ソニー、裏面照射型センサー「Exmore R」を実用化2009年01月16日 00時00分00秒

ソニーが裏面照射型センサー「Exmore R」を、まずはデジタルビデオカメラ「ハンディカム」2機種で採用して実用化に入ったらしい。
ソニー、裏面照射型センサー「Exmore R」を実用化~HDDハンディカムに搭載。GレンズやGPSも(デジカメWatch)

裏面照射型CMOSセンサーは、同社が2008年6月に開発発表した撮像素子。センサーの表面から光を照射していた従来のCMOSセンサーとは異なり、背面から光を入射させることで、センサー上の配線やトランジスタの影響を受けることなく、フォトダイオードに入る光の量を増大させることが可能。従来の表面照射型に比べ、約2倍の感度を実現した。画素配列は、独自のクリアビットを引き続き採用する。

なお、デジタル一眼レフカメラ「α」とコンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」へのExmore Rの採用について現時点では明らかにしていない。ただし、ソニーによるとExmore Rの搭載が適していると判断したデジタルカメラには、今後搭載する可能性があるという。今回、Exmore Rをデジタルビデオカメラに搭載した理由について、「特に暗所での撮影におけるノイズ低減などの観点から、ハンディカムへの採用が最適と判断したため」としている。

上記記事では感度が2倍になることしか触れていないが、私が注目するのは、配線部分が邪魔にならない分斜めからの光も入りやすくなるのではないかということ。そうすると、レンジファインダーカメラなどの対称型構成の(超)広角レンズのようにフランジバックが短くて斜めに光が入るようなレンズもデジタルカメラで使いやすくなるのではないか。ライカMマウントの35mmフルサイズデジタルカメラはまだないが、この技術で実用化できるのではないか。BiogonやHologonがデジタルでも35mmフィルムと同じ画角で使える日が来るのだ!まあ、満足行くカメラが手頃な値段で買えるようになるのはかなり先だと思うが。

デジカメWatchの上記記事には「HDDハンディカムに搭載。GレンズやGPSも」というサブタイトルがついていたので、つい京セラのCONTAX Gシリーズ用のGレンズかと思ってしまった(笑)。

Windows 2000 Professional SP4 でReadyBoost 機能を使ってみる2009年01月18日 00時00分00秒

Toshiba Libretto L1

日曜日なのに珍しく更新。一昨日の晩からコメントスパム攻撃がすごく、世界中のドメインから書き込まれている。見つけ次第消しているのだが、その記事のコメントを書き込めなくするとまた別の記事にスパムが…という感じでいたちごっこなのである。アサブロはスパム対策が不十分なので私が手動で消すのが遅れることがある。その場合でもスパムコメントのリンク先を決してクリックなさらないようにお願いします。場合によっては未対策のセキュリティホールを突かれて何か変なものをインストールされたりするかもしれませんので。

それでそんなスパムに労力割くぐらいなら、ついでに下書きしてあった記事もアップしてしまおうという前向きなんだか後ろ向きなんだか分からない更新だ(笑)。


また、ブログのデザインテンプレートが一昨日の晩から変わっている(「アサブロたん」)。これはぱにー様のご提案によるもので、1週間これでいきますので、我慢してご了承ください。


さて、Windows VISTAって必要動作環境のハードルが高いのでまったく興味が湧かないのだが、ひとつだけうらやましい点がある。それは、「ReadyBoost」機能という、USBメモリなどのフラッシュメモリの記憶領域をキャッシュメモリとして使用して、PCのパフォーマンスを上げられる機能が用意されている点だ。古いPCでメモリの増設などができないPCにこそこういう機能が必要だと思うのだが、それがVISTAという重いOSでしか用意されていない点に矛盾を感じていた。

しかし、日経BPの記事によると、eBoostrというソフトでWindows XPでも同じ機能が可能になるという。
Windows XPでVistaの「ReadyBoost」を実現して高速化(日経BP)

しかし、うちのWindows XP機はメモリを2GB積んでいて、私の使い方ではCPUの処理能力をもっと向上させたいと思うことはあっても、キャッシュメモリは十分に足りている。

そこで、eBoostrのサイトを見てみると、Windows XPのみならずWindows 2000にも対応しているじゃないかっ!こ、これは試してみるしかない。しかし、よく読むとFAQにUSB 1.1は遅いので対応していないとある。うちの古いノートPCはUSB 1.1なのであった。残念。

