8、絞り優先AE、1/200秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5810K)、マルチパターン測光、 マニュアルフォーカス(MF)、手ぶれ補正ON(ノーマル)、高感度ノイズ低減:標準、ピクチャーコントロール「オート」、手持ち撮影、FTZマウントアダプター、L37Cフィルター、フードなし、JPEGをリサイズ、ピントは「神田ふれあい橋」に合わせてある
【写真1_2】秋葉原・神田川(和泉橋から神田ふれあい橋方向を望む)【写真1_1】の中央部分をトリミング:Nikon Z6、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F8、絞り優先AE、1/200秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5810K)、マルチパターン測光、 マニュアルフォーカス(MF)、手ぶれ補正ON(ノーマル)、高感度ノイズ低減:標準、ピクチャーコントロール「オート」、手持ち撮影、FTZマウントアダプター、L37Cフィルター、フードなし、ピントは「神田ふれあい橋」に合わせてある
【写真1_2】秋葉原・神田川(和泉橋から神田ふれあい橋方向を望む)【写真1_1】の中央部分をトリミング:Nikon Z6、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F8、絞り優先AE、1/200秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5810K)、マルチパターン測光、 マニュアルフォーカス(MF)、手ぶれ補正ON(ノーマル)、高感度ノイズ低減:標準、ピクチャーコントロール「オート」、手持ち撮影、FTZマウントアダプター、L37Cフィルター、フードなし、ピントは「神田ふれあい橋」に合わせてある
【写真1_3】秋葉原・神田川(和泉橋から神田ふれあい橋方向を望む)【写真1_1】の左側をトリミング:Nikon Z6、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F8、絞り優先AE、1/200秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5810K)、マルチパターン測光、 マニュアルフォーカス(MF)、手ぶれ補正ON(ノーマル)、高感度ノイズ低減:標準、ピクチャーコントロール「オート」、手持ち撮影、FTZマウントアダプター、L37Cフィルター、フードなし、ピントは「神田ふれあい橋」に合わせてある
【写真1_3】秋葉原・神田川(和泉橋から神田ふれあい橋方向を望む)【写真1_1】の左側をトリミング:Nikon Z6、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F8、絞り優先AE、1/200秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5810K)、マルチパターン測光、 マニュアルフォーカス(MF)、手ぶれ補正ON(ノーマル)、高感度ノイズ低減:標準、ピクチャーコントロール「オート」、手持ち撮影、FTZマウントアダプター、L37Cフィルター、フードなし、ピントは「神田ふれあい橋」に合わせてある

ピントを「神田ふれあい橋」に合わせると、F8でも手前の「処方せん受付」のとこころまではピントは来ていない。ちなみにZ6のフォーカスピーキング機能では、F8に絞った状態では無限遠突き当てよりも少し手前の方がピーキングが強く表示されているし、拡大機能で見ても無限遠よりも手前にした方が鮮明なので、これらの写真はAi Nikkor 20mm F2.8Sの無限遠突き当てよりも少し手前になっている。

【写真2_1】秋葉原・神田川(和泉橋から神田ふれあい橋方向を望む):Nikon Z6、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F8、絞り優先AE、1/200秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5810K)、マルチパターン測光、 マニュアルフォーカス(MF)、手ぶれ補正ON(ノーマル)、高感度ノイズ低減:標準、ピクチャーコントロール「オート」、手持ち撮影、FTZマウントアダプター、L37Cフィルター、フードなし、JPEGをリサイズ、ピントはピントリングの2mに合わせてある
【写真2_1】秋葉原・神田川(和泉橋から神田ふれあい橋方向を望む):Nikon Z6、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F8、絞り優先AE、1/200秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5810K)、マルチパターン測光、 マニュアルフォーカス(MF)、手ぶれ補正ON(ノーマル)、高感度ノイズ低減:標準、ピクチャーコントロール「オート」、手持ち撮影、FTZマウントアダプター、L37Cフィルター、フードなし、JPEGをリサイズ、ピントはピントリングの2mに合わせてある
【写真2_2】秋葉原・神田川(和泉橋から神田ふれあい橋方向を望む)【写真2_1】の中央部分をトリミング:Nikon Z6、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F8、絞り優先AE、1/200秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5810K)、マルチパターン測光、 マニュアルフォーカス(MF)、手ぶれ補正ON(ノーマル)、高感度ノイズ低減:標準、ピクチャーコントロール「オート」、手持ち撮影、FTZマウントアダプター、L37Cフィルター、フードなし、JPEGをリサイズ、ピントはピントリングの2mに合わせてある
【写真2_2】秋葉原・神田川(和泉橋から神田ふれあい橋方向を望む)【写真2_1】の中央部分をトリミング:Nikon Z6、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F8、絞り優先AE、1/200秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5810K)、マルチパターン測光、 マニュアルフォーカス(MF)、手ぶれ補正ON(ノーマル)、高感度ノイズ低減:標準、ピクチャーコントロール「オート」、手持ち撮影、FTZマウントアダプター、L37Cフィルター、フードなし、JPEGをリサイズ、ピントはピントリングの2mに合わせてある
【写真2_3】秋葉原・神田川(和泉橋から神田ふれあい橋方向を望む)【写真2_1】の左側をトリミング:Nikon Z6、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F8、絞り優先AE、1/200秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5810K)、マルチパターン測光、 マニュアルフォーカス(MF)、手ぶれ補正ON(ノーマル)、高感度ノイズ低減:標準、ピクチャーコントロール「オート」、手持ち撮影、FTZマウントアダプター、L37Cフィルター、フードなし、JPEGをリサイズ、ピントはピントリングの2mに合わせてある
【写真2_3】秋葉原・神田川(和泉橋から神田ふれあい橋方向を望む)【写真2_1】の左側をトリミング:Nikon Z6、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F8、絞り優先AE、1/200秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5810K)、マルチパターン測光、 マニュアルフォーカス(MF)、手ぶれ補正ON(ノーマル)、高感度ノイズ低減:標準、ピクチャーコントロール「オート」、手持ち撮影、FTZマウントアダプター、L37Cフィルター、フードなし、JPEGをリサイズ、ピントはピントリングの2mに合わせてある

