500年色あせぬ小津作品 監督のこだわり デジタルで復元(東京新聞)2013年08月05日 00時00分00秒

C5696(「高原のポニー」)JR小海線(「八ヶ岳高原線」)野辺山駅前:Nikon D300、AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR、18mm、F8、1/200秒、VR:ON、WB:*白色蛍光灯、ピクチャーコントロール:ポートレート、Nikon NCフィルター、ISO200、-0.3EV、Photoshop Elements 5で自動カラー補正

2週間以上も前の記事ですまん。コダックの経営再建後の新体制の記事を検索していたら見つけた。500年色あせぬ小津作品 監督のこだわり デジタルで復元(東京新聞)

デジタルなのに「500年色あせぬ」というのが腑に落ちず全部読んだ。デジタルって媒体が長く持たないから500年っておかしいし、媒体関係なしにコピーし続けるのなら500年なんて中途半端な年月じゃなくて永久だろうし、なんか変だなぁ、と。

500年色あせぬ小津作品 監督のこだわり デジタルで復元
2013年7月14日 朝刊

映画「東京物語」などで知られる小津安二郎監督の遺作「秋刀魚の味」(一九六二年)などフィルムの劣化が進むカラー四作品を、松竹と東京国立近代美術館フィルムセンターが、五百年は保存できる世界最高水準のデジタル技術で修復・保存作業を進めている。この技術を長編映画に用いるのは国内初。小津監督の意図通りに復元するには高齢のスタッフの記憶が不可欠で、時間との闘いだ。その危機感から作業が始まった。 (小田克也)

「ちょいと、おいで」。父(笠智衆)が縁談話で娘(岩下志麻)に声を掛ける「秋刀魚の味」のワンシーン。スカートの赤い色が修復され鮮明となった。また、バーのママ(岸田今日子)が水割りを作るシーンもフィルムが変形して画面が揺れていたが、ぶれなくなった。

デジタル技術によるフィルム修復は、色調や明暗の調整、ゆがみの修整、深い傷や雑音の消去などができる。修復後は、富士フイルムが開発したフィルム「エテルナ」に焼き付けて保存するのだが、長編保存は国内初。フィルムセンターの栩木(とちぎ)章・主任研究員は「五百年から千年は劣化しない。これほど長期間保存できる記録媒体は現在ない」と話す。

修復・保存は、小津監督が今年、生誕百十年・没後五十年を迎える記念事業。四作品は「秋刀魚の味」のほか五八~六〇年の「彼岸花」「お早よう」「秋日和」。十一月二十三日から東京・神保町シアターで行う、四作品を含む全作特集上映会までに仕上げる。

監修者はみな高齢。小津監督のチーフ撮影助手を務めた川又昂(たかし)さんは八十七歳、プロデューサー山内静夫さんは八十八歳、助監督の田中康義さんは八十三歳。当時を知るスタッフは今や数えるほどになり、松竹映像ライツ部の藤井宏美さんは「明暗や画調を監修する方がいなくなってからでは遅い」と焦る。

川又さんは「小津さんは、コダックのフィルムは空が青くなるから嫌で、寝ぼけたアグフア(欧州製)がいいと…。(赤い色を好んだが)『彼岸花』では赤い色のやかんをどこに置くか大変計算している。そして、ワンカットたりとも人に撮らせない。雲も自分で撮る。今日はいい雲が出そうだから外にいろ、と言われて空を見続けたこともありました」と回想する。こだわるだけに小津監督の意図が分からなければ復元できない。

栩木さんは作業に先立ち、あらためて「秋刀魚の味」を見て、笠智衆演じる父がたばこの火を消すシーンで、「ジュッ」という音がすることに気づいた。娘を思いながらもうまく言い表せない胸の内を表現した音で、その演出の緻密さに舌を巻いた。

「小津監督はカメラを固定した。物語が進んでも空間は動かないので、光の加減などがズレたりすると目立つ。復元作業としては難易度が極めて高い」と栩木さん。五百年、千年後の未来に「世界の小津」を届ける事業に力を尽くした川又さんは「親孝行ができました」と話している。

