フジカラーPRO400Hを試写する(赤城耕一のフィルムカメラパラダイス)2013年07月01日 00時00分00秒

フジカラーPRO400Hを試写する(赤城耕一のフィルムカメラパラダイス「FILM&IMAGE VOL.31」)

来春で休刊(という名の廃刊だろう)が決まった、FILM&IMAGEのVOL.31(2013 Summer)の赤城耕一のフィルムカメラパラダイス第24回はフィルム番外編として「フジカラーPRO400Hを試写する」だ。

フジカラーPRO400Hは、海外向けの(プロ用)ネガカラーフィルムで、国内では最初逆輸入で、途中から一部店舗で扱いが始まり、今回日本国内向けのPRO400(135)が製造中止になることから、正式にPRO400Hが国内販売されることになった。
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新登場のフジカラーPRO400Hは従来のフジカラーPRO400に代わる 高感度のプロフェッショナルタイプのカラーネガフィルムである。

PRO400Hは以前から海外向けに発売されており、数年前から日本でも一部で試験的に発売されていたが、好評のためこのたび一般発売されるものである。これによって、富士フイルムのISO400のプロフェッショナルタイプのカラーネガフィルムは全世界でPRO400Hに一本化されることになる。

「好評のためこのたび一般発売されるものである。」から「これによって、富士フイルムのISO400のプロフェッショナルタイプのカラーネガフィルムは全世界でPRO400Hに一本化されることになる。」へのつながりがおかしいよねぇ。好評のため一般発売されるようになったらどうして「PRO400Hに一本化されることになる。」のか。それは135のPRO400が製造販売中止になったからだ。富士フイルムの発行する雑誌だから、そこは書きにくかったんだろうなぁ。でもよく読めば気づくように書いているところは偉いですな。

PRO400Hの特性はまず「第4の感色層」の採用によって、光源の種類を 問わず忠実な色再現が期待できることだ。昼光だけではなく電球色、蛍光灯下などで美しい色再現が可能になるのはPRO400Hならではの大きな特徴であり、多種類の光源がミックスされた状況下でも美しい色再現のプリントを制作することが可能になる。

驚きの滑らかな階調再現性

肝心のPRO400Hの色再現性だが、華美に走らず、落ち着きのあるニュートラルな色再現をすることが大きな特徴になっている。このため、商品の色を忠実に再現したい広告写真、人物写真にも向 くほか、建築写真、風景写真にも良い結果が得られるだろう。

個人的にとくに好感を持てたのは女性や子供の肌の再現性の美しさである。オトナのためのカラーネガフィルムという印象を強くもった。きわめて軟らかい調子のため、階調再現性は驚くほど広く、 しっとりとした潤いのあるプリントを制作することができ、ディープシャドーからハイエストライトまでの繋がりがたいへんよい。また明暗差の大きな条件でも不自然さがないのがいい。デジタルとはまったく異なる写真を制作することができるはずだ。

階調が豊富だし、滑らかな肌再現もいいのだが、やっぱり色調が気になる。なんとなく寒色系で顔色も決してよくない。元コニカのネガフィルム愛用者からみたら、なんか蝋人形っぽくないか。まあコニカの方が不自然に赤みの乗った肌再現なのかもしれないが。肌だけでなく、PRO400Hの空の色も青く抜けてなくてなんか渋いんだよねぇ。

もちろんPRO400Hはカラーネガフィルムであるから、色再現に関しては、プリント時にコントロールが可能である。

仰るとおりですな。わざわざこんな風に色再現はコントロール可能なんて書くのはなんでだ(笑)。

まあせっかく残っているフィルムをけなすのはあれだが、残っているフィルムは硬調派手派手系ばかり、色再現がまだマシだった軟調系のPRO400は、軟調であっても寒色系のPRO400Hに置き換わるとは…。なんだかなぁ。前回は「このフィルムはもうこれで終わりにしたい(笑)。」と書いたが、無くなってしまう前にもう一回使ってみるか。光源の色温度に左右されにくいというのはメリットだし。