しかし、よくよく考えてみるとPCカードスロットに挿してUSB 2.0にするカードを持っていたのだった。そこにUSBメモリを挿してUSB 2.0でキャッシュメモリを割り当てられないだろうか。やってみる価値はある。試用版はフル機能がOS起動後4時間は使えることになっている(再起動すればまた4時間使える)。うちのノートPCは連続で4時間使うことはないので試用版で十分だ。

用意したのは、東芝Libretto L1 Crusoe 600MHz 384MB(128MB + 256MB) + Windows 2000 Professional SP4 + BUFFALO IFC-CB2U2V + SILICON POWER USBメモリUltima III-Series 2GB。キャッシュの割り当ては1.5GBにした。SILICON POWER USBメモリUltima III-Series 2GBは、ソフマップの特価ワゴンで1200円だかで売っていたもの。

結果は、キャッシュ有効時アクセス速度1.55倍。うーん。どうなんだろう。eBoostrを使うためにUSB2.0 インターフェイスPCカードを挿入しているとLibretto L1のCPUファンがほとんど回りっぱなしになるのでそれを考えるとメリットをあまり感じない。たしかにブラウジングとか速くなっているのは分かるのだが。測定時はアンチウィルスソフトのAvast!を常駐させている。また、Libretto L1のHDDは購入当初の東芝MK1016GAP(10GB)から東芝MK4025GAS(40GB)に換装してあるので、もともとのMK1016GAPの状態で測定するともっと速度向上になるはずだ。HDD換装後はHDDが高密度化している分HDDのアクセス速度がノーマルよりも上がっているからだ。

CardBus用 USB2.0 インターフェイスPCカードバッファローIFC-CB2U2Vを介してUSBメモリを挿しているので、IFC-CB2U2V自体がPCの負荷になっているのだろう。動画などはeBoostr使わないとき(IFC-CB2U2Vを挿してないとき)の方が滑らかに再生できた。IFC-CB2U2Vを挿すとLibretto L1のCPUファンがずっと回っている。抜くとCPUファンは止まる。eBoostrは最初からUSB 2.0を装備したPCなら効果あるんだろうなぁ。残念。eBoostrはLibretto L1からアンインストールした。

これはeBoostrの問題ではなくてUSB 2.0のインターフェースを持たないPCの問題だ。ちなみにLibretto L1にはIEEE1394があるので、ここにIEEE1394のカードリーダーを挿してCFカードなりSDカードを挿せばeBoostrを使えるかとも思ったが、eBoostrのサイトにはIEEE1394に言及していないので使えないのかも。やっぱり駄目か…。

USB 2.0装備のWindows 2000やXPのPCでeBoostrを使うと幸せになれそうだ。

GR DIGITAL III 妄想2009年01月19日 00時00分00秒

Ricoh GR DIGITAL

ソニーの裏面照射型センサー「Exmore R」の話題でフランジバックの短いレンズを使う35mmフルサイズカメラの可能性について書いた(ソニー、裏面照射型センサー「Exmore R」を実用化 ― 2009年01月16日参照)。しかし、あとでよく考えると、感度が2倍になるということはコンパクトデジタルカメラでの高感度がよくなるという当たり前のことに気がついた(笑)。

GR DIGITAL(初代)がGR DIGITAL II になったときにISO400のノイズがかなり低減されて実用範囲内になった。しかし、大きなセンサーのデジタル一眼レフに比べると、高感度はまだまだだ。ノイズを画像処理で消してしまうと被写体の質感も失われる傾向にあるので、もともとの信号が強力でノイズに打ち勝っている方がいい。

それで、次期GR DIGITAL III (仮称)は、もう少しセンサーサイズを大きくした方がいいという意見も多い。私もいまのGR DIGITALのサイズは捨てがたいが、センサーサイズを大きくしてISO400以上の高感度の画像をもう少し改善して欲しいとも思っていた(森山大道氏の写真展「銀座/DIGITAL」に行きたい ― 2009年01月08日参照)。しかし、ソニーの裏面照射型センサー「Exmore R」を使えば、今のままのセンサーサイズ、ボディサイズで高感度撮影時の画質が改善するはずだ。

