「シャープの端末、iPhoneに敗北」とザウルスが朝日新聞に2013年03月12日 00時00分00秒

2013年3月11日(月)付朝日新聞朝刊経済面「シャープの端末、iPhoneに敗北」とSHARP Zaurus SL-C3200、DWR-PG(IIJmio)

今日はカメラネタでなくてすまん。昨日(2013年3月11日)の朝日新聞東京本社版朝刊の経済面に「イノベーション『ネット時代の仕掛け描けず』」「シャープの端末、iPhoneに敗北」として5段抜きでシャープ・ザウルス(SHARP Zaurus)の記事が出ていた。朝日新聞デジタルの方では会員でないと最後まで読めない。
(限界にっぽん)第2部・雇用と成長:12 イノベーション■シャープの端末、iPhoneに敗北(朝日新聞デジタル)
ちなみに無料会員でも1日に3つまでなら記事全文を読める。私は紙の朝日新聞の購読者だが、朝日新聞デジタルは無料会員でしかない。

こうして1993年に発売された初代ザウルスは、まだ「電子手帳」といった趣だったが、やがて通信機能が加わり、2000年ごろには電子書籍やゲーム、音楽、さらには株取引ができる新機能が加わった。ザウルスはその名の通り、恐竜のような進化を遂げた。

「進化の最終形は、携帯電話だった」

名井さんはそう振り返る。

ザウルスの技術開発を担った羽田勇さんは何度か通信会社に働きかけたものの、通信大手はザウルスの携帯電話化を渋って実現しない。やがてザウルスの開発部隊は、シャープの携帯電話部門に移って「カメラつき携帯」の開発に関わり、日本初の「写メール」文化をつくった。

液晶画面に手入力、カメラなど多様な機能とくれば、後にスティーブ・ジョブズ氏がアップルで提案した「iPhone(アイフォーン)」に通じる。

iPhoneは、新しい機能があったわけではないが、とても使いやすかった。だから07年に発売されると全世界で支持され、「スマホ」というイノベーションを巻き起こした。

「ついに来るべきものが来た」と羽田さんは思った。自宅には歴代のザウルスがある。小さいときからそれを手にし、いまは成人した娘が言った。「お父さんが作ろうとしてたんはスマホやったんやね」と。

残念ですなぁ。ザウルスは途中からOSをLinuxにして、あとこれに通話機能が載ればまさにいまのAndroid(これもLinuxベース)端末になれたのに。結局ザウルスの進化を阻んだのは携帯電話会社であったか。

「投入が早すぎた」

アップルに16年間勤務し、「僕がアップルで学んだこと」の著書のある松井博さんも、ザウルスの愛好者だった。

「日本メーカーにイノベーションの芽はあったと思う。でもザウルスを投入したのはネット環境が整う前。少し時代が早すぎた」

WILLCOMからシャープのW-ZERO3というスマートフォン端末が2005年に発売されたが、OSはWindows Mobileだった。聞いた話では、WILLCOM側がLinuxみたいなマイナーなOSは嫌だ、Windowsでなくてはならないと譲らなかったという。PC用のOSであるWindowsとWindows Mobileって全然違うOSなのに、WILLCOMは「Windows」に拘ったらしい。結局シャープは携帯・PHS会社(キャリア)を説得できずにザウルスを見殺しにしてしまったということか。

私はいまもZaurusの最終版であるSL-C3200を愛用しているが、欲しいのは新しいブラウザだよね。NetFront3.1やOpera7.25ではうまく表示できないサイトが増えてきた。Javascriptを切ったりCSSを読み込まないようにしたりでなんとか使っているが、それでもうまく表示できないサイトがある。

あとの機能やソフトウェアはそんなに不満はない(Office2007以降との互換性やWindows7での同期とかの問題もあるが)。radikoがFlash Player前提で作られていて、Zaurus用のradiko公式アプリケーションがないのが寂しいぐらいか。もっとどんな端末でもradiko聴けるようにした方がいいと思うんだけどねぇ。ほかにはSkypeもZaurusで使えればスマホのように使えるのになぁ。Skypeは常用してはいないのだが、災害時に音声通話の通信制限を受けたときに、データ通信として通話できるので用意しておいた方がいいと思っている。

ちゃんとしたキーボードの付いたスマートフォンがなかなかでないし、スマートフォンの通信代は馬鹿にならないので、当分の間フィーチャーフォン(ガラパゴス携帯・ガラケー)とザウルスを持ち歩くことになるんだろうなぁ。Zaurusのキーボードの付いたスマホがあればそれに移行してもいいとは思っているのだが、Androidのバーションアップの早さとサポート終了の早さは気に掛かる。

