フラッシュメモリーとフォレンジック ― 2012年04月25日 00時00分00秒
戴いたコメントのお返事ができなくてすみません。もう少しお待ちください。
以下のようなフラッシュメモリー上のデータ保存の寿命についての記述があった。やっぱりデジカメは撮って帰ったらすぐにコピーしてバックアップしないといけないですな。紹介するだけの記事ですまん。
■データ保存の寿命
最近のNAND型のフラッシュメモリーは、データ保持期間が5年程度といわれています。たとえば、SDカードメモリーやUSBメモリーへデータを記録して、その後、使用せずに5年間放置すると、データが電気的に消失する恐れがあります。
フラッシュメモリーには、トランジスターの内部に電荷を保持する浮遊ゲートという領域があり、酸化膜による絶縁体で覆われています。フラッシュメモリーは、電子の流れをコントロールして、この浮遊ゲート内へ電子を引き込んだり放出したりして、浮遊ゲートの電荷の状態によってビット情報の有無を表現します。このように浮遊ゲート内に電子を出し入れすることでビット情報を管理するのが、フラッシュメモリーの基本原理です。浮遊ゲート内の電子は、トンネル効果により一定の確率で絶縁体から少しずつ漏れ出しています。1つの浮遊ゲートで1ビットを表現できるSLC型(Single Level Cell)のフラッシュメモリーは3~5年、1つの浮遊ゲートで複数ビットを表現できるMLC型(Multi Level Cell)のフラッシュメモリーは10年経つと、電荷が消失します。さらに、電荷の移動が頻繁に行われると酸化膜が次第に劣化するため、電子が漏れる確率はより高くなり、データの保存期間が短くなります。また、フラッシュメモリーの記録容量を増加させるために、電子回路の小型化が進んでいます。つまり浮遊ゲートがますます小型化し、閉じ込められる電子量が減少し、保持時間が短くなっていく傾向にあります。このようにフラッシュメモリーは、情報を記録できる期間に限界があり、長期保存が要求されるデータの記録には向いていません。
放置されているフラッシュメモリーならいざ知らず、普段使用しているフラッシュメモリーであれば、データが消えることはないと考えるでしょう。フラッシュメモリーの空き領域へデータを追記していれば、フラッシュメモリー全体が給電されているため、データが記録された領域も電力が供給され、データの保持期間が延長されると思うでしょう。しかし、フラッシュメモリーが大容量化したことにより、普段使用しているフラッシュメモリー上でも、データを保存したまま、書き換えられない領域が存在する恐れがあります。そして、フラッシュメモリー全体を通電させるだけでは、データが記録された領域の浮遊ゲートへ電荷の補充は行なわれません。浮遊ゲートへ電荷を補充するためには、データが記録された領域を書き換える必要があるのです。つまり、フラッシュメモリーでデータを長期保存するためには、定期的なデータの書き換えが必要なのです。
205号コラム「フラッシュメモリーとフォレンジック」(デジタル・フォレンジック研究会)
<第205号コラム> 大谷 尚通 幹事(株式会社NTTデータ 技術開発本部 セキュリティ技術センタ シニアエキスパート)
コメント
_ ノーネームしたん ― 2012年04月25日 23時15分41秒
_ Haniwa ― 2012年04月26日 09時51分23秒
思っていた以上にフラッシュメモリーのデータ保持期間が短いですね。毎回帰ったら複数にコピーする習慣にしているのですが、皆がそうしているとは限らないので心配ですね。
お年寄りで、他のメディアにコピーせずにフィルムのようにメモリカードを買い増ししていつも新しいメモリカードに撮影しているという話はよく聞きます。数年後撮り溜めたメモリーカードを見てみると…(泣)。これはちゃんとメモリーカードに注意書きを書いた方がいいんじゃないでしょうかねぇ。「ケンコーのため撮った画像はすぐにコピーしましょう」とか(笑)。
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