ニッコール千夜一夜物語Ⅰ(ホビージャパン刊)購入2021年10月02日 00時00分00秒

(左)「ニッコール千夜一夜物語 I 」(ホビージャパン刊、2021年)、(右上)ヨドバシカメラのチラシ、(右下))「ニッコール千夜一夜物語」(朝日ソノラマ刊、2005年)

2021年9月29日新発売の「ニッコール千夜一夜物語 I 」(ホビージャパン刊)をヨドバシドットコムで予約して買った。発売日には届いていた。

内容はニコンのサイトで公開されているニッコール千夜一夜物語の第一夜NIKKOR-O 2.1cm F4から第四十夜Nikkor-S Auto 5.8cm F1.4までを収録したもので、大下孝一氏と佐藤治夫氏の対談なども新規に掲載されている。

ニッコール千夜一夜物語は以前朝日ソノラマからクラシックカメラ選書35として2005年9月30日に発行されていたが朝日ソノラマが朝日新聞出版に改組された際に絶版になっていたし、第二十八夜Ai AF Nikkor 28mm F1.4Dまでしか掲載されていなかった。

今回は「Ⅰ」ということなので、「Ⅱ」以降に第四十一夜Ai AF Nikkor 85mm F1.4D (IF)から、最新の第七十九夜W-NIKKOR・C 2.8cmF3.5までの掲載が期待できる。楽しみ。

なお、ホビージャパンからニッコール千夜一夜物語を出版するにあたっては、写真家の赤城耕一氏の働きかけが大きかった模様だ。

朝日ソノラマ版との違いは掲載範囲だけではない。朝日ソノラマ版は作例がモノクロだったのだ。今回のホビージャパン版は作例がカラーで、しかも判型がA5からA4のムックサイズに大きくなっているから、作例もより迫力あるものとなっている。

【関連追記】
編集部が解散したからトランクルームを借りた 猪狩友則氏 2020年8月18日(Impress Watch)
安珠写真展 『Just Daydreaming』(坂本直樹氏、2020-11-09)
【関連追記ここまで】

注目すべきは、佐藤治夫さんの作例の被写体である娘さんが赤ちゃんからどんどん成長されて、最新の第七十九夜W-NIKKOR・C 2.8cmF3.5では、大人になっていることである。俺ら歳取るはずだよなぁ。ニコ兄と思っていたらいつの間にかニコ爺の末席に(泣)。ずっと被写体になることを承諾し続けてくれた娘さんにも読者として感謝ですな。

ということで、「ニッコール千夜一夜物語 I 」(ホビージャパン刊)はお勧めだ。いつまでもWEBで見られるとは限らないから、こういう紙の出版はありがたいのだ。

写真は(左)「ニッコール千夜一夜物語 I 」(ホビージャパン刊、2021年)、(右上)ヨドバシカメラのチラシ、(右下))「ニッコール千夜一夜物語」(朝日ソノラマ刊、2005年)

ヨドバシドットコムで「ニッコール千夜一夜物語 I 」を買ったら、SONYのデジタルカメラの広告チラシが一緒に入っていた。これはニコンFマウントやSマウントのレンズをソニーαで撮れということかと思って、急にSONYαがほしくなってしまった(笑)。ミラーレスでフランジバックが短くてマウント口径が大きいとなんでもありだよね。ただ、対称型の広角レンズはニコンZの方が相性がいいらしいが。

映画『MINAMATA』鑑賞&写真集『MINAMATA』購入2021年10月09日 00時00分00秒

左:写真集『MINAMATA』(新版)、右:映画『MINAMATA』劇場プログラム(パンフレット)

上野動物園のパンダの赤ちゃんの名前が「リンリン」「ランラン」になったそうで(違)おめでとうございます。

今話題の、ジョニー・デップ主演の映画『MINAMATA』を鑑賞してきた。映画は史実に基づいているとはいえ、若干事実関係が違ったり、複数の人物を一人に演じさせたりしているが、エンターテインメントである以上この辺りは許容範囲だと思う。

映画を見ていて、出てくる家屋がちょと垢抜けた西洋風だったりするのは何でだろうと思っていたら、水俣病を象徴する「あの写真」を撮った写真家の物語『MINAMATA─ミナマタ─』(ニューズウィーク日本版)20100930によると、「水俣での撮影はごく一部で、主なロケ地はセルビアとモンテネグロ。日本の海岸の風景とはどこか異なると感じるものの、大きな違和感はない」とのことだ。

どうりでエンドロールで出てくる名前のSの上にチェックが付いた文字が多いなと思った。ガイ式ラテン・アルファベットのŠ(エシュ)というШに相当する文字表示だ。ほかにもCの上にチェックの付いたČ(チェ)というЧに相当する文字も目立った。なるほど、セルビアやモンテネグロのスタッフの名前なんだな。

【追記】映画の冒頭で、アイリーンが富士フイルムのCM撮影の通訳としてユージン・スミスのアトリエ兼自宅を訪れたシーンは面白かった。富士フイルムのCMでユージン・スミスに”今まで使ったどのフィルムよりも色鮮やか”という内容を言わせようとして、ユージンが”俺がそれを言うのか?おれはカラーで撮ったことなんかないんだぜ。みんなもそれを知っているはずだ”といったことを言うのだが、”それも契約内容に入っているので言ってもらいます”とアイリーンに通訳されるシーンだ。私が映画館で見たときはこのシーンで誰も笑っていなかったが、写真趣味の人が多ければ笑い声が上がったはずだ。(台詞はうろ覚えなので悪しからず)【追記ここまで】