GR DIGITAL (初代と II ) の5.9mm F2.4(35mm換算28mm相当)のレンズは歪曲収差も少なく、隅々までシャープで優れたレンズである。センサーサイズを変えてしまうとレンズも設計し直しになるし、ボディサイズも今と同じにするのはかなり難しい。しかし、今のセンサーサイズで感度が2倍のソニーの裏面照射型センサー「Exmore R」で、光学系もボディもそのままで高感度の画質が向上するではないか。これはGR DIGITALの救世主かもしれない。光学系が同じなら、GR DIGITAL初代とGR DIGITAL II に共通のワイドコンバージョンレンズGW-1やテレコンバージョンレンズGT-1もそのまま引き続き使えることにつながる。新鮮味はないかもしれないが、高感度の画質がノイズリダクション処理に頼ったのっぺりとは違って、GR DIGITALらしい画質のまま向上するんだったら、初代やII ユーザーも買い換える動機になる。ソニーさん、裏面照射型センサー「Exmore R」をリコーさんに売ってあげてね(はぁと)。

あと、鏡筒前面に保護フィルターを直接付けられるようにするのは忘れないでね(はぁと)。

光学系が同じままだと気になるのが、リトラクタブル式のレンズ収納方式だろう。これがどうも心配だと思う人も多い。私のGR DIGITAL初代もリトラクタブル式のレンズ収納方式のせいかどうかは分からないのだが、一時期、接写時に横位置で【追記】絞り開放で【追記ここまで】右下隅の画像がほんの少しだが流れ気味になったことがある。文書などの平面を接写したときにしか現れなかったのでそのままにしていたのだが、テレコンGT-1を使うとその接写時の流れがより強調されるので物撮りなどでちょっと困っていた。修理に出すと鏡筒から撮像素子までごっそり交換になるので、躊躇していたのだ。

しかし、あるとき某掲示板でセルフタイマーボタン(ファイル削除ボタン)を押しながら電源ボタンを押して起動するとレンズがリセットされるという書き込みを見て、やってみた。そうすると、画面が真っ暗から明るくなりガガガーといいながら徐々にピントが合いながら起動する。結果は少し改善したような気がするがやはり近接時には【追記】絞り開放で【追記ここまで】右下隅の流れがあった。しかし、使うたびにセルフタイマーボタン(ファイル削除ボタン)を押しながら起動して使っていたら、いつの間にか直っていた(笑)。いまでは普通に起動しても接写時の右下隅の像の流れは見られない。ラッキー。\(^o^)/ ついでにAWBもよくなったような気がする。電球色の蛍光灯下での色がよくなったような気がする。これは像の流れと違って気のせいかもしれないが。

セルフタイマーボタン(ファイル削除ボタン)を押しながらの起動は、説明書に載っていない操作方法であり、それによってなんらかの不具合が起きても私は保証できかねますので、GR DIGITALユーザーで試される方は自己責任でお願いします。

【関連追記:2009年7月28日】
GR DIGITAL III 発表 ― 2009年07月28日
GR DIGITAL III は7月27日発表なのか? ― 2009年07月13日
【関連追記ここまで】


【追記】
昨日書いたコメントスパムの件だが、特定の記事にばかり来るのでその記事のコメントを書き込めなくすると、また別の記事に来るようになる。これではいたちごっこなので、以前試したダミーのコメント欄をそのときスパムの対象になっていた記事に付けたら、治まった。たぶんスパムロボットはその記事に延々書き込んだつもりになっているんだろう。同じ記事に延々書き込むタイプのスパムにはこの方法が有効なようだ。リンクをたどって次々と書き込まれると、全部の記事に"だみー" のコメント欄を付けなければならないが、それでも全部に付ければ撃退できるのであれば簡単だ。

富士 GF670 Professional のアサカメ表4広告版下がリーク2009年01月20日 00時00分00秒

GF670 Professional

昨日しがない写真屋様からいただいた情報で、富士フイルムの6×7版6×6判兼用のスプリング中判フィルムカメラ、GF670 Professionalのアサヒカメラの広告用版下と思われるPDFが富士フイルム子会社の富士フイルムイメージング株式会社の販売店向けビジネス情報サイトにアップされていることが分かった。なにかの間違いで公開されているのかもしれないので、雑誌発売日の20日に日付が変わるまで待ってみたが、まだ公開中のようなので記事化することにした。しがない写真屋様いつも情報ありがとうございます。m(_ _)m

