CornerFixでBiogon T* 21mm F2.8とニコンZ6での周辺色被りを解決2024年10月07日 00時00分00秒

【作例1(CornerFixの補正なし)】Piano Bar Lyon(ピアノバーリヨン)とRock Bar Lobby(ロックバー ロビー)(横浜市中区野毛町):Nikon Z6、Carl Zeiss Biogon T* 21mm F2.8(CONTAX G用)、F5.6 絞り優先AE、1/250秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5230K)、マルチパターン測光、 手ぶれ補正ON、高感度ノイズ低減:標準、手持ち撮影、KIPON CONTAX G-NIK Z マウントアダプター(コンタックスGマウントレンズ → ニコンZマウント変換)、シグマ光機球面平凸レンズ / SLB-50-1500PM(可視光域マルチコーティング)、フードなし、NEFファイル(RAW)をAdobe Digital Negative ConverterでDNGに変換したものをGIMPとRAWTherapeeでJPEGに変換(CornerFixの補正なし)
【作例2(CornerFixの補正Luminance:1,Chroma:1)】Piano Bar Lyon(ピアノバーリヨン)とRock Bar Lobby(ロックバー ロビー)(横浜市中区野毛町):Nikon Z6、Carl Zeiss Biogon T* 21mm F2.8(CONTAX G用)、F5.6 絞り優先AE、1/250秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5230K)、マルチパターン測光、 手ぶれ補正ON、高感度ノイズ低減:標準、手持ち撮影、KIPON CONTAX G-NIK Z マウントアダプター(コンタックスGマウントレンズ → ニコンZマウント変換)、シグマ光機球面平凸レンズ / SLB-50-1500PM(可視光域マルチコーティング)、フードなし、NEFファイル(RAW)をAdobe Digital Negative ConverterでDNGに変換したものをCornerFixで補正(Luminance:1,Chroma:1)したものをGIMPとRAWTherapeeでJPEGに変換
【作例3(CornerFixの補正Luminance:0.62,Chroma:0.61)】Piano Bar Lyon(ピアノバーリヨン)とRock Bar Lobby(ロックバー ロビー)(横浜市中区野毛町):Nikon Z6、Carl Zeiss Biogon T* 21mm F2.8(CONTAX G用)、F5.6 絞り優先AE、1/250秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5230K)、マルチパターン測光、 手ぶれ補正ON、高感度ノイズ低減:標準、手持ち撮影、KIPON CONTAX G-NIK Z マウントアダプター(コンタックスGマウントレンズ → ニコンZマウント変換)、シグマ光機球面平凸レンズ / SLB-50-1500PM(可視光域マルチコーティング)、フードなし、NEFファイル(RAW)をAdobe Digital Negative ConverterでDNGに変換したものをCornerFixで補正(Luminance:0.62,Chroma:0.61)したものをGIMPとRAWTherapeeでJPEGに変換
【作例4(CornerFixの補正Luminance:0,Chroma:0.62)】Piano Bar Lyon(ピアノバーリヨン)とRock Bar Lobby(ロックバー ロビー)(横浜市中区野毛町):Nikon Z6、Carl Zeiss Biogon T* 21mm F2.8(CONTAX G用)、F5.6 絞り優先AE、1/250秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5230K)、マルチパターン測光、 手ぶれ補正ON、高感度ノイズ低減:標準、手持ち撮影、KIPON CONTAX G-NIK Z マウントアダプター(コンタックスGマウントレンズ → ニコンZマウント変換)、シグマ光機球面平凸レンズ / SLB-50-1500PM(可視光域マルチコーティング)、フードなし、NEFファイル(RAW)をAdobe Digital Negative ConverterでDNGに変換したものをCornerFixで補正(Luminance:0,Chroma:0.62)したものをGIMPとRAWTherapeeでJPEGに変換

フィルム時代の対称型広角レンズ(ビオゴンタイプ)は、デジタルカメラで使うと、撮像素子の前にある保護ガラスやローパスフィルターなどの平面ガラスが影響して、像面湾曲が生じる。また、撮像素子は、写真フィルムよりも斜めからの光を受光しにくいので、周辺部で色被りが生じる。

