ニコンが考える“レンズの味”とは? (デジカメWatch)2013年11月13日 00時00分00秒

象の鼻パークから横浜税関方向(横浜市中区):Nikon F3、Ai Nikkor 45mm F2.8P、F8AE、Kodak PORTRA160、専用NC フィルター、HN-35、Nikon SUPER COOLSCAN 5000 ED、ICEありROCなしGEMなし、Windows7 64bit、NikonScan 4.0.3

最近更新が滞り気味ですまん。戴いたコメントにすべてお返事をしたつもりなのですが、漏れがありましたらご指摘ください。m(_ _)m

さて、デジカメWatchにニコンが考える“レンズの味”とは?AF-S NIKKOR 58mm F1.4 Gの設計に見るレンズ計測装置「OPTIA」の活躍 というインタビュー記事が載っている。

インタビューに答えているのは、ニコン映像カンパニー 開発本部 第二設計部 第二設計課 技監補の田中一政氏(OPTIAの開発支援を担当)、同第二設計部ゼネラルマネジャーの稲留清隆氏(レンズ開発全般のとりまとめを担当)、同第二設計部 第二設計課 主幹の佐藤治夫氏(AF-S NIKKOR 58mm F1.4 Gの設計を担当)だ。聞き手は写真家の杉本利彦氏。

――波面収差とはどのような収差ですか?

田中:光を波としてみますと、例えば星のように無限遠と見なせる被写体からくる光は平面波としてレンズに入射しますが、レンズを出た光は最終的に一点に集まりますので球面波となるはずです。また、有限距離にある一点から出た光は、球面波としてレンズに入射し、再び一点に結像しますので、レンズから出る光はやはり球面波になります。

理想のレンズの場合、レンズから出る波面の形状はきれいな球面波になるのですが、実際のレンズを通過した光の波面は、いろいろな収差や製造誤差などにより乱れが生じ、きれいな球面波にはなりません。このように、理想レンズの球面波からの波面のずれのことを波面収差と呼んでいます。OPTIAは、この波面のずれを測定していますが、この情報にはレンズの収差をはじめさまざまな情報が含まれており、これを解析することで、先ほどの諸収差をはじめレンズの各種特性を求めることができるのです。

「波面収差」の説明は分かったようで分からんですな(苦笑)。

興味深かったのは、「Ai AF Nikkor 85mm F1.4 D IF」(1995年発売)と、「AF-S NIKKOR 85mm F1.4 G」(2010年発売)をOPTIAで比較評価だ。

佐藤:シャープネスなどは最新設計のGレンズのほうが良いのですが、一世代前のDレンズが良くないのかと言えばそうではなくて、三次元的な特性などはむしろDレンズのほうが優れていると思われる部分もありました。Gレンズのほうが残存収差は全般に小さくなっているのですが、Dレンズは収差をうまく残すことでバランスの良い描写を実現している。そのような様子がOPTIAから得られたデータを解析することで理解できます。

(中略)

――Ai AF Nikkor 85mm F1.4 D IFの収差の残し方が良かったということですが、具体的にはどんな収差だったのですか?

佐藤:例えば、球面収差はマイナス方向に膨らませて残しているところですとか、コマ収差も若干残っていたりするのですが、MTFベースで考えても、点像の形状ベースで考えても破綻のない収差の残し方をしています。特に三次元的なMTF特性が優れていて、ピントの合ったところから手前にボケはじめる部分のMTFの落ち方と、後ろ側にボケはじめる部分のMTFの落ち方がよく似ていて、前後のボケのようすが両方とも類似し、バランス良く見えます。Ai AF Nikkor 85mm F1.4 D IFのボケ味が良いとされるユーザーが結構多いのですが、その理由がデータからもわかります。

――それに対して現行のAF-S NIKKOR 85mm F1.4 Gはどうなのですか?

佐藤:現行のGタイプは特に後ろ側のボケをよりきれいにしようと意識しています。前側よりもより後ろ側のボケがなだらかになるように設計しております。

――前後にボケを入れるような構図をとる場合はDタイプ、後ボケを優先する場合はGタイプがいい?