問題の版下は以下のURLにある(PDF 1.2MB)
https://fujicolor-bp.jp/upfiles/GF670_ad_12_206.pdf

このPDFを見ると、GF670 Professionalは、「近日発売」で、まだ発売日は告知されていない。また価格も載っていない。そして左肩には「アサヒカメラ表4」の文字が。周囲にはトンボと呼ばれる版下特有の目印もついていて、アサヒカメラの裏表紙(表4)の広告版下であることを伺わせるものになっている。

また、富士フイルムイメージング株式会社の販売店向けビジネス情報サイトのトップページにも

2009/01/19
新中盤カメラ『GF670 Professional』発売告知開始」

とあり、今日発売のアサヒカメラにこのリークされた(?)広告が載ることを予想させるものとなっている。一般人は残念ながらトップページ以下には進めないようになっているのだが。しかし、「中判」でなくて「中盤」と書いてあるのは、写真フィルム、それもブローニーは終盤にさしかかってはなくてまだまだ中盤だぜ、という意味を込めているのだろうか(笑)。

さて、GF670 Professionalの一番の問題はその価格だろう。フォトキナで30万円という情報があったのだが、急速に悪化する世界経済のさなか、30万円の中判スプリングカメラは買う人が少ないだろうというのが多くの一致した意見であった。さてどうなるのだろう。

しがない写真屋様、情報ありがとうございました。

【追記:2009年1月20日】
まだ、本屋さんに寄っていないので雑誌は見ていないのだが、アローカメラ・我楽多屋さんのブログに、今日発売のカメラ雑誌裏表紙(表4)にGF670 Professionalの広告があることが写真入りで書かれている。
カメラ雑誌発売日!(2009年1月20日 アローカメラ&我楽多屋)
【追記ここまで】

【さらに追記:2009年1月20日】

Voigtlaender Bessa III(Fujifilm GF670 Professional)

ドイツの「フォクトレンダー」からもBessa III の名前で出るようなのでリンクを張っておく。
Bessa III Mittelformatkamera(Voigtlaender - Die offizielle Homepage)(独語)
Voigtlaender - Bessa III (voigtlaender.de)(英語)
【さらに追記ここまで】

【関連】
富士「GF670プロフェッショナル」は「お目見え間もなく」 ― 2008年12月24日
6×7判のフィルム中判カメラ「GF670」の価格 ― 2008年10月10日
PMA08で富士フイルムが67判スプリングカメラ「GF670フォールディング」を参考出品 ― 2008年02月04日

【関連追記:2009年1月30日】
中判フィルムカメラ「GF670 Professional」を3月中旬より限定5000台で発売 ― 2009年01月28日
【関連追記ここまで】

ポラロイドフィルムの復活を目指す The Impossible Project2009年01月21日 00時00分00秒

スラッシュドット・ジャパン経由でEngadget経由で知ったのだが、The Impossible Projectという有志が新しいポラロイドフィルムの生産の準備をしているという。古いポラロイドカメラで使える新しいポラロイドフィルムを2010年には生産できることを目指しているらしい。
ポラロイドのインスタントフィルム復活プロジェクト(スラッシュドット・ジャパン)
有志の手でポラロイドフィルム復活を目指すIMPOSSIBLEプロジェクト(Engadget Japanese)
The Impossible Project

We aim to re-start production of analog INTEGRAL FILM for vintage Polaroid cameras in 2010. We have acquired Polaroid's old equipment, factory and seek your support.

Polaroid is transforming itself from an analog Instant Film Production Company to a global Consumer Electronics and Digital Imaging company.

Production of analog Instant Film stopped in June 2008, closing the factories in Mexico (Instant Packfilm production) and the Netherlands (Instant Integral production).

Impossible b.v. has been founded with the concrete aim to re-invent and re-start production of analog INTEGRAL FILM for vintage Polaroid cameras. Therefore Impossible b.v. has acquired the complete film production equipment in Enschede (NL) from Polaroid, has signed a 10-year lease agreement on the factory building; and has engaged the most experienced team of Integral Film experts worldwide.

