コダック コンシューマービジネスにおける収益力向上のための戦略を発表、デジカメから撤退 ― 2012年02月10日 00時00分00秒
コダックが、コダック コンシューマービジネスにおける収益力向上のための戦略を発表 消費者、店頭および現像所におけるプリント製品・サービスに注力 コマーシャルビジネスに変更なしというアナウンスをだしている。
2012年2月9日
コダック株式会社
[リリースNo. 12-007GE]コダック コンシューマービジネスにおける収益力向上のための戦略を発表 消費者、店頭および現像所におけるプリント製品・サービスに注力 コマーシャルビジネスに変更なし
2012年2月9日、米国 ニューヨーク州、ロチェスター発:イーストマン・コダック社(以下、コダック)は本日、収益力向上のために、コンシューマービジネスの焦点を消費者、店頭および現像所における出力製品とそのサービスに当てることを発表しました。コダックは、コンシューマービジネスにおいて利益を伴う成長をもたらす最大のビジネス機会である店頭およびオンラインでの消費者向け写真プリント、婚礼、学校、観光写真等のコマーシャルプリントビジネスに注力します。結果、コダックは、デジタルカメラ、ポケットビデオカメラ、デジタルフレームという消費者向けデジタルキャプチャー製品の販売から2012年上半期中に撤退する予定です。
コダックは第1四半期でデジタルカメラ、ポケットビデオ、デジタルフレーム製品の生産を中止しますが、小売チャネルパートナーと緊密に連携して、これらの製品の保証、技術サービス及びサポート提供を継続します。
コンシューマービジネスのプレジデント 兼 チーフ・マーケティング・オフィサーであるプラディープ・ジョットワニは、「これまで製品ポートフォリオ、販売地域、そして販売店数の縮小という戦略をとることによってデジタルキャプチャービジネスの利益改善を行ってきました。本日の発表は、この戦略の延長であり市場トレンドの分析の結果です」と述べています。
コダックはコンシューマービジネスセグメントに加えて、デジタルプリンティング、ファンクショナルプリンティング、企業向けサービス&ソリューション、グラフィックス、エンターテインメントフィルム、コマーシャルフィルムを含むコマーシャルビジネスセグメントを主要事業分野にしており、コダックのデジタルビジネスは現在、全売り上げの4分の3を占めています。
写真がスマートフォン等の多機能モバイルデバイスによって撮影される機会が増加する中、コダックはパーソナルイメージング市場において強いリーダーシップを発揮しています。コダックは消費者が、プリントからフォトブック、グリーティングカードそして個人作成のカレンダーなど多種多様な写真製品をいつでも、どこでも店頭、自宅そしてオンラインで簡単に作れることを可能にしています。
コダックは以下を含むコンシューマー製品およびサービスの供給を継続します。
●店頭フォトキオスクやデジタルドライラボ
コダックは店頭フォトキオスクやデジタルドライラボ市場において、世界のリーダーです。コダックは店頭フォトキオスク市場を開拓し、現在世界中に10万台以上のキオスクとドライラボシステムを設置しています。また、これらのうち3万台は世界で最も人気の高い写真シェアサイトにリンクされています。●コダック・フェイスブック・アプリ
個人のフェイスブック・アルバムから写真製品を簡単に作成します。●コダック・カメラアクセサリーおよびバッテリー
これらの製品にはスマートフォンの充電器などが含まれ、メーカに関わらず幅広いコンシューマー製品に使用できます。●銀塩製品であるフィルムやペーパービジネス
高品質かつ革新的な製品やソリューションを消費者、写真家、小売店そして写真現像所に今後も提供し続けます。●コンシューマーインクジェットプリンター*
コダックのインクジェットプリンターは、過去数年にわたって市場成長率を上回る成長を続けています。コダックのインクジェットプリンターは、消費者に最も経済的なインクコストで、高いプリント品質を提供します。ユーザーは、WiFi等を使ってどこからでも書類や写真をコダックプリンターに送ることができます。
(*日本を含むアジア・パシフィック・リージョンでは販売されていません)※これは現地時間2012年2月9日、イーストマン・コダック社が発表したプレスリリースの抄訳です。