コメント

_ とんかつ ― 2013年07月01日 22時50分31秒

Haniwaa さま

プレミアム 400と、PRO 400は、値段も表現も似ています。
・・一番最近購入した富士は、ベルビアも両方とも2015までの期限・・

>色調が気になる。


どうもおかしい。結構400Hも含めて3種類を一つにしたかったけれど、猛烈に反感を買った。・推測です。
ですが、なんというかフィルムのこと



子供の生き生きした様子は、少しあらっっぽい表現な安いコダック。

>顔色も決して良くない。

ほっぺたが少しほんのりとした、厳しい環境の子供たち。

中東の医療機関のネットワークを受注したのだから、フィルムはもうけが少しでも、作ってほしいな。

_ Haniwa ― 2013年07月02日 08時50分32秒

とんかつ様
>プレミアム 400と、PRO 400は、値段も表現も似ています。

そうですね、私が以前使った感じではプレミアム400の方がやや派手目で、PRO400の方が階調がある感じでした。赤色などの原色で差があったような気がしました。

>どうもおかしい。結構400Hも含めて3種類を一つにしたかったけれど、猛烈に反感を買った。・推測です。

まだプロ用と一般用とがありますから、3つをひとつにはまだならないんでしょうね。プロ用ISO400(135)をひとつにした段階ですね。海外ではPRO400Hの色調は人気あるんでしょうかねぇ。それともKodak PORTRA400との競合上、似たものにするよりはやや寒色系で棲み分けているんでしょうか。

>子供の生き生きした様子は、少しあらっっぽい表現な安いコダック。

東洋人にはKodakのGOLD系はあまりよい感じはしないかもしれませんね。SUPER GOLD 400は、色白でない人は肌がややくすんで黒っぽく写ってしまうのが難点のように感じました。もともと色白ではないからそれでいいんだという意見もあるかもしれませんが、色白でない人はより色白でなく写る感じがします。露出に寄るのかもしれません。アンダーだと肌が土色に写るというインプレもありましたので。

>ほっぺたが少しほんのりとした、厳しい環境の子供たち。

やや寒色系のPRO400Hの方が向いているのかもしれませんね。豊かな環境のよい顔色の子どもたちには、PORTRAやかつてのコニカのネガが向いているのかもしれません。

いずれにしても私ももう少しフィルムを使って、消費量を増やしたいと思います。

_ いつもとおりすがり ― 2013年07月02日 09時12分50秒

Haniwa様、皆様

>富士フイルムの発行する雑誌だから、そこは書きにくかったんだろうなぁ。でもよく読めば気づくように書いているところは偉い

広告雑誌とはいえ、文章の行間を読まなければならない国/社会というのは、冷戦時代の東欧諸国並みの検閲水準といったところでしょうか。笑

メディアリテラシーの高さが求められるわけですね。笑

_ Haniwa ― 2013年07月02日 09時37分33秒

いつもとおりすがり様
>広告雑誌とはいえ、文章の行間を読まなければならない国/社会というのは、冷戦時代の東欧諸国並みの検閲水準といったところでしょうか。笑

まだ明確な検閲がある方がマシかもしれません。誰が何を書かせないようにしているのかがはっきりとしますから。そうではなくて、自主規制とか暗黙の了解とか圧力とかそういう方が怖いです。

>メディアリテラシーの高さが求められるわけですね。笑

論理的に追えばおかしいと気づきますね。国内で1種類フィルムが増えたのにプロ用は「一本化される」とあれば、一本化する前になにかがあって複数になるはずがならなかった、すなわち廃止になったものがある、と。だからみんなが一番知りたいPRO400とPRO400Hとはどこが違っているのか何が変わったのかが全く書かれていない変な記事になってしまうわけです。

_ いつもとおりすがり ― 2013年07月02日 10時18分30秒

Haniwa様

>誰が何を書かせないようにしているのかがはっきりとしますから。そうではなくて、自主規制とか暗黙の了解とか圧力とかそういう方が怖い

こういった部分が透明化/情報開示されるべきだ思います。

>論理的に追えばおかしいと気づきますね。国内で1種類フィルムが増えたのにプロ用は「一本化される」

この、「一本化」という言葉自体が「何かよくなる、改善される」という前提のもとに魔法のように(つまり、無批判に)使われているような気がします。一般に、ニュースでこの言葉出てくる時というのは、大抵の場合、政治機構の縦割り構造の弊害を正すものとされるわけですから...