The Impossible mission is NOT to re-build Polaroid Integral film but (with the help of strategic partners) to develop a new product with new characteristics, consisting of new optimised components, produced with a streamlined modern setup. An innovative and fresh analog material, sold under a new brand name that perfectly will match the global re-positioning of Integral Films.

The Impossible Project

既にポラロイド社からオランダのフィルム工場を製造機器ごと借りる契約をまとめ、フィルムの分析を進めているとのこと。登場以来、四十年間ほとんど変わっていなかったというインスタントフィルムの構造を完全に作り直すのではなく、古いポラロイドでも動作する新しいフィルムの製造を目指しています。本年中は大量生産への準備を整え、生産開始は来年の予定。ウェブサイトでは今年いっぱいのカウントダウンも始まっています。

有志の手でポラロイドフィルム復活を目指すIMPOSSIBLEプロジェクト(Engadget Japanese)

すごいですなぁ。フィルム工場を借りて再生産ではなくてポラロイド用の新しいフィルムを生産しようなんて。素晴らしい。一番喜んでいるのは、ポラロイドカメラの中古をたくさん抱えた業者さんだったりして(笑)。


英文が書いてあると海外からのスパムの対象になりやすいので、"だみー"のコメント欄を付けておきます。本物のコメント欄は下の方あるいは「コメント」をクリックした先の下部にありますので、よろしくお願いします。

コメントをどうぞ(だみー)

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できますなぁんてね(笑)。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

アサヒカメラ50mm特集「最新50mmレンズに迫る」2009年01月22日 00時00分00秒

アサヒカメラの2009年2月号は50mm特集だった。ひとつは「最新50mmレンズに迫る」で、もうひとつは「MFニッコール50ミリレンズの描写力」だ。そのうちの「最新50mmレンズに迫る」では、ニコンのレンズではAF-S NIKKOR 50mm F1.4GとAi AF Nikkor 50mm F1.4Dが取り上げられている。

そして写真家の赤城耕一氏が、ニコン映像カンパニー開発本部第二設計部第二設計課副主幹の小濱昭彦氏に、AF-S NIKKOR 50mm F1.4Gについてインタービューしている。

新50ミリF1.4開発者に聞く
「50ミリはニッコールの顔」

―設計を変えたのはデジタル一眼レフの影響ですか?

それもあります。硝材やコートの変更、AF化などをしても、32年間基本は同じでした。今回超音波モーターを搭載しようということになり、新設計になりました。

―絞りリングがないのは残念でした。

苦渋の選択でしたが、メカが入ると、そのぶん光学設計の自由度が下がってしまいます。写りを優先しました。ただ、MFリングのトルク感などはこだわっています。

―レンズは増えましたね。

この一枚増が、かなり利いています。コマ収差などもかなり改善しています。MTFでも向上していますし、絞ったときの性能もよくなっています。非球面レンズを使えば無限遠の性能が向上しますが、近距離の性能が犠牲になりがちです。フローティング機構で改善できますが、ボケに悪影響が出ることがあります。今回は全体繰り出しでバランスをとりました。

―ナノクリスタルコートを採用しなかったのは?

もともとゴーストのでにくいレンズ設計にしましたし、今回使ったコーティングでもナノクリスタルコートの場合とあまり違いません。また、標準レンズなので、高価格にしたくなかったというのもあります。50ミリは会社の顔、しいてはニッコールの顔のレンズですからね、。実は私がニコンに入社したのは、50ミリのF1.4を設計したかったというのも理由の一つなんです。「けっして顔を汚してはいけない」と思いながら設計しました。

(アサヒカメラ2009年2月号99頁)