前者の像面湾曲は、レンズの被写体側に平凸レンズを装着することで打ち消すことができ、私は、Biogon T* 21mm F2.8とBiogon T* 28mm F2.8(いずれもCONTAX G用)にシグマ光機球面平凸レンズ / SLB-50-1500PM(可視光域マルチコーティング)を使っている。
Nikon Z6作例1(CONTAX G Biogon T* 21mm F2.8) ― 2021年11月13日

これでデジタルカメラ使用時の周辺部の像面湾曲が打ち消されて、ほぼフィルム使用時の性能が出せる。
【追記】 旧ビオゴンレンズの性能改善・・手軽に周辺解像度Up!! (レンズ豆(マニアックカメラ講座) 2021年5月24日 13:41)
旧ビオゴンレンズの性能改善番外編・・ライカL39マウントでも改善可能に!! (レンズ豆(マニアックカメラ講座)2021年6月8日 02:48 )

【追記】
ニッコール千夜一夜物語第七十七夜 NIKKOR-S 50mmF1.4(佐藤治夫氏)から。

ローパスフィルターと光学性能

一般にローパスフィルターやその一連の光学系が画質に与える影響はあまり論じられていませんでした。良い機会なので、ここで少し考察してみましょう。

現在のデジタルカメラ用の交換レンズは、各社まちまちではありますが、基本になるモデルのローパスフィルターやその一連の光学系を使用する前提で設計されています。要はローパスフィルター込みで光学設計および性能評価をしているのです。しかし銀塩時代の古いレンズでは、レンズ系の後方には何も光学系が無い状態で設計されています。今回のように古いレンズを最新のデジタルカメラを使って使用する場合は少し注意が必要です。

気を付けなければならないことは「射出瞳位置、明るさ、画角」の3つです。とは言っても射出瞳はレンズに明記してあるわけではないですね。したがって予想せねばなりません。特に注意しなければならないレンズは対称型広角・超広角レンズです。中でも最も注意が必要なものがビオゴンタイプの超広角レンズです。一般的なデジタルカメラと組み合わせた場合、折角の対称型レンズですが、大きな負の歪曲を発生してしまいます。周辺の色付きも盛大に出ます。この現象はローパスフィルター系の厚さが厚いほど変化が大きいのです。また、撮像素子が睨んでいる瞳の位置によっても収差変化の程度は異なります。

また像面湾曲もプラスに変化します。これは画角が大きければ大きいほど注意が必要です。そして球面収差もプラスに変化しますので明るいレンズは要注意です。

その為、Z 7、Z 6、Z 50等のZシステムではオールドニッコールの収差を極力変化させないように、ローパスフィルター等の光学系を最小構成、最薄で設計しています。その点でも古いレンズを試すボディとしては最適であると言えます。Zシステムはニッコール千夜一夜物語の執筆でも大活躍です。今後ますます拍車をかけてオールドレンズの評価をしていきたいと思っています。

ちなみに今回のNIKKOR-S 50mmF1.4は、Zシステムのおかげで収差の変化は微小でした。また球面収差も像面湾曲も元々設計値が若干マイナス気味であったため、他のレンズよりさらに問題が少なかったと思われます。

(像面湾曲は平凸レンズで解決したので)問題は周辺の色被りで、Biogon T* 21mm F2.8とニコンZ6の場合は、薄いブルーグレーの色被りが残る。許せる範囲のような気もするが、被写体や構図によっては目立って嫌になることがあるし、デジタルカメラ用の広角レンズで撮ったものと比較すると周辺色被りが気になって夜しか寝られない日が続く。

諦めて一眼レフ用のあるいはミラーレス用の超広角レンズを買うか、と思っていたのだが、連発する様々な故障で新たなレンズ購入どころではなくなってしまった(まだひとつ書いていない故障がある(泣))。

それで、ソフトウェアで対称型広角レンズの周辺色被りを補正する方法をやってみようという気になった。

そのソフトウェアとは、CornerFixだ。

CornerFixは、DNGファイルしか扱えないので、まずニコンのNEFファイルをDNGに変換するAdobe Digital Negative Converterを使う。

あとは、CornerFixでDNGファイルを補正するだけだ。補正用のプロファイルはBiogon T* 21mm F2.8をニコンZ6に装着して絞りをF5.6にして無限遠で家の中の白壁を適当に撮ったものをDNGに変換した。無限遠にしたのは、壁にピントを合わせると壁の細かい汚れなどが写ってそれが補正に使われてしまうのと、周辺の色被り具合は絞りだけでなく被写体との距離でも変わってくるだろうが、いちいち距離を変えて何個もプロファイルを作るのが面倒だからだ。