文脈や過程が排除され、何がどうなっているのかわからないまま、だけれども、それでよしとされる状況が依然としてつくられているのだと思います。もっといえば、市場に溢れかえっている商品がそうしたものばかりで、消費者の不満もまったく解消されていませんし...

_ Haniwa ― 2013年07月03日 08時23分56秒

いつもとおりすがり様
>こういった部分が透明化/情報開示されるべきだ思います。

いまはネットで色々発言できますから、フリーの人が暴露してくれたりしますね。
でも、大手の中の人とか、フリーでも色々縛られている人(こっちが大半だと思います)は簡単には暴露できないでしょうね。

>この、「一本化」という言葉自体が「何かよくなる、改善される」という前提のもとに魔法のように(つまり、無批判に)使われているような気がします。

「一本化」という言葉自体はニュートラルなような気もします。要するにひとつにするというだけですから。問題はその一本化を言うのに何かよいことのように言うことでしょうね。多様性が求められるときに一本化する場合と、無駄なものがたくさんあって一本化するときでは意味が違いますし、そもそも多様性が求められているのか無駄が多いのかは誰が判断するのか基準は何かとかありますし。

>文脈や過程が排除され、何がどうなっているのかわからないまま、だけれども、それでよしとされる状況が依然としてつくられているのだと思います。

結局上で言ったような判断を誰がどういう基準でしたのかを分からないままに(分からせようとしないままに)メディアが結論だけを垂れ流すからでしょうね。

アベノミクスは「正しいか」ではなく「実行しているかどうか」を議論すべき
(竹中平蔵の「経済政策ウオッチング」)
ttp://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20130625/355757/
↑これなんか、理由もきちんと示さずに結論だけをお題目のように唱えていてまったく論理的ではないです。大学教授の書いた文章とは思えないレベルです。まだ誰が言っているか分かるだけ普通の記事よりはマシですが(笑)。

>もっといえば、市場に溢れかえっている商品がそうしたものばかりで、消費者の不満もまったく解消されていませんし...

こればかりは、企業は消費者のためではなく出資者のために活動しているので改まらないでしょうね。消費者が満足していなくてもそれで儲かるなら営利企業としては問題なしですから。その不満を解消した競争相手が出てきて利益が圧迫されそうになったらちょっと変わるという感じでしょうね。買わざるを得ない場合も多いですが、気に入らなければ買わない、宣伝に乗せられないというのを消費者が意識して行うことでコントロールするしかないんでしょうね。それも限界がありますが。

_ いつもとおりすがり ― 2013年07月03日 09時16分55秒

Haniwa様

>問題はその一本化を言うのに何かよいことのように言うこと

おっしゃるとおり、そのように使われている例が比較的多いと思います。フジのフィルムの件は、事実としては、「生産縮小」「製品項目削除」ということなのに、そこを海外での人気がどうのこうのとか、「一本化」とか、やや焦点をぼかして書かれていますから...

>多様性が求められるときに一本化する場合と、無駄なものがたくさんあって一本化するときでは意味が違いますし、そもそも多様性が求められているのか無駄が多いのかは誰が判断するのか基準は何かとかありますし

ようするに、企業の側として、それは経営者や投資者の意見の表れとしては、「フィルムは一種類あれば十分」ということなのでしょう。

>買わざるを得ない場合も多いですが、気に入らなければ買わない、宣伝に乗せられないというのを消費者が意識して行うことでコントロールするしかないんでしょうね。それも限界がありますが。

ですね。先日他の記事でコメントしましたが、「消費者が株主になって進言する」というのは、原発の問題と同じことなのですが、一つの効果的な手段だと思います。電力会社の株主総会の様子をニュースでみましたが、大株主になれなくても、少しずつ世論を動かしていくことはできるようですし...