<映画のデジタル修復> 1980年代、米ハリウッドで、現実には撮影できない映像をコンピューターで作る技術が発達。90年代半ば、修復に転用された。東京国立近代美術館フィルムセンターでも2002年度から修復が始まり、小津4作品を含め23作品に達する。

デジタル技術によるフィルム修復は、色調や明暗の調整、ゆがみの修整、深い傷や雑音の消去などができる。修復後は、富士フイルムが開発したフィルム「エテルナ」に焼き付けて保存するのだが、長編保存は国内初。フィルムセンターの栩木(とちぎ)章・主任研究員は「五百年から千年は劣化しない。これほど長期間保存できる記録媒体は現在ない」と話す。

なるほど、3色分解してモノクロフィルムに焼き付ける例のエテルナか。結局長期保存はフィルムなんだよね。
映画用デジタルセパレーション用黒白レコーディングフィルム「ETERNA-RDS」が受賞 ― 2012年01月06日
【開発物語】富士フイルムアーカイブフィルム「エテルナ-RDS」(SankeiBiz) ― 2012年02月24日

デジタル技術によるフィルム修復というのは、ニコンのフィルムスキャナのソフトウェアにも搭載されているDigital ICEやDigital ROCなどの技術だろうな。もともとはKodakの技術であったはずだ。
続・アナログ写真を救えっ!! 「ニコン SUPER COOLSCAN 5000 ED」 (後編)(ケータイWatch)

川又さんは「小津さんは、コダックのフィルムは空が青くなるから嫌で、寝ぼけたアグフア(欧州製)がいいと…。(赤い色を好んだが)『彼岸花』では赤い色のやかんをどこに置くか大変計算している。そして、ワンカットたりとも人に撮らせない。雲も自分で撮る。今日はいい雲が出そうだから外にいろ、と言われて空を見続けたこともありました」と回想する。こだわるだけに小津監督の意図が分からなければ復元できない。

というのもいいねぇ。コダックの空が青くて嫌なら、富士のリバーサルなんかどうなるんだ(笑)。私は富士の空の青さが好きでリバーサルは主に富士を使っていた。色が気に入ってったわけではないが、保存性でコダクロームも時々使っていたが。まあそんな好みの話ももう昔話になりつつある(泣)。

なんにせよ、500年持つのはデジタル技術じゃなくてフィルムのお蔭だものなぁ。きれいに修復されるのはデジタルのお蔭だけれども。なんかミスリードの記事だよなぁ。

ということで、3色分解しなくても、記念写真はやっぱりフィルムで撮らないといけないなぁ。


といいつつ作例はデジタル(泣)。写真は記事とは関係ない。
C5696(「高原のポニー」)JR小海線(「八ヶ岳高原線」)野辺山駅前:Nikon D300、AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR、18mm、F8、1/200秒、VR:ON、WB:*白色蛍光灯、ピクチャーコントロール:ポートレート、Nikon NCフィルター、ISO200、-0.3EV、Photoshop Elements 5で自動カラー補正

碑文によると、C5696は(略)1973年6月に廃車、1975年8月にSLホテル開業、1988年3月廃業、1989年9月現在地へ移転保存、とある。うーん、SLホテルは記憶にないなぁ。しかし、初めてこの辺に来たときにはまだこのC5696がここになかったことは記憶にある。あるときから急にここにSLが来たんだよねぇ(笑)。要するにこの野辺山は廻り目平とか他に行く途中なんで眼中になかったんだよね。

コメント

_ たけぴょん ― 2013年08月05日 23時09分26秒

>長編保存は国内初
短編というか素材なら自分もやってます。
コダクロームの16mmがどれだけ持つかの実験をかねてるんですけどね、もっともスキャンもレコーディングもハリウッドですけどね。
アメリカの会社はこういう実験に喜んで協力してくれます。
たけぴょんの理解し難い英語に日本語で回答をくれDHLで送ってくれと、、、。
スキャンしてRDSに焼いてIMにネガラッシュにして送り返してくれました。