はじめにAF-S化ありき

絞りリングを無くすとその分光学設計の自由度が高まるというのだが、実際にこのAF-S NIKKOR 50mm F1.4Gで絞りリングの部分がそんなに光学系と干渉しているのだろうか。50mm F1.4Dの方は最大径が64.5mmなのに対して、50mm F1.4Gの方は73.5mmとなっていて9mmも径が太くなっている。これに絞りリングを付けるともっと太くなるというのだろうか。光学系の各レンズの直径はDタイプに比べてそんなに大きくなっていないようだから、この径が太くなった部分には何が入っているのだろう。光学設計の自由度というよりもAF-Sの超音波モーターとM/Aモードのための機構が入っているんじゃないのだろうか。前玉が奥まっているというか鏡筒が光学系よりもかなり長いのもそれと関係しているように思える(F1.4Dは長さ42.5mm、F1.4Gは長さ54mm)。光学設計を優先したら絞りリングを入れられなくなりました、というのとは違うように思う。最初からAF-S化が決まっていて、そのために鏡筒が大きくなるので絞りリングは優先順位が低かったのではないか。光学設計の自由度を絞りリングをなくした理由にするのはちょっと違うのではないか。はじめにAF-Sありき、だったのだと思う。絞りリングは「うまく付けられれば付ける」ぐらいの位置づけだったんじゃないか。

「ニッコールの顔」に絞りリングのないことの意味

また、「50ミリはニッコールの顔」だと言っているのだが、だからこそこのレンズに絞りリングのないことが不満なのだ。ニッコールの顔のレンズに絞りリングがないということは、ニコンは今後はもう絞りリングなんて無くしてしまえと言っているのだと私は解釈した。だからもうニコンの新製品は買う気がしなくなった。次のボディは非CPUレンズで露出計が作動するのだろうかAi連動は付いているのか、次のレンズは絞りリングはあるのだろうかなどと心配するのが嫌になったのだ。絞りリングのある中古レンズで楽しめば余計な心配はしなくて済む。

全部のレンズを併売するのか?

ニコンは今後単焦点レンズをAF-S化するたびに絞りリングをなくしてそのかわり現行のDタイプレンズを併売するのだろうか。なんとコストの掛かることか。いや、そうではないだろう。50mmは特別に併売したが、他の常用焦点距離のAF単焦点レンズをAF-S化したときには、従来のAFレンズは生産終了にするのが常識的な考え方だろう。

レンズにはレンズ単体で絞りを変えられる絞りリングが必要だ

なお、私がレンズには絞りリングが必要だと考える理由は、
ニコンは絞りリング無くすな!赤城耕一先生万歳! ― 2008年12月22日
AF-S NIKKOR 50mm F 1.4 Gに絞りリングがなかったので思うこと ― 2008年09月25日
を参照。

ニッコールレンズの絞りリングの件は書いていてもう嫌になってくるので、記事にするのはこれが最後だと思う。もうひとつの特集の「MFニッコール50ミリレンズの描写力」の方が楽しそうだ。

アサヒカメラ携帯向けサイトは2月いっぱいで閉鎖2009年01月23日 00時00分00秒

またまた今月号のアサヒカメラネタですまん。毎月13日に発表される、アサヒカメラ(毎月20日発売)の携帯向けサイトの次号予告は、ブログのネタに随分と使わせてもらった。しかし、昨日アサヒカメラ2009年2月号の「編集室から」を読んでいたら、最後の方に、

本誌「携帯サイト」は都合により、2月いっぱいで閉鎖させていただきます。ご利用ありがとうございました。

とある。

携帯向けサイトの次号予告にはそんなこと書いてなかったし、メールマガジンにも書いてなかった。うーむ。残念。カメラの製品サイクルが短くなってきていて、次号予告で新製品情報がリークしないように工夫するのが難しくなってきたのだろうか。あるいは、この携帯向けサイトはアサヒカメラ自身というか朝日新聞出版が運営しているサイトではなく、「ケイタイ広告株式会社」という会社が運営しているものなので、不況でそことの契約を切るということなのだろうか。後者の理由なんだったら朝日新聞出版のサイトで毎月13日に次号予告を発表してくれ~。

ということで、3月からネタが一つなくなってしまったなぁ(笑)。アサカメのメールマガジンもなくなるのかなぁ…。

まあ、毎月13日発表の次号予告は先に書いたように、未発表の製品情報を書けないという制限があるので、発売されたら予告よりも面白い記事が多かったということは結構ある。

たとえば今月のアサヒカメラ2009年2月号だが、13日発表の携帯向けサイトの予告には載っていなかった以下の記事がそそる。

  • 新製品レビュー1:コダックプロフェッショナルエクター100 赤城耕一
  • 新製品レビュー2:キヤノンEF24ミリF1.4L II USM 赤城耕一
  • 新製品レビュー3:Carl Zeiss Planar T* 85ミリF1.4ZE 赤城耕一
  • 新製品レビュー4:ペンタックスDA17~70ミリF4 AL[IF]SDM 河田一規