CornerFixの使い方は、周辺部のグリーン被りを補正する その1 2012/06/15(maroの雑記帳)周辺部のグリーン被りを補正する その2 2012/06/15(maroの雑記帳)に詳しい。

これで周辺部の色被りや周辺減光まで補正されたDNG画像が完成する。素晴らしい。素晴らしいのだが、DNG画像は、Adobeのアプリケーションを持っていない人には扱いにくい。私は、GIMPRAWTherapeeをインストールしている。

DNGをGIMPで開くと、GIMPの上にRAWTherapeeが開いて調整画面が出る。私は何も調整しないでRAWTherapeeを閉じる。そうすると自動的にDNGファイルがGIMPに引き渡されるので、リサイズするなりしてから「名前を付けてエクスポート」する。ファイルの種類をJPEGなりPNGなりTIFFなり好きな汎用画像ファイル選択してエクスポートすると完成。この記事の作例は最後はGIMPでリサイズしてJpegでエクスポートしたものだ。

まず、【作例1】は、ニコンZ6にマウントアダプターでCarl Zeiss Biogon T* 21mm F2.8(CONTAX G用)を装着して撮影したもの。シグマ光機球面平凸レンズ / SLB-50-1500PM(可視光域マルチコーティング)を装着しているので像面湾曲は打ち消されて周辺部で像が流れたりはしない。しかし、ブルーグレーの色被りは残っている。また、対称型広角レンズ特有の周辺減光は大きい。この周辺減光はフィルムでも同じ傾向だが。

【作例2】は、これをCornerFixのデフォルト設定(Luminance:1,Chroma:1)で補正したもの。色被りが消えて周辺減光が補正されて、まったくBiogonらしさが消えてしまっている。ただ、右側のブルーグレイの色被りが消えた代わりにマゼンタの色被りが生じている。補正しずぎなのだろう。

そこで【作例3】では、CornerFixの設定を(Luminance:0.62,Chroma:0.61)にしてみた。右側のマゼンタは消え、元のブルーグレイの色被りも消えている。

ただ、これでは周辺減光もかなり補正されていてなんかBiogonの良さが出ていない。だったら、周辺減光はまったく補正せずに、周辺の色被りだけを補正したらどうだろう。、CornerFixの設定を(Luminance:0,Chroma:0.62)にしたものが【作例4】だ。これがBiogonらしくてかつ色被りのない状態で、フィルムカメラでBiogonを使った状態に近い。

よし、これで新たな物欲を抑えてまたBiogonを使い倒せるぞ。えっ?TECHART TZG-01は欲しくならないのかって?(泣)。

【追記】
ZEISS Biogon T* 2.8/21 datasheetから、Carl Zeiss Biogon T* 21mm F2.8(CONTAX G)のレンズ構成図とMTFと周辺光量と歪曲収差のグラフを貼っておく。ほらほらBiogon 21mm欲しくなってくるでしょう(笑)。

ZEISS Biogon T* 2.8/21(CONTAX G) レンズ構成図
ZEISS Biogon T* 2.8/21(CONTAX G)MTFと周辺光量と歪曲収差のグラフ

【追記ここまで】


【作例1(CornerFixの補正なし)】Piano Bar Lyon(ピアノバーリヨン)とRock Bar Lobby(ロックバー ロビー)(横浜市中区野毛町):Nikon Z6、Carl Zeiss Biogon T* 21mm F2.8(CONTAX G用)、F5.6 絞り優先AE、1/250秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5230K)、マルチパターン測光、 手ぶれ補正ON、高感度ノイズ低減:標準、手持ち撮影、KIPON CONTAX G-NIK Z マウントアダプター(コンタックスGマウントレンズ → ニコンZマウント変換)、シグマ光機球面平凸レンズ / SLB-50-1500PM(可視光域マルチコーティング)、フードなし、NEFファイル(RAW)をAdobe Digital Negative ConverterでDNGに変換したものをGIMPとRAWTherapeeでJPEGに変換(CornerFixの補正なし)