佐藤:好みにもよりますが、そうなります。

85mm F1.4クラスのレンズはいずれ欲しいと思っているのだが、絞り環のあるAi AF Nikkor 85mm F1.4 D IFの方が絞り環のないAF-S NIKKOR 85mm F1.4 Gに劣っているわけではないのでちょっと安心した。いずれAi AF Nikkor 85mm F1.4 D IFを買いたい。ただ、Dタイプの方はピントリングの感触やA-Mリングなど、もうちょっと改良されればよいのになぁとは思う(そういうのも含めて改良されたのがGタイプの方なんだろうが)。

でも、85mm F1.4を自分がどれだけ使うかを考えたら優先度はかなり低いなぁ。使うあてはなくても銘玉を所有したいという気持ちはあるのだが(笑)。

AF-S NIKKOR 58mm F1.4 Gの味に迫る

――それでは、このレンズのコンセプトからお願いします。

佐藤:先ほどからご説明していますレンズの三次元的ハイファイの考え方で設計したレンズを、お客様にこちらから提案をさせて頂くという意味では、初めてのレンズなのかなと考えています。すなわち、このレンズは無限遠におきましては、先ほどの評価方法の考え方の通り、平面対平面の評価で良いことになりますので、MTFが極力高くなるように設計しています。また、無限遠では点が点に写るようにサジタルコマフレアを極力抑えた設計になっているのもこのレンズの特徴です。

一方で、近距離撮影になるほど収差バランスを調整することで、ピントの合ったところから徐々につながりの良い美しいボケ味が得られるようにしています。つまり、無限遠付近では描写はあくまでシャープに、近距離ではピント面はある程度のシャープさを維持しつつも美しいボケ味が得られるという風に、1本のレンズで2通りのレンズの味をお楽しみ頂けるようになっています。従来はこのように、意図して撮影距離に応じて徐々に写り方が変化するレンズはなく、その点が初めての試みということです。

うう、欲しくなってしまうような説明じゃないかぁ。ヨドバシで¥179,500(税込)かぁ。いいなぁ。これも自分として使い道がそんなにある訳じゃないんだが。もう少しAi Nikkor 50mm F1.2とかAi AF Nikkor 50mm F1.4DとかNIKKOR-S・C Auto 50mm F1.4 (Ai改)を使いこなすようにしよう。どうもね、D300を使うことが多いとレンズ交換する気がしなくなる。、D300は35mmフィルムと同じレンズで画角が違うということもあるんだが、一番の理由はファインダーで薄いピントの山が見分けにくいからだ。大口径単焦点レンズを使う気をなくすファインダーなのだ。もう暗いズームレンズでいいやという気持ちにさせる。新しいレンズを買う気も起こさせない。光岡研究室じゃなかった後藤研究室はそういうところ分かっていますか?

――奥が深いですね。ところでこのレンズは、旧ノクトニッコール58mm F1.2のコンセプトに似ていると思いますが、意識して設計されたのでしょうか?

佐藤:“点が点に写る”という設計思想はもともとノクトニッコールの設計思想を伝承したものです。当初は「ノクト」の名前を冠することも考えていました。しかし、点像の描写がさら良くなるように大きく改善していますし、MTFもさらに向上させていますので、ノクトニッコールを性能面で超えた部分もあります。そのため、ノクトの名称は敢えて使用しないことにしました。

――F1.2ではなく、F1.4になった理由は?

佐藤:F1.2のバージョンも設計はしていたのですが、中央の光量はF1.2であっても周辺部の光量を十分確保するのが難しくなります。その点、F1.4であれば周辺部の光量もお客様に満足して頂けるレベルを確保することができます。つまり絞り開放から使えない1.2を作るより、開放から使える1.4を作ったほうが良いとする考えです。サジタルコマフレアもF1.2ではここまで抑えることができなかったでしょう。

ノクトニッコールを性能面で超えた部分もあるからと言ってノクトの名称を使わずに普通のニッコールにしたらノクトを超えていないニッコールと区別が付かないような気もするが。ニコンでは、ノクトという名称は「万能レンズじゃないよ、特殊レンズだよ。ある面では優れた性能を持っているけど、どんなときでも平均以上とは限らないよ」という意味なのだろう。一般人はノクトと付いていると普通のニッコールの上を行くんだと思っている。そこの認識の違いなんだろうな。できればSuper Noct-NIKKORとかにして欲しかったなぁ(笑)。なんか安っぽいか。で、わざと何本かはSuper Nocf-NIKKORと刻印する、と(笑)。


写真は記事とは関係ない。
象の鼻パークから横浜税関方向(横浜市中区):Nikon F3、Ai Nikkor 45mm F2.8P、F8AE、Kodak PORTRA160、専用NC フィルター、HN-35、Nikon SUPER COOLSCAN 5000 ED、ICEありROCなしGEMなし、Windows7 64bit、NikonScan 4.0.3

ごちゃごちゃした構図の作例ですまん。Ai Nikkor 45mm F2.8Pの作例は一見アンシャープマスクを掛けているように見えるが、実は掛けていない。このレンズで撮ったものはこんな風にエッジがシャープに写るのだ。好みが分かれるところだが、こういう特徴のレンズだ。構成枚数が少なくて非常にシャープに写るので昔は重宝されたレンズ構成だと思う(テッサータイプ)。

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