「●銀塩製品であるフィルムやペーパービジネス 高品質かつ革新的な製品やソリューションを消費者、写真家、小売店そして写真現像所に今後も提供し続けます。」というのは非常にありがたいのだが、他方で「コダックは、コンシューマービジネスにおいて利益を伴う成長をもたらす最大のビジネス機会である店頭およびオンラインでの消費者向け写真プリント、婚礼、学校、観光写真等のコマーシャルプリントビジネスに注力します。結果、コダックは、デジタルカメラ、ポケットビデオカメラ、デジタルフレームという消費者向けデジタルキャプチャー製品の販売から2012年上半期中に撤退する予定です。」というのは、いいのかそれで。
プリントに注力というが、世間はあんまりプリントしなくなってるぞ。まあセンサー部門を売却した時点でなんか先は見えていたような気もするが…。
銀塩部門だけの小さな会社をスピンアウトしてしまうのならいいが、巨体を残して、先端部門をどんどん外に出していったら、残った事業で巨体を維持できないと思うんだけどなぁ。これでいいのかコダック。他の部門で思いっきり儲けて、遊びで銀塩部門維持するぐらいの会社になってくれよぅ。
【さらに追記】
瀕死のコダックと飛躍する富士フイルム 2012.01.18(水)に、英エコノミスト誌 2012年1月14日号の記事の和訳がある。
フィッシャー氏は、コダックの「かみそりの刃」の事業モデルを時代に適応させることにも苦労した。コダックは安いカメラを販売し、高額なフィルムをたくさん購入する顧客に売り上げを依存していた(ジレットがかみそり本体ではなく、かみそりの刃で稼いでいるのと同じ)。
このモデルは明らかに、デジタルカメラでは通用しない。それでもコダックは、最終的にデジタルカメラを大規模な事業にしたが、この事業はほんの数年しか続かず、その後はカメラ付き携帯電話によって壊滅させられた。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34331?page=4
コダックの経営陣は一貫性がなかった。何人かの新しいCEO(最高経営責任者)が就任するたびに戦略が変わった。2005年に就任した現CEOのアントニオ・ペレス氏は、コダックをデジタル印刷の大手に変身させることに力を注いできた(ペレス氏が勤めたヒューレット・パッカード=HP=で学んだもので、コダックは今なお、これが自社を救ってくれると主張している)。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34331?page=4
コメント
_ arayo-too ― 2012年02月10日 12時37分13秒
_ Haniwa ― 2012年02月10日 13時18分31秒
旧チノンを売却したときからそういう路線だったんでしょうけど、なんだか素人の私でも心配な路線ですよねぇ。
ディスクカメラは私がこどもの頃でしたが、新聞記事を見て「あっ、これはアカン」と思いましたもの。私がカメラウィルスに罹患したのは、当時父親が110でばかり撮るのでその画質に不満で押し入れから35mm一眼レフを探し出して自分で撮り始めたからです。その110よりも画質の悪そうで扱いにくそうなフィルム。絶対に廃れると思いました。
まあ経済学って、自然科学と違って、予想したことを公表するとその予想によって結果が変わってしまう面がありますからね。大抵は後出しでしたり顔で語ることになります(笑)。最初からかすってもない分析や予想もたくさんありますが…。
小さなフィルム会社でもいいですから、収支がちゃんと合ってフィルムが供給され続けて欲しいですねぇ。
_ おおた ― 2012年02月10日 14時42分18秒
「WiFi等を使って、どこからでも書類や写真をプリンタに送ることができる」って、ちょっと考えても、あまりメリットが無いような気がするんですが、書類や写真を送りたいのであれば、パソコンに送ればいいだけですし、外出先から、自宅やオフィスのプリンタで何か急ぎで出力しなければならない状況って、そうそう無いと思うんですよね。まあ、日本では販売されないそうなんで、関係ないですが。まだ、なんかEasy Shareの二の舞になりそうな。
カメラつき携帯が、コダックのデジカメ壊滅の直接原因かどうかは、よくわかりませんが、携帯カメラに駆逐されてしまうような程度のカメラしか作ってなかったってのは事実かもしれませんね。ただ、コダックって昔もベス単とかブラウニーとか、カメラ自体はちゃちだったんですよね。
