「フルサイズ症候群」? ― 2008年08月04日 00時00分00秒
写真家の田中希美男氏のBlogで「フルサイズ症候群」について書かれていた。えっ?もしかしてオレみたいな「APS-Cは広角単焦点レンズが揃ってないしファインダーでピントの山が見えにくいから、135フルサイズデジタル一眼レフじゃなきゃ嫌だ」みたいな人のことを指すのかと思った。しかし、違った(笑)。
もうひとつ、同じように、アンタに心配してもらわなくてもよろしい、と言われそうだけど、たとえば、いまAPS-Cサイズ相当のデジタル一眼を使っていて、「どうもイマイチ、思ったようにイイ写真が撮れない」と不満を持っている人たちがいたとしましょう。その人が、「フルサイズ判一眼レフを使えば、きっといまよりイイ写真が撮れるに違いない」と思い込んで、APS-Cサイズ一眼を捨ててフルサイズ一眼に移ったとしたところで、たぶん、期待するほどのイイ写真は撮れないんじゃないかと思いますよ。 こうした「フルサイズ一眼なら、いまよりももっと良い写真が撮れそう」と思い込んでしまうことを「フルサイズ症候群」と言います。もっとイイ写真が撮れそう…と思うのは幻想でありまして、ヘタな人がカメラを替えたからといってとつぜんウマくなりイイ写真が得られることは相当に難しい。
が、それとはまったく逆に、このカメラを使うとイイ写真が撮れるに違いない、と信じて(信じ切って)撮影に挑むことで、そのカメラが持っているオーラのようなもののが、いままで自分自身も気づかなかった隠れた写真的センスや撮影能力を引き出してくれ、ホントにイイ写真が撮れるということが起こりうるかもしれません。つまり、ワンステップ高いところにあるカメラを(無理して)使ってみることで、一点打開、ということもなくはない、ということですな。カメラだけでなくレンズにも同じようなことが言えるかもしれない。
今年は「フルサイズ元年」(Photo of the Day)
うーん、「『フルサイズ一眼なら、いまよりももっと良い写真が撮れそう』と思い込んでしまう」人なんてそんなにいるのかなぁ。フルサイズの方がいいとか好ましいと言っている人はたいてい、135フィルムの時と同じレンズが同じ画角で撮れることと、ファインダーの大きさや見え方からそう言っているように思っていたのだが(笑)。コンパクトデジカメを使っていて、一眼レフならもっと上手く撮れるに違いないという人もいないではないが、APS-Cを135フルサイズに変えたからなんて思う人は少ないと思う(笑)。なんかファインダー方面に話題が行くのをそらすために作られた症候群のような気が(笑)。疑り深くてすまん(笑)。
後半の、高いカメラやレンズを使うとブレークスルーがあるというのは納得できる。なんか前半のフルサイズ症候群と矛盾しているような気がしないでもないが、それは田中希美男氏の作戦のような気がするので突っ込まない(笑)。この後半の点は赤城耕一氏もよく書かれていた。まあ、同じ焦点距離のレンズが何本も増殖したり、似たようなカメラが増殖したりする際の言い訳じゃなかった理由付けにぴったりだからね(笑)。
ということで、新しいカメラやレンズを買ったときには即座に「そのカメラが持っているオーラのようなものが、いままで自分自身も気づかなかった隠れた写真的センスや撮影能力を引き出してくれ、ホントにイイ写真が撮れる」んだと言えるように練習しておこう(笑)。
写真は記事とは関係ない。
週刊少年ジャンプ創刊40周年記念(江ノ電藤沢駅):GR DIGITAL、28mm相当、F3.5、1/68sec、ISO64、-0.3EV、プログラムAE
「週刊少年ジャンプ」創刊40周年記念で江ノ電が少年ジャンプの漫画のキャラクターに占拠されている(笑)。携帯電話のカメラで写真を撮っている若い男女も多かった。スタンプラリーもやっている。
コメント
_ Wakashi ― 2008年08月04日 12時30分58秒
_ Wakashi ― 2008年08月04日 12時44分24秒
_ Haniwa ― 2008年08月04日 13時07分29秒
江ノ電のジャンプジャック、すごいことになっていますよねぇ。それは私ではないような気が(笑)。