コメント

_ みっち ― 2013年03月12日 10時58分25秒

みっちが今気になっているのは、セイコーのDF-X8000です。
Zaurusより若干大きいですが、まあそこそこのサイズで、ちゃんとしたキーボード付きのクラムシェルです。
表向きは電子辞書なんですけど、AndroidのOSを隠していないので、アプリの追加可能です。WiFiもATOKも標準装備だし。もう少し安くなったら考えるかなぁ。

_ Haniwa ― 2013年03月12日 16時41分01秒

みっち様
DF-X8000よさそうですね。まさにAndroid Zaurusのような電子辞書。

Google Playに対応していればいいんですが、電子辞書という括りを取っ払ってモバイル端末になってしまえばいいと思います。みんながみんなタブレットを欲している訳じゃないんですよねぇ。

4万円台前半ですか、ちょっと高いですねぇ。Google Playに対応していればこの値段でも「買い」なんでしょうが。ちなみにLinux Zaurus SL-C3200は7万円台後半だったように記憶します。ネットブック流行前とはいえよく買ったなぁ…。

_ おおた ― 2013年03月13日 14時46分29秒

製品は、それ自体がすぐれたものであっても、その時代のインフラとかニーズがついてこなければ、結局売れないんですね。

私も、もう10年位前にソニーのPalmOSのPDA端末(クリエでしたっけ?なんか、なつかしい・・・)にかなり惹かれて購入寸前までいきましたが、結局ちっちゃいVAIOにしたことがあります。

_ ゆりこ ― 2013年03月13日 22時18分04秒

>聞いた話では、WILLCOM側がLinuxみたいなマイナーなOSは嫌だ、
>Windowsでなくてはならないと譲らなかったという。

公式には、「Windows Mobile だと開発コストが安い」ということになっていますね。
HTTP://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0808/27/news119.html

確かに Linux だとウィルコム側が開発すべき機能 (電話機能など) が多すぎて大変だと思います (そもそも電話用 OS ではないし)。

電話機能を搭載せず、データ通信に絞れば PPP スタックなどは Linux にも豊富にありますから、採用できたかもしれず……。

とはいえ、シャープも日本の通信会社だけではなく海外の通信会社にも交渉して、そちらで先に発売してもらう手があったと思います (実は交渉してて、そこでも断わられてかもしれませんが)。

日本の携帯電話はキャリア自身がJavaアプリケーションのマーケットを作ってしまったので、ザウルスが入り込む余地はなかったでしょうね。

>もっとどんな端末でもradiko聴けるようにした方がいいと思うんだけどねぇ。

AM・FM ラジオを搭載した方が早い気が……。FM ラジオ機能がついている電話はわりとありますが AM ラジオ付きはさすがに知りません。

_ Haniwa ― 2013年03月14日 08時46分34秒

■ おおた様
そうですね。無線のデータ通信で低額で定額なものはほとんどなかった時代でしたからね。

PalmOSのSONY CLIEは熱烈な支持者がいましたね。あれも早かったんでしょうね。もったいないですよねぇ。

>結局ちっちゃいVAIOにしたことがあります。

うちも10年余前にはちっちゃいLibretto L1を買いました。CPUがCrusoeでバッテリー持ちが当時としてはよく、小型で1kgちょっとしかないので重宝しました。しかしCrusoeって非力で、スペック上のクロックほどには処理が早くなく、デスクトップ用のPentium IIの1/3以下の処理能力しかないように思いました。Librettoは最近はZaurusとOfficeの連携にスタンドアローンで使っています(Windows7とZaurusではうまく連携しないので)。

■ ゆりこ様
>公式には、「Windows Mobile だと開発コストが安い」ということになっていますね。

それも理由のひとつだとは思います。ただ、今回の記事でZaurusの担当者が各携帯電話会社に持ち込んで断られたという話を読んで、「あの話」は本当だったんだなと思いました(笑)。

>確かに Linux だとウィルコム側が開発すべき機能 (電話機能など) が多すぎて大変だと思います (そもそも電話用 OS ではないし)。

そうです。でもAndroidの用に世界中にシャープが主導権を持ったLinuxベースのOSを展開できたのではないかと思いました。シャープっていい視点でユニークなものをいち早く開発するのにそれが持続しない傾向があるとおもいます。作ってはすぐに放ってほかに行ってしまうんです。ザウルスは珍しく長く続いた方だと思います。

>日本の携帯電話はキャリア自身がJavaアプリケーションのマーケットを作ってしまったので、ザウルスが入り込む余地はなかったでしょうね。

ガラパゴス状態ですよね。最近は急速にi-modeとかEZwebから離れて(見捨てて)いってますね。特にauなんかはほとんどスマートフォンがなかった状態からこんどはスマートフォンばかりでフィーチャーフォンがない状態になっていますね。こういう極端なのは長くはないですねぇ。危ないです。