などだ。新フィルムと新レンズのレビューは一番楽しみにしているところだ。しかし、赤城耕一氏頑張っているなぁ。

コダクロームの海外現像国内受付は非公式に続いていた2009年01月25日 00時00分00秒

Kodak Kodachrome 64(KR),Kodachrome 64 Professional(PKR) and Kodachrome 200(KL)

しがない写真屋様からいただいた情報で、コダックのプレスリリースで、コダクロームの海外現像国内受付(取り次ぎ・仲介)を非公式にまだ続けていたが、それを2009年2月28日で終了したいということだそうだ。
コダクロームフィルム処理ご希望のお客様各位(コダック株式会社コンシューマービジネス事業部)(PDF 21KB)
しがない写真屋様、いつも情報ありがとうございます。

コダクロームは、まだ海外では発売しているのだが、日本国内での販売は既に終了しており(コダクローム64・コダクローム64プロ、ついに国内販売終了 ― 2006年12月13日参照)、また国内の現像所も既にコダクロームの現像をできる設備はなく(コダック、再度コダクロームフィルムの国内処理終了を告知参照) ― 2007年11月01日)、世界中でただ一つの米国カンサス州のドウェイン社(Dwayne’s Photo)の現像所へ送る仲介も公式には終了していた(コダクロームの海外現像仲介業務を2008年9月末まで延長 ― 2008年06月16日参照)。

2007年春にコダクロームフィルムの国内販売を終了し、国内処理サービスを2007年末に終了して以来、現像所であるケイジェイイメージング(株)の協力により、同社を通じて世界で唯一コダクロームフィルム処理が可能な、米国カンサスのドウェイン社(Dwayne’s Photo)への仲介サービスを行ってまいりました。

販売終了から1年以上経過し、処理本数が激減してまいりました昨年6月時点で、海外送りサービスを終了させて頂く旨ご案内しておりましたが、一部の熱心なコダクロームファンからの強いご要望もあり、その後も現在まで非公式に海外送りサービスを続けてまいりました。

しかしながら、今年に入り同サービスのご要請も殆どなくなりましたので、本年2月末日を以って、同仲介サービスを完全に終了させて頂く事に致しました。

3月1日以降、お手持ちまたは海外で購入されたコダクロームフィルムの現像処理サービスを注文される場合は、ユーザー様ご自身で直接ドウェイン社へ依頼をして頂きたくお願い申し上げます。ご参考までに発注手順は以下の通りです。

(以下略)

公式には終了していた海外送りの仲介を実は非公式にやっていた。これだけでもユーザーを馬鹿にした話なのに、これを公式にやめるとアナウンスするのも馬鹿にした話だ。どういう神経でこういう公式アナウンスを出せるのだろう。

だたひとつ、善意に理解すると、以下のように言えるかもしれない。「いままで押しの強い人に断れなくて海外現像の仲介を続けてきたけれどももう本当にやめたい。やめるに当たってそれを公開して、『えっまだ海外送りの国内受付やってたの?それだったら手元のコダクローム使い切ったのになぁ』という人に最後の機会を与えたい。」ということなのかもしれない。黙ってやっていたサービスなんだから黙ってやめればいいのにそれを公開するということは、コダクローム持っている人で自分で海外に送るのが嫌な人は最後の機会ですよ、と言っているのだと解釈しよう。本当は非公式に仲介なんかやってなかったんだけれども、最後にもう一回海外送りの仲介をやるためにこんな嘘をついているのかもしれない。嘘だとしたら下手な嘘の付き方だが(笑)。

でもせっかく最後に機会を与えてくれているのにこう言うのも何だが、決済手段さえあればその文書に書かれている方法で直接ドウェイン社に依頼した方が安いし早く上がってくる。手元に何本かコダクロームは残っているのだけれども、撮影して現像するにしても、私は直接Dwayne’s Photo社に頼むだろう。というかこのところ、週末にあんまり撮影できてないんだけど(鬱)。