修復に関しては以下のページが詳しいでしょう。
今回の修復も以下の会社が絡んでいると思われます。
ttp://www.imagica-archiving.com/

>500年持つのはデジタル技術じゃなくてフィルムのお蔭
このことが全く理解されていないんですよ。
フィルムは劣化するのでCD化しようという話しが、、、、以下略。

_ タロウカジャ ― 2013年08月05日 23時22分48秒

C56が高原野菜を満載した貨物列車を引っ張っていたのを野辺山か清里で見たな、それにC56の引っ張る新宿からの夜行列車を小淵沢を発車して勾配区間を太鼓をたたくようなドラフト音をさせて登って行くのが昨日のことのように思い出します。
フィルムで500年保存か、500年後に見てみたいね。
デジタル保存て何なのか考えるのにいい記事です。

_ いつもとおりすがり ― 2013年08月06日 08時55分55秒

Haniwa様

結局のところ保存にはフィルムが一番という話ですね。

しかし、フィルムセンターというのは、震災、火災、水害等から安全な場所にあるのでしょうか?500年という時間は非常に長いですので...

_ small-talk ― 2013年08月06日 23時55分20秒

「適切な保存」をすれば、モノクロフィルムや印画紙(特にバライタ)は、アーカイバルには向きますよね。
なんとっても銀という安定した物質で画像を形成しているのですから。

余談ですが。。。
僕の家に祖父が戦前に写したフィルムがあります。
保管状態が余りよくなかったらしく、カビは生えていますが、像はちゃんと残っています。
ただ問題があって、昔のフィルムですから、ベースがセルロイドなのですよね。
セルロイドは、ニトロセルロースを原料としていますから、自然発火します。
仕方がないので、冷凍庫で保存しています。。。
記事中にある近代美術館フィルムセンターでは、昔、火事があったのですよね。
夏場に空調が不調になり、セルロイドフィルムが自然発火したとのこと。
大切なコレクションの一部が燃えたそうです。
そんなフィルムを、なんで東京なんかで保管しているのでしょうね。
八ヶ岳の麓とか、北海道とかに置いとけばよいのに(笑)

_ たけぴょん ― 2013年08月07日 00時27分46秒

現在の「東京国立近代美術館フィルムセンター」フィルム保管の中心は相模原市です。
参考までに。

ttp://www.snsagami.org/hyakusen/g_kyo/film/film.htm

_ Haniwa ― 2013年08月07日 23時11分25秒

皆様、お返事が遅れてすみません。m(_ _)m

■ たけぴょん様
>アメリカの会社はこういう実験に喜んで協力してくれます。

よいですね。スキャンしてRDSに焼くサービスを日本でこそ手軽に利用できるようにしてほしいですね。富士フイルムのお膝元なのに。

イマジカさすがですね。

>>500年持つのはデジタル技術じゃなくてフィルムのお蔭
>このことが全く理解されていないんですよ。
>フィルムは劣化するのでCD化しようという話しが、、、、以下略。

CDがいかに早く劣化するか知らない人が多いですね。安物CD-Rだと日向に置きっぱなしで3日ぐらいで駄目になるというリポートをいくつか見たことがあります。この時期だと実験に最適かも(泣)。こういうのはメーカーが知らせたくない事実なんですかねぇ。

■ タロウカジャ様
>C56が高原野菜を満載した貨物列車を引っ張っていたのを野辺山か清里で見たな、それにC56の引っ張る新宿からの夜行列車を小淵沢を発車して勾配区間を太鼓をたたくようなドラフト音をさせて登って行くのが昨日のことのように思い出します。

わお、私も見たかったです。高原野菜は出荷時期がずれているので有利なんですよね。今はそれでものすごく繁盛しているはずです。新宿から夜行が出ていたんですね。乗ってみたかったなぁ。