しかし、エコノミストの記事の翻訳、つたないなあ・・・・最初から最後まで通しで読んで、なんだかげっそり疲れました。
_ ノーネームしたん ― 2012年02月10日 21時11分28秒
事業の利益だけで比べて切ったんでしょうかねぇ、まだフィルムは儲けがあるし・・デジタル関連は過当競争でアレだし・・、
しかしフィルムとデジタルの両輪で運営した方が良いんでしょうが・・資本が・・もう(泣)。
まあ・・フィルム事業が末永く続いてくれるのであれば良いんですが。
ここに書きます
>最近のレンズだとニッ○ールブランドでも落としたらアウトのものが多いんじゃないですかねぇ。値段の高いものはある程度考慮されていそうですが。
高価なレンズで虚弱なら・・もう”そ~っと”しか動きたくないですなぁ(泣)。
>シグマは自社で解析しているらしいですからね。よそに売ったらたしかに本家に訴えられそうですね。シグマも絞り環付けて欲しいですねぇ。広角F1.8三兄弟はまだ絞り環ありますが、リニューアルされたら危ないですね。
3兄弟は・・、まあいずれ無くすつもりなんでしょうねぇ・・、そして各社のミラーレス用の交換レンズに力を注ぐ・・とかになるのでは・・。
>>いえ、外部のAFセンサーと電源部がレンズに付いていてMFカメラでもAFが使えます・・と言う・・
>なんか昔そういう横に出っ張った箱の付いたレンズがありましたよねぇ。でも自己完結でAFできるんなら、それはそれですごいですよねぇ。Nikon FやF2でも超音波モーターでさくさくAFが効く、とか(笑)。FやF2だと、AFファインダーという手もありますね。AFファインダーから横に箱の付いたAFレンズに無線で合焦情報が行くとか。そこまでしてFやF2でAFする必要もないんですが(笑)。ファインダー新設なら、FやF2でマルチパターン測光のフォトミックとか夢が広がりますね(笑)。
システムカメラここに極まる・・と(笑)、でもしようとすれば出来るかも・・という所が・・、まあ電源が湯水のごとく・・いゃ・・バッテリーパックがモータードライブの下に追加で・・
_ Haniwa@m(_ _)m ― 2012年02月13日 09時45分43秒
_ 針の助 ― 2012年02月13日 22時34分54秒
ご存知ならばスルーしてください。
私はこのブローニー判のスキャナーに興味があります。
外観はシッカリしているみたいですね。
たぶん10万円以下で買えるでしょう、、、、
サイト内より引用
>参考出品していたフィルムスキャナー
「OpticFilm 120」は、外観の仕様がほぼ固まり、
内部の最終調整を行なっている段階という。
発売時期は5月下旬を見込む。価格は未定。
ttp://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/20120211_511506.html
_ 針の助 ― 2012年02月13日 23時08分43秒
CP+へ行った人のブログを見たら
>ただメーカーからの情報によると日本での販売価格は20万円前後になりそうだとのこと。
やはり中判だとこれ位の値段になるのですね。
_ Haniwa ― 2012年02月14日 08時59分07秒
■ おおた様
かえってしがらみのない企業の方が新技術をうまく製品化できるんでしょうかねぇ。
コダックの一般用のプリンタって馴染みがないので分かりませんが、日本ではあんまり売れないような気がします。ただ、複合機のものすごい色調の自家プリントに対して、従来のネガフィルムからの銀写真プリントに遜色ない色調のプリントを提示できて、うまく消費者にアピールできれば、流れは変わるかもしれません。
このところよそ様から戴いた写真プリントは、ものすごい色とコントラストのものが多いです。プリントしないような流れになってきているので、その辺も厳しいとは思いますが。
たしかに携帯電話内蔵のカメラで取って代わられるようなカメラしか作ってなかったというのはありますね。フィルムを売るための手段として手軽なカメラを作っていたという経緯がそのままデジタルにも受け継がれていた面がありましたから。一方で個人では買えないような値段のデジタル一眼レフも作っていました。なんかチグハグな面があったんですよねぇ。
>しかし、エコノミストの記事の翻訳、つたないなあ・・・・最初から最後まで通しで読んで、なんだかげっそり疲れました。
機械翻訳に比べたらマシと思うようにしています(笑)。タダで読めるのでこんなものでしょうか。この翻訳が金出して読むものに掲載されていたら、ちょっと怒りますね(笑)。