【作例2(CornerFixの補正Luminance:1,Chroma:1)】Piano Bar Lyon(ピアノバーリヨン)とRock Bar Lobby(ロックバー ロビー)(横浜市中区野毛町):Nikon Z6、Carl Zeiss Biogon T* 21mm F2.8(CONTAX G用)、F5.6 絞り優先AE、1/250秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5230K)、マルチパターン測光、 手ぶれ補正ON、高感度ノイズ低減:標準、手持ち撮影、KIPON CONTAX G-NIK Z マウントアダプター(コンタックスGマウントレンズ → ニコンZマウント変換)、シグマ光機球面平凸レンズ / SLB-50-1500PM(可視光域マルチコーティング)、フードなし、NEFファイル(RAW)をAdobe Digital Negative ConverterでDNGに変換したものをCornerFixで補正(Luminance:1,Chroma:1)したものをGIMPとRAWTherapeeでJPEGに変換

【作例3(CornerFixの補正Luminance:0.62,Chroma:0.61)】Piano Bar Lyon(ピアノバーリヨン)とRock Bar Lobby(ロックバー ロビー)(横浜市中区野毛町):Nikon Z6、Carl Zeiss Biogon T* 21mm F2.8(CONTAX G用)、F5.6 絞り優先AE、1/250秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5230K)、マルチパターン測光、 手ぶれ補正ON、高感度ノイズ低減:標準、手持ち撮影、KIPON CONTAX G-NIK Z マウントアダプター(コンタックスGマウントレンズ → ニコンZマウント変換)、シグマ光機球面平凸レンズ / SLB-50-1500PM(可視光域マルチコーティング)、フードなし、NEFファイル(RAW)をAdobe Digital Negative ConverterでDNGに変換したものをCornerFixで補正(Luminance:0.62,Chroma:0.61)したものをGIMPとRAWTherapeeでJPEGに変換

【作例4(CornerFixの補正Luminance:0,Chroma:0.62)】Piano Bar Lyon(ピアノバーリヨン)とRock Bar Lobby(ロックバー ロビー)(横浜市中区野毛町):Nikon Z6、Carl Zeiss Biogon T* 21mm F2.8(CONTAX G用)、F5.6 絞り優先AE、1/250秒、ISO-AUTO(ISO 100)、AWB(5230K)、マルチパターン測光、 手ぶれ補正ON、高感度ノイズ低減:標準、手持ち撮影、KIPON CONTAX G-NIK Z マウントアダプター(コンタックスGマウントレンズ → ニコンZマウント変換)、シグマ光機球面平凸レンズ / SLB-50-1500PM(可視光域マルチコーティング)、フードなし、NEFファイル(RAW)をAdobe Digital Negative ConverterでDNGに変換したものをCornerFixで補正(Luminance:0,Chroma:0.62)したものをGIMPとRAWTherapeeでJPEGに変換

【関連追記】
Nikon Z6作例1(CONTAX G Biogon T* 21mm F2.8) ― 2021年11月13日
Nikon Z6作例3(CONTAX G Biogon T* 21mm F2.8) ― 2021年11月22日
Nikon Z6作例4(CONTAX G Biogon T* 21mm F2.8) ― 2021年11月24日
Carl Zeiss Biogon T* 28mm F2.8(CONTAX G用)とNikon Z6作例その1 ― 2022年05月25日
Carl Zeiss Biogon T* 28mm F2.8(CONTAX G用)とNikon Z6作例その2 ― 2022年05月28日
Carl Zeiss Biogon T* 28mm F2.8(CONTAX G用)とNikon Z6作例その3 ― 2022年05月31日
赤城耕一氏のデジカメWatchのBiogon作例が非常に参考になる ― 2022年06月07日
Carl Zeiss Biogon T* 28mm F2.8(CONTAX G用)とNikon Z6作例その4 ― 2022年06月23日

【さらに追記】
ニッコール千夜一夜物語 第七十七夜 NIKKOR-S 50mmF1.4に見るローパスフィルターと光学性能 ― 2021年04月03日

【さらにさらに追記】
初出時に「凹レンズ」と書いていたのは、正しくは「平凸レンズ」です。2箇所修正しました。m(_ _)m

【追記:19:52】
GIMPで画像を縮小すると画像がぼやけるなぁと思って、補完方法を調べたりアンシャープマスク掛けないといけないのかと調べたら、縮小時の画像解像度を300ピクセルのままにしていたからだった。72ピクセルにしたらシャープな縮小画像になった。【作例1】~【作例4】の4枚とも差し替えました。m(_ _)m

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