>AM・FM ラジオを搭載した方が早い気が……。FM ラジオ機能がついている電話はわりとありますが AM ラジオ付きはさすがに知りません。

radikoの最大の利点はノイズが載らないことや放送電波の状況に寄らないことです。AMラジオはPCや携帯のそばではノイズが酷いのでAMラジオ機能のない機種ばかりなのだと思います。radikoは建前上放送エリア内からのアクセスでないと聴けないことになっていますが、現在地の判定がアレなので、エリア以外から聴けることがあります(それも隠れたメリットかも…)。せっかくインターネットで流しているのですから、世界中で聴けるようにすればいいのに、どうして制限を掛けるのかなぁと思いますね。

ただ、仰るように放送局の基本は放送電波だと思います。災害時にスマホでラジコ聴くのは、何もないよりはマシですが、電池も持たないですし、ネットワークの帯域を使ってしまいますし、タイムラグもありますから、あまりよい方法とは思えません。ラジオ放送はラジオで聴くのがよいと思います。でも選択肢を増やすために、聴取者を増やすためにラジコを活用するのは大事なことだと思います。ラジオ持っていないときにラジオが聴けるのは大事です。

個人的にはSONY ICF-R351
ttp://haniwa.asablo.jp/blog/2008/12/04/3991279
の持ち歩きをお勧めしたいですが。

_ ようちゃん ― 2013年03月15日 19時04分13秒

該当記事読み、シャープだけの問題ではないと思います。
歴史に「もし」はないのですが、シャープが「NTTドコモ」を買収していたら、どうなっていたと思います?そうさせなかったのは、国、官僚、NTT、シャープ、担当者?、日本人の気質、エリートと思う自負、日本人の保身、株主、私は担当者以外のすべてがイノベーションを嫌ったから、現在の日本になったと思います。

_ ふぉっとけー シャープがんばって ― 2013年03月17日 08時41分05秒

haniwa 様

おはようございます。 合掌

ザウルス懐かしいですね。
未だモノクロ液晶の頃、
仕事で使う測定機器の端末に使っておりました。
夏場のお外で使っていてうっかりすると、
画面がゲッ!真っ黒…状態になり(^^ゞ
四苦八苦したのも思い出です。
まぁとにかく生粋の関西人としましては、シャープには復活してほしいものです。
ノートに携帯、CDラジカセ…プラズマクラスター(効果は?)の空気清浄器とシャープ製品愛用者です。

正月にぱにー様が久しぶりに降臨されていましたねw

_ Haniwaσ)Д`)ぷに<3 ― 2013年03月18日 09時24分56秒

皆様、お返事が遅れてすみません。

■ ようちゃん様
シャープだけの問題じゃないんでしょうね。日本の家電業界、電波行政など様々な問題が絡んでいるんでしょうね。

シャープがNTTドコモを買収していたらどうなっていたでしょうね。シャーペンシルに電話が内蔵されたり、電子レンジに携帯電話が内蔵されたりしたかもしれません(違)。

最近はなんでもスマホですが、こういう一気に同じ方向に行く(行かせる)のがよくないと思いますね。あんな使い捨てOSに大事なこと任せられないじゃないですか。

■ ふぉっとけー シャープがんばって様
ザウルス、懐かしいと思う方が多いらしく、電車の中で使っていると年配の方にニコニコと見つめられることがあります(笑)。小学生には新型DSと間違えられますが(笑)。

いまでも業務用の機器にザウルスが使われているという話は聞きますね。小型のLinuxでUSBホスト機能もシリアルポートもあるので便利な端末だと思います。こういう技術を伸ばして欲しかったなぁと思いますね。

>まぁとにかく生粋の関西人としましては、シャープには復活してほしいものです。

私もそう思います。同じく関西のパナソニックがプラズマテレビの生産から撤退というニュースも入ってきていますが、じゃあ液晶のシャープはというとこちらもアレですから、なにをどうすれば…という感じでしょうね。

>正月にぱにー様が久しぶりに降臨されていましたねw

リアルに充実しておられるようで、滅多にこちらに顔を出してくれなくなりましたね。たまに来て暴れるぐらいが丁度よいような…(笑)。最近は暴れてもくれなくなりましたか…。

_ rioko ― 2014年04月20日 23時07分05秒

最近、Android端末のDtabのタブレットユーザーになったザウルス愛好家です。
ポケットザウルス→SL-C750→SL-C3100を使っていました。
Android端末に触れてみて
あまりのお粗末さに驚いています。
こちらの記事を今更ながらに読みまして
とても納得と哀しく思っています。
Androidなどよりずっとザウルスべースであったなら
使いやすかっただろうと
ザウルスで手書き文字入力しつつ
ほぼ、リアルタイムに認識される手書き文字の快適さを
惜しみつつ投稿しております。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
私がよく言