■ ノーネームしたん様
フィルムは結構儲けが多いんだろうと想像しています。本当に大赤字なら富士もとっくにやめていると思いますよ。最近は、期限までに売れないものが増えて利益を圧迫しているかもしれませんが。
コダックって本当に経営がアレな会社なんですねぇ。せっかくいい技術持っていたのに、それを売り払いますか。どっちが成長分野なのかとか考えないんですかねぇ。まあ日の出ずる国の「芯まで腐っていた」企業のように、ズルしてまで存続して欲しいとは思いませんが…。
ニコンはLレンズとかないので光学設計上の差別化はあんまりないですが、鏡筒の作りなどは値段やクラスの差があるような気がします。
シグマ広角3兄弟はリニューアルしたときにも絞り環残して欲しいですが、最近のシグマレンズで絞り環付いた物が全然無いので、今後は期待できませんね。
>バッテリーパックがモータードライブの下に追加で・・
それでなくても下側に肥大化しているのに…。超望遠レンズでもぶれにくくて、腕の筋肉が付くという効果が期待できますね(泣)。
■ 針の助様
情報ありがとうございます。
ついに発売なんですね。20万円前後ですか。SUPER COOLSCAN 9000 EDが新品30万円ぐらい、最安値で25万円ぐらいでしたから、性能によって高いか安いか判断が分かれますね。SUPER COOLSCAN 9000 EDは、Deigital ICEが唯一正式にコダクロームに対応していたんですよね。その辺も「OpticFilm 120」はどうなのかが気になります。カメラ雑誌でのインプレを期待したいです。ただ、過去のフィルムスキャナもカメラ雑誌は性能比較とかやってこなかったんですよねぇ。
_ Haniwa ― 2012年02月14日 09時17分33秒
○Digital ICE
…(恥)
_ Roberto ― 2012年02月14日 10時06分56秒
_ arayo-too ― 2012年02月14日 10時47分13秒
フィルムスキャナー発売予定のようでありますか!?
詳細スペック等気掛かりであります!
主様、横レスですいません。
Roberto 様
kodak のオンラインストアに品薄状態についてコメントの記載発見であります。
(TOPページのニュースの欄に、
『1月30日 コダックフイルム受注増による在庫逼迫の件 』)
ttp://kodak.shop-kagaht.jp/
品薄状態から回復は時間がかかりそうであります。
_ Haniwa ― 2012年02月15日 08時26分33秒
コダックフィルムの国内の値上げと、チャプター11とが重なって一時的に品薄なんだと思いますよ。本体での生産は続いているらしいので、日本のコダックがちゃんと輸入してくれればそのうち入ってくるはずです。おそらく、日本だけでなく、世界中で買い置きに走ったんでしょうね。
■ arayo-too様
フィルムスキャナの詳細スペックが気になりますね。私はゴミ取り傷取り機能が気になります。Kodakが開発したDigital ICEのうちニコンが採用した赤外線でゴミや傷とフィルムとを識別する機能は非常に優れていました。ゴミや傷は取れるのに画像は甘くなったりしないんです。ライセンス料が高いかもしれませんが、是非とも採用して欲しいですね。
情報ありがとうございます。値上げもあってみんなが買い置きしたので在庫が捌けたんでしょうね。使おうと思ったらないというのは困るのですが、ある意味うれしいことだと思いますよ。それだけいまフィルムを買っておこうという人たちがいるということですから。
なければフィルムで撮るのを諦めるのではなく、他社製品でもいいので、フィルムで撮って欲しいですね。
かくいう私はこのところフィルムで撮れていないのですが…。なんとか頑張ります。
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agfaやコニカミノルタとは違う道を選んだって事ですね。
デジタル切り離して大丈夫なんでしょうか…。
かえって余計に心配事が増えたような気がするであります。
>コダックの経営陣は一貫性がなかった。(以下、略)
…ディスクカメラ…
…チノンのM&A…
これは正論過ぎて痛すぎであります…。
でも、大成功していたなら『選択と集中がうまくいった…』
とでものたまうのでしょうか…。
”エコノミスト”や”○○評論家”って、勝手なものであります…。