デジタルとフィルムを両方同時に使うのは結構難しいといつも感じています。フィルムで2台とかだと、入っているフィルムが違うとか付いているレンズが違うとか使い分け前提で持って行っているのですが、デジタルでも抑えておこうとか考えると、仰るように
>結局、帰国してみたら気合いの入ったショットがなかったという結果もありそうで。
そういう感じの結果になることがあります。GR DIGITALはコンパクトで単焦点なので、まだ使い分けが出来ている感じです。
DXだとボケが少ないのかといいますと、以前封印した議論が再燃しそうで怖いのですが(笑)。FXで85mmの画角を50mmレンズで代用すると、50mmのボケでしかないのでボケないと感じるんだと思います。単焦点レンズを使う人が減っているのに、フォーマットとボケの議論が熱くなされるのもなんか変だなぁとは思っているのですが。ボケとフォーマットの関係の議論は、レンズによって撮影距離によって、焦点距離によって、F値によってちがいますので、何を固定して議論するのかきちんとしないとますます混乱するので、私はDXフォーマットのカメラを買わない理由にボケの問題は挙げないことにしているのです(笑)。
しかし、D50、いいですねぇ。わたしはD50の素人受けする、そのまま使えそうな絵作りが好きでした。
_ maple ― 2008年08月05日 09時15分53秒
フィルム関連のエントリを中心に、よく拝見しています。
特にお子さんの写真を上げているブログのコメント欄でですが、「一眼レフだとコンパクトよりも綺麗に撮れるんでしょうね~」というのをよく見かけます。
冷静に考えれば管理人さんが本文でおっしゃっている通りだと思いますが、「上のものに対する憧れ」というのはいかんともしがたくあるんだろうなと僕は思っています。
僕も前半と後半が矛盾していないかと思いましたが、良くも悪くも道具のせいにしない、というか、道具によりかかった使い方をしない、という意味なのかなあと感じました。
ジャンプといえば、JTの缶コーヒー"ROOTS"の広告ポスターが、ジャンプの有名漫画の1コマを切り出して使っていますね。
_ Haniwa ― 2008年08月05日 09時38分42秒
コメントありがとうございます。
一眼レフとコンパクトカメラはレンズが違いますので、一眼レフならきれいに撮れるのではという信仰は根強くあると思いますし、実際に「暗黒ズーム」の望遠側開放F11よりはキットズームの望遠側開放F5.6の方がぶれずにきれいに撮れると思います。
ただ、APS-CとFX(135フルサイズ)とではレンズも共通なことが多いですし、そんなに違わないと思うのです。ファミリーユーザーの方でDXからFXに買い換えればうちの子がもっときれいに写ると考える人はほとんどいないと思います。どちらもレンズ交換式デジタル一眼レフですし。
田中希美男氏の前半と後半はどちらも真ですよね。道具を変えたからって結果が良くなるとは限らないし、道具を変えることで使い手の何かが変わって結果が変わることもあり得ます。前半は失敗の原因を探ろうとしないで、道具だけを変えたら失敗がなくなると考えるのは間違っている、という意味なのだと思っています。ただAPS-Cとフルサイズの喩えはなんか変だと思いますが(笑)。
缶コーヒーは飲まないので気がつかなかったのですが、JTのサイトを見ましたらすごいですね。アラレちゃんとか懐かしい(笑)。
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お盆に海外にでかけるのですが、そのときにレンジファインダー+D50という選択はアリかナシか、そのテストのために休眠状態のデジ一を持ち出したのでした。久しぶりに使った印象としてAPS-Cプラス18-200の解放絞りでは、意図して望遠側を選ばない限りは、パンフォーカスに近い写真ばかりになってしまいます。その性格を割り切って、夜景等をブレを減らして撮る、レンジファインダーに比べれば近接撮影できる、ための道具として持って行くという判断になるか?FM3A+短めの望遠系ズームを持って行くか?まだ、決心できないでいます。撮影だけの目的でない旅行なので、機材の量もあまり増やさない考え、そこでの思案をしています。デジタル+フィルムというのも、便利なようでもあるし、ダラダラとデジタルで撮り続けて結局、帰国してみたら気合いの入ったショットがなかったという結果もありそうで。