>デジタル保存て何なのか考えるのにいい記事です。

私もそう思います。デジタルでしか撮れない写真があるのも事実ですが、それらが生きている間にも失われる可能性が高いということをもっときちんと周知して議論すべきだと思います。フィルムのインフラがなくならないうちに。

■ いつもとおりすがり様
>結局のところ保存にはフィルムが一番という話ですね。

そうですよね。本当にそう思います。といいつつ、店頭でPENTAX Q7のコンパクトさとAFの速さにやられてしまった私です。いえ買いませんが、なんか軽いし手ぶれ補正がすごく効いてますよね。ああこんなカメラがフィルムであれば…110は画質悪かったんですよねぇ。

下のコメントで皆様お答えになっていますが、昔京橋のフィルムセンターでセルロイドのフィルムが自然発火した事故がありました。よく覚えています。調べましたら1984年なんですね。
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%81%AB%E7%81%BD

_ Haniwa ― 2013年08月07日 23時45分05秒

皆様、お返事が遅れてすみません。m(_ _)m

■ small-talk様
モノクロフィルムはかなり残りますね。我が家の1970年前後のカラーフィルムはかなり退色していますが、1950年代のモノクロフィルムはまだ大丈夫っぽいです。プリントに至っては80年ぐらい前のプリントも全然問題ないです。フィルムで撮って銀写真プリントという流れを残したいですね。

セルロイド製のフィルムですか。これは保管に気を遣いますね。我が家の場合戦前の写真はプリントしかなく、ネガなどを私が引き継いだものは戦後のフィルムばかりでした。セルロイドは冷凍庫に入れるしかないですね。停電したら…って原発よりは安心ですね(泣)。

フィルムセンター火災は私もよく覚えています。家のフィルムがセルロイド製かどうか調べたような…。

八ヶ岳の麓に保管っていいですね。そんな商売ないですかね(笑)。あそこも火山帯で温泉とかありますから、そういう意味で安心できない保管場所かもしれませんが。

■ たけぴょん様
ありがとうございます。

キャンプ淵野辺の跡地なんですね。

>また、酢酸臭を伴う化学変化の著しいフィルムについては、室温2℃、湿度35%に設定された専用室で特別な保存がなされている。

これは参考になりますね。うちの酢酸臭のひどい8mmフィルムもこういう保存の仕方がよいのですかねぇ。専用冷蔵庫を買うかなぁ(笑)。きっと家族の弾圧を受けるな(泣)。

_ いつもとおりすがり ― 2013年08月08日 09時00分33秒

Haniwa様、皆様

フィルムセンターの件、いろいろと教えていただいてありがとうございます。

「長期保存」に関して、この国は古墳の壁画や核廃棄物処理などにみられるように、これまでいくつもの失敗や欺瞞が横行していますので、気になった次第です。(以前にもコメントしたと思いますが、はっきりいって、この国の「専門家」はあまりあてにならないです...)

あと、500年というスパンなら、やはり、「戦災」も視野に入ってくるかもしれませんね。

_ Haniwa@m(_ _)m ― 2013年08月08日 09時59分17秒

戴いたコメントのお返事はもう少しお待ちください。m(_ _)m

_ Haniwa ― 2013年08月09日 10時50分17秒

いつもとおりすがり様
お返事が遅れてすみません。m(_ _)m

>「長期保存」に関して、この国は古墳の壁画や核廃棄物処理などにみられるように、これまでいくつもの失敗や欺瞞が横行していますので、気になった次第です。

高松塚古墳とか酷いことになってしますよね。しかもすぐに公表しなかったとか原発と同じですよね。

>この国の「専門家」はあまりあてにならないです...

予算や研究費で操られている人が結構…。

>あと、500年というスパンなら、やはり、「戦災」も視野に入ってくるかもしれませんね。

貴重な文化遺産を守るためにも戦争放棄条項が必要なんでしょうね。そうすると無防備なのに攻撃されたら困るから軍備が…といった議論が出てきて…(泣)。

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