こうしてみると、Ai Nikkor 20mm F2.8Sで2m・F8にした方が被写界深度は深いのではないだろうか。COLOR-SKOPAR 21mm F4 Pの場合だと2m・F8だとどこにもピントが合っていない感じだったからだ。両レンズの像面湾曲がどれぐらいあるのかわからないので、真ん中と左側とで両レンズを比較して被写界深度が深いのか浅いのかを即座に判断することはできない。

しかし、今回のAi Nikkor 20mm F2.8Sだと、ジャストのピントにはなっていないが、鑑賞サイズによってはピンボケ判定にはならない感じだ。他方、COLOR-SKOPAR 21mm F4 Pの方は、遠くの神田ふれあい橋は明らかにピンボケだし、もっと近くの「処方せん受付」も鮮明ではなかった。
Rayqual LM-NZマウントアダプター + COLOR-SKOPAR 21mm F4 P ― 2025年06月06日参照

これだと、Ai Nikkor 20mm F2.8Sを使っている分には、「デジタルだと若干被写界深度が浅いけどまあ似た感じには使える」と思ってしまう。計算上はみっち様の仰るとおりだし、富士フイルムのサイトでも以下のように書かれている。

どこにピントを置くか、それは重要だ。どこまでピントを合わせるか、それも重要だ。しかしその基準は、きちんとあなたの目的・感覚に合わせてあるだろうか?

X-Pro2では、”被写界深度スケール”を”ピクセル基準 / フィルム基準”という2つの基準から選択できるようになった。これこそは、あなたの目的・感覚とカメラ設定をアジャストさせるための項目なのだ。

厳密なことをいうと、光学的にはピントが合っているは場所は、レンズ平面軸と平行なある一つの平面しかない。そこから1mmずれただけでもピントは合っていない。その面以外は”ボケ”ている。理論上は。しかし実際は、このボケ量が無視できるほど小さい場合は、ピントがあっているように見える。 そう”被写界深度”とは、ピントがあっている面とその前後にある(理論上はボケているのだが)、ボケてないように見える部分のことなのだ。

また、ピントから外れた面で発生するボケを”錯乱円”と呼んでいるが、ピントがあってるように見える程度の小さなボケを”許容錯乱円”と定義している。”許容錯乱円”が大きいほど、”被写界深度”は深くなる。つまり、”被写界深度”は”許容錯乱円”に比例する。

問題は、この”許容錯乱円”が、イメージャーの解像度や鑑賞媒体によって変わってくるということなのだ。

事実、昨今のデジタルセンサーは銀塩フィルムの解像力を超えており、許容錯乱円は小さくなっている。それに加え、ピクセル等倍表示がポピュラーになり、”許容”される錯乱円はさらに厳密になった。”浅く”なった”被写界深度”は、より厳密なピント位置・ピント範囲を追求するようになったとも言える。”ピクセル基準”の被写界深度は、そういった用途のためにある。

しかし、そもそも被写界深度とは”深い”からこそ意味がある概念とも言える。”深度”の深さを利用するスナップ撮影などでは、厳密すぎるスケールではむしろ用を成さないだろう。

ストリートに立つ、絞りをF8にセットする。光を探す。構図を決める。被写体がくる位置を予測する、そこをめがけてピント位置を決める、多少のズレは”被写界深度”がカバーしてくれる。そういった撮影では、ある程度の”許容”範囲を持ったスケールのほうが使いやすい。

それは、銀塩フィルム時代から受けつがれている肌感覚と言ってもよい。そして、その感覚にマッチさせた基準が”フィルム基準”なのだ。(※数値としては、4ツ切りプリントで出力し、標準的な鑑賞距離で見た場合の許容錯乱円をベースにしている。)

どちらが正しいかではない。目的・感覚に合わせて選択するのが正しい。鑑賞するサイズが決まっているのならば、それに相応しい方を選べば良い。二つから選べるのだから、それらを行き来しても良い。 ちなみに、XF14mmやXF16mm、XF23mmのような鏡筒に被写界深度スケールを持っているレンズの場合は、”フィルム基準”をベースに目盛が刻まれている。目測+マニュアルフォーカスで速写するような撮影スタイルには、この3本のレンズは非常に使い勝手が良い。

被写界深度考察(2016.04.21 富士フイルムX Stories)

ということで、Ai Nikkor 20mm F2.8SをZ6で使うときは絞ればかなり被写界深度に入るがフィルムよりは浅い、COLOR-SKOPAR 21mm F4 PをZ6で使うときは被写界深度はかなり浅く絞っても深度内に入るかは分からないということのようだ。しかし、レンズによってこんなにも被写界深度が違うのだろうか。やっぱりコリメーター(以下自粛)。

こうなると、たくさん持っている28mmでも試したくなってくるじゃないか(泣)。あと、距離環はあるけれども回転角が小さくて距離指標の無限遠の隣は0.4mのAF-S NIKKOR 20mm f/1.8G EDでも2mのものにピントを合わせた後そのままでF8で撮ってみたくなるじゃないですかぁ。神田和泉橋上でメジャーを出して2m測っている人がいても、「お前、Haniwaだなっ」と羽交い締めにしないで暖かく見守ってください(泣)。

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