Kodak 新Ektar 100(エクター100)フィルムゲット!2009年01月26日 00時00分00秒

Kodak Professional Ektar 100 Films

コダックが新しく発売したエクター100(Ektar 100)フィルムを入手した。

しかし、供給量が少ないのか、新宿以外のヨドバシカメラ各店舗にはあまり入荷していないようだ。週末に横浜に行った際にヨドバシカメラマルチメディア横浜のフィルム売り場に寄ったのだが、Ektar 100はなかった。売り切れたのかもしれないと、店員にきいたところ、「まだ入ってきていません。」「入荷も未定です。」とのこと。ここはマイナーなフィルムもきちんと揃えている店だけにちょっと驚いた。

Blogのネタにどうしてもエクターをゲットしたいので(笑)、ビックカメラ横浜西口店に寄ってみた。こちらには単品売りのEktar 100と5本セットのEktar 100が売っていたので、買ってきた。どうやらコダックに関しては、ヨドバシよりもビックの方がなにか優位にあるらしい。ちなみにEktar 100 135-36 1本で税込620円であった(ビックカメラの場合)。

ということでエクター100を買ってはみたものの、少なくとも次の週末までお預けなのであった。早く撮りたいなぁ。富士PRO 400Hも。とほほ。

【関連追記】
Kodak、エクター100(Ektar 100)プロ用ネガカラーフィルムを新発売 ― 2008年09月10日
Kodak エクター100フィルムは2009年1月中旬発売、ウルトラカラー100UCは販売終了 ― 2008年11月21日
コダック Ektar 100 フィルムは2009年1月21日発売 ― 2009年01月15日

【関連追記その2:2009年2月2日】
Kodak Ektar 100(エクター100)フィルムを現像に出してきた ― 2009年01月30日

【関連追記その3:2009年2月3日】
「日本ジャンボー」の思い出 ― 2009年02月02日
懐かしのコニカインプレッサ仕上げ ― 2009年02月03日

【関連追記その4:2009年2月3日】
懐かしのコニカインプレッサ仕上げ ― 2009年02月03日

【関連追記その5:2009年2月3日】
Kodak Ektar 100(エクター100)フィルム試写その1 ― 2009年02月03日

【関連追記:2009年2月4日】
Kodak Ektar 100(エクター100)フィルム試写その2 ― 2009年02月04日

【追記:2009年2月18日】
Kodak EKTAR 100 に120サイズ登場! ― 2009年02月18日

イーストマン・コダック社がBÖWE BELL + HOWELL社のスキャナー部門を買収2009年01月27日 00時00分00秒

1週間ほど前のニュースなのだが、今日はネタもなさそうなので取り上げることにする。イーストマン・コダック社がBÖWE BELL + HOWELL社のスキャナー部門を買収するのだそうだ。
イーストマン・コダック社がBÖWE BELL + HOWELL社のスキャナー部門を買収(コダック)

ビジネス用のフラットベッドスキャナがメインのようなのだが、BÖWE BELL + HOWELL社の技術をも含めて、新しい写真愛好家用フィルムスキャナを出してくれないかなぁ。フィルムスキャナは、ニコンがなんとか頑張っているだけで、そのニコンも新製品はもう出さない感じなのだ。

フィルムのことを知り尽くしているフィルム製造会社であるコダックが、フィルム文化を継続させるために、写真愛好家用のフィルムスキャナを出してくれてもいいように思う。もちろん、コダクロームでもDigitalICEが効くのである。DigitalICEそのものがコダックの技術だから当然か。

フィルムの種類を指定することによって細かく標準スキャン設定が変わるとか、標準ドライバもフィルム会社ならではのものにして欲しい。

あんまり売れないかもしれないけれども、ここはフィルム文化を維持するためということで、細く長く売り続けて欲しいのだ。そうすればニコンにも刺激になるかもしれないし。

35mmフィルム専用機から中判まで可能な上級機など、価格や対応フォーマットのバリエーションがあればいいなぁ。スキャナー部門を買収と聞いてちょっと夢想してみた。早く景気がよくなれ。

Google
WWW を検索 haniwa.asablo.jp を検索
asahi-net.or.jp/~sp5j-hys/ を検索
※ブラウザで「保護されていない接続」「安全ではありません」などの表示が出る場合はSSL対応のhttps://haniwa.asablo.jp/blog/の方にアクセスしてください。お気に入り・ブックマークもSSL対応の方に変更をお願いします。(2021/02/23)