_ Haniwa ― 2013年07月05日 08時00分59秒

いつもとおりすがり様
お返事が遅れてすみません。

富士フイルムの広報誌的な雑誌ですからある程度は仕方ないにしても、PRO400(135)製造販売中止に全く触れていないのはちょっとアレですよねぇ。バックナンバーであれだけ勧めておいて。

>ようするに、企業の側として、それは経営者や投資者の意見の表れとしては、「フィルムは一種類あれば十分」ということなのでしょう。

たくさん売れるのならばたくさんの種類をつくるんでしょうが、もはやこんな状況ですからね。私も時間ない上に、腰痛でデジタル一眼レフ持って行くときはフィルムカメラ持って行くのが辛くなっていますし…。なんとかフィルムを使い続けたいんですけれども。

>「消費者が株主になって進言する」というのは、原発の問題と同じことなのですが、一つの効果的な手段だと思います。電力会社の株主総会の様子をニュースでみましたが、大株主になれなくても、少しずつ世論を動かしていくことはできるようですし...

不買 + 株主の併用でコントロールするしかないんでしょうね。

_ tact ― 2014年01月03日 10時24分25秒

はじめまして
赤城さんの記事は共感できる部分が多く、また、わかりやすいのでよく拝読させていただいております。

ちょっと古い記事なので、このコメントには気づかないと思いつつですが

まったく同感です。
選べる楽しみが減るのは寂しいものです。
デジタルのこんな時代なので仕方ないといえばそうなのですが、やはり、フィルムはなくしてほしくはないと思います。
値段は上がっているし、種類も減っているので国内唯一のフィルムメーカーとして、もっとフジさんには頑張ってもらいたいものです。

それと、そうそう、ぼくもニコンを主に使っているので、ニッコールレンズの絞り環廃止は反対です。

_ めがねのパイロット ― 2014年01月03日 12時44分46秒

気が向いた時、New PRO400を買い込んでいます。
基本のフィルムがスペリアシリーズなので、派手派手なのですがお祭りで撮ったりするには色合いが強調されていい具合です。

思い返せば、PRO400を最初に使った時に派手さが欲しくて選んで失敗して以来、縁の遠いフィルムでしたが、なくなると聞いて買い始めた次第で…(^◇^;)

PRO400Hは一本だけ、お試しで買い使いました。
曇天でしたが、プリントのせいでしょう、色ははっきり目でしたね。

しかし、一本900円は冗談でなく高いです。
スペリアシリーズが5本パックで3000円程度と比較すると、あまり常用できない値段です。
でも、なくなると惜しいので、なんだかんだで買い始めて保管して使用機会を伺っています(笑)

_ Haniwa ― 2014年01月03日 21時25分41秒

■ tact様
はじめまして。コメントありがとうございます。

赤城耕一氏は、カメラ雑誌などでお仕事されている人たちの中で、メーカーに阿ねず、撮影者の立場に立った発言が多いので、私も共感しています。

赤城氏は嘘を付かずに気になることがあればちゃんとよく読むと分かるように書いておられるように思います。

New PRO400の方が、PRO400Hよりも好みの色調だったのでちょっと残念ですが、まあ全くなくなるよりはましと考えることにします。

>それと、そうそう、ぼくもニコンを主に使っているので、ニッコールレンズの絞り環廃止は反対です。

ありがとうございます。ちょっと前に某巨大掲示板を見ましたら、なんか絞り環絞り環とか書いている人がいて(私じゃないですよ-笑)、ちょっとずつ絞り環あった方がいいなぁと思う人が増えているのかなとも思いました。

■ めがねのパイロット様
New PRO400はどちらかというと暖色系なので私も好きです。ただ、NEW PORTRA 400の方がより好みなので最近はあまり使っていません。コニカのネガ愛用時代には、粒状性が気になるような場合にNewPRO400を使ったりしていました。

>しかし、一本900円は冗談でなく高いです。

そうですね、PORTRAもそんな感じです。コニカのネガ(135-36)が1本100円だった時代が懐かしいです。特にコニカポートレート400と中味が同じというほっぺにチュッの安売りを買えた時代が懐かしいです。最後は赤ちゃん本舗とかまで買いに行きました(笑)。

1本1000円でも丁寧に撮って大事に大事に写していこうと思います。大事にし過ぎて昔みたいに正月と盆が一緒に写っているかも(笑)。

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