若者のクルマ離れと良い道具について(日経 PC Online) ― 2009年02月10日 00時00分00秒
今日は更新が遅れてしまった。すまん。コメントのお返事ももう少しお待ちください。
日経 PC Onlineに若者のクルマ離れと良い道具についてというコラムが載っていた。カメラの話はないが、なかなか面白いので取り上げたい。
日常的に道具――工具や工作機械、農機具や実験装置などなど――を使う人ならば、誰でも知っていることだが、良い道具は恐ろしいほどに人間の能力を拡大する。そして良い道具は、使う者に「自分の能力が拡張されている」という実感と喜びをもたらす。
「弘法筆を選ばず」は俗説であり、プロであればあるほど自分の使う道具にこだわりを持つということは、少しでも道具を専門的に使った経験のある人なら誰でも知っている事実だ。
そして、プロの使う良い道具ほど、一般的に目的別に細分化されるものだ。宮大工が木を削るというただ1つの目的のためにいったい何種類の工具を用意するか、ご存知だろうか。あるいは、旋盤を扱う熟練工は自分の用途に合わせた刃先(バイトという)を、自分なりに工夫して自分専用のバイトを用意しているということを知っているだろうか。
つまり、良い道具は突き詰めるほどに、単目的化するのだ。単目的化した道具は、その用途に対して最高の効率を出すと同時に、使用者に喜びを与える。道具を自在に扱う喜びを得た者は、ますます道具にこだわる。道具とヒトとの間には、このような循環が存在する。
ということで、プロでもない我々がどうしてカメラやレンズが増殖するのかを見事に説明してくれているではないか(笑)。そうなのだ、良い道具は突き詰めるほどに、単目的化するのだ。だからいろんな目的のためによい道具が増えてしまうのだ(笑)。これは仕方のないことなのだ(笑)。
便利になるのはいいことだ。しかし、それは結局のところ「あれもできます、これもできます」という五徳ナイフ路線だったのではないかと私は考える。
道具の使いこなしを覚えていない者には、五徳ナイフは受けがいい。「これひとつあれば、あれもできるしこれもできる」と考えるからだ。まして自動車はそれなりに高価な買い物だ。あれこれ使えた方がいいと考えるのは無理のないところである。
だが、考えてもらいたい。五徳ナイフでは宮大工を育成することはできないのだ。一人前の宮大工を育てるには、膨大な種類の木を削るための道具が必要である。それぞれの道具は、特定の目的に特化している。
では、五徳ナイフ化した自動車が育成し損なったのは何か?――おそらく、「道具としての自動車の良しあしを自分なりに評価できる能力を持った消費者」だ。
能力を失った消費者は、ますます五徳ナイフ的な自動車を求めるようになり、顧客満足度を追求する自動車メーカーはどんどん「あれもこれも」の自動車を販売するようになり、道具としての自動車を使いこなす喜びをしらない消費者が増え――この循環の果てに、不況が訪れ、「じゃあ自動車なんか要らない」という状況になっているように思えるのである。
今の若者が自動車に興味を持たないとしたら、それは「五徳ナイフ化した今の自動車からは、自動車という道具を使いこなす喜びを学ぶための経験を得られないから」ではないか、と、私は考えている。
ほら、なんかカメラやレンズにも当てはまるような気が(笑)。タコメータなくても車の運転はできるけれども、スポーツカーにはタコメーターは欲しい。レンズに距離指標がなくてもピント合わせは他の手段でできるけれども…。
ちなみにキットレンズに距離指標がなくても問題視しなかったのは、ズームレンズだったからだ。もしかしたらズーミングによってピントがずれたりするものもあって、そういう場合、距離指標はあてにならないからない方がいいということもあるからだ(距離指標のないレンズがそういうズレを抱えているとは限らないので念のため)。単焦点レンズではそういうズーミングによるずれはないから、ちゃんと距離指標を付けるべきだと思っている。
Kodak 400UCカラーネガフィルムが製造販売終了に ― 2009年02月10日 00時00分01秒
ナショナルフォートの情報によれば、コダックプロフェッショナルカラーネガフィルム 400UCが製造販売終了になるようだ。
ナショナル・フォート製品情報 最新の銀塩感材ニュース
コダックプロフェッショナルカラーネガ 400UC製造販売終了のお知らせ 2009.2.10
コダックプロフェッショナルカラーネガ 400UC 135-36、135-36(3)、135-36(5)、135-36(10)
製造販売終了時期:2009年3月末ごろ(各品目ごとに払底時期が異なる場合があります)
ま、マジですか…。ウルトラカラー100UCの方はEKTAR 100の発売と入れ替わりだったからまだ納得しやすいが、400UCは代わりのフィルムなしなのか。EKTAR 400とか出ないのか…。
Kodak ULTRA COLOR 400UCはコニカミノルタのセンチュリアスーパー400のストックがなくなりかける頃に後継候補として使ってみたが、人物の顔が青っぽく(シアン掛かる)写ることがあるので、ちょっと好みではなかったのだ。しかし、そこそこ売れているフィルムだとは思っていたのだが。ネガカラーはISO400が常用フィルムなので、コダックは是非後継フィルムを用意して欲しい。
【追記】
別のページに、
【代替推奨製品】 コダックプロフェッショナルカラーネガ ポートラ400VC
とあるので、後継フィルムはないようだ。とほほ。ポートラは乾燥不良を起こすので富士系のラボでは現像できないらしい(ヨドバシDPEコーナー談)ので不便なのだ。エクター100といい、なんだかややこしいフィルムばかり残すんじゃない(笑)。
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