圧巻は、例の入浴のシーン『入浴する智子と母』だろう。これはすごい。是非映画でそのシーンを見て欲しい。

写真集の『MINAMATA』も買った。これは英語版が1975年、日本語版が1980年に発行されて、その後いずれも絶版となっていた。『入浴する智子と母』は、「1998年以来、遺族の意向で公開が控えられてきた」らしい(公害の悲惨さと人間の美しさと 写真家ユージン・スミスの妻、アイリーンさんが水俣で共に感じた鼓動(BuzzFeed News 2021年8月17日))。

智子さんの写真を大切にしたい 再版の写真集で復活

――その智子さんの写真が、智子さん亡き後、ご両親の願いで1998年に公開を封印されたのは残念なことです。著作権を持つアイリーンさんも苦渋の決断だったと思いますが。この写真の決定権を両親に渡したのですよね?

渡してはいないのです。公開を止めることができるという著作権の権利を使っているという認識です。

封印というよりも、あの写真を大切にしていくことが大事だと思っています。

1998年の結論は、「もう休ませてあげる」という結論でした。そこまでの数年間は、いつもあの写真だけ使用を依頼されて、「あれを出したら自分たちは仕事を終えた。自分たちは公害の戦いをちゃんとやりました」とこの写真が扱われているように感じることがあり、気になっていました。

智子ちゃんに仕事をさせ、利用している感じです。自分が行動する代わりに、あの写真が利用されている。

――それはアイリーンさんにとっては不本意だった。

そうですね。だからあの写真を大切にしたいという思いでした。だけどあの写真を閉じ込めてしまうつもりはなかった。これまでの20年間も「あの写真を大切にする」という気持ちは生き続けていました。

――被写体の思いを汲み取ることはとても大事だと思いますが、あの写真で伝わるものが大きいのも事実です。今回の映画でもオリジナルプリントが使われていますが、今後、公開するようなことはあり得ますか?

葛藤するテーマですよね。ユージンも「被写体に対する責任」と「見る側に対する責任」「伝えていく責任」について語っていました。私は場面、場面で誠実に考えていくのが一番大切だと思っています。

完成した映画を見て、この写真を大切にするなら今何をするべきかと考えた時、「本物の写真を見せることだ」という結論が出ました。

だから再版する写真集では、親御さんにもお願いして1975年に出したものと同じ内容を出します。智子さんの写真も全て入ります。

今回の写真集『MINAMATA』は、印刷もかなり凝っているようだ。札幌発 伝説の写真集再生 ユージン・スミス 「MINAMATA」新版 元妻自ら確認「感じたもの」再現に力(北海道新聞電子版2021年10月7日)によると、以下のようだ。

■質感、地道に修正

道のりは難航した。旧版で使用したオリジナルプリントはカビや変色があり、一部は現存していなかった。アイワードはオリジナルの他に旧版でボツにしたセカンドプリントや過去にオリジナルをスキャンしたデータも使ったが、セカンドはオリジナルより見劣りし、スキャンデータはさらに質が落ちるものもある。状態が異なる素材を一つ一つ画像編集ソフトで修正する地道な作業が続いた。

「自分が感じたもの」の再現を目指したユージンは現像にも力を入れた。中心に光を集めて周辺を暗く焼き込むなど明暗の対比を強めて劇的に演出する写真が多い。同社は最大5台のカメラを搭載し、複数のカメラで撮影した画像を合成する独自の「デジタイズ・システム」で、旧版では出せなかったオリジナルの階調や質感を再現した。

用紙も難問だった。旧版は漂白技術が途上で黄色がかっており、白い用紙に印刷すると写真の印象が大きく異なる。同社は黄色のインクを独自に調整。極小の点を用紙に印刷した上から写真を印刷した。完成まで約4カ月と通常の倍以上を費やしたが、浦有輝執行役員は「水俣病のように忘れてはいけないことを後世に伝えるには、デジタル配信ではなく書籍という形で残す責任がわれわれにもある」と強調した。

モノクロ写真のコントラストも写真集の方ではカッチリくっきりでべったりとインクが載った感じ。上記で引用した記事にも同じ写真が載っているが、モニターで見たものと写真集の写真とは全然印象が違う。これは写真集のこのプリントを是非に見て欲しい。

ということで、映画『MINAMATA』と写真集『MINAMATA』(新版)はお勧めだ。


左:写真集『MINAMATA』(新版)、右:映画『MINAMATA』劇場プログラム(パンフレット)


【追記】

THE BIG ISSUE JAPAN415号 2021-09-15 発売

映画『MINAMATA』でアイリーン・スミス役を演じた美波さんが、THE BIG ISSUE JAPAN 415号(2021-09-15 発売)のスペシャルインタビューに掲載されている。
【追記ここまで】


戴いたコメントのお返事はお待ちください。m(_ _)m

もう少し待ちくださいm(_ _)m2021年10月31日 00時00分00秒

皆様、戴いたコメントにお返事もできず、更新もできずすまんです。

もう少しお待ちください。m(_ _)m

今日2021年10月31日は衆議院議員総選挙と最高裁判事国民審査の日です。まだ投票していない人は是非に投票所に足を運んで、この4年間の政治に成績をつけてください。我々は主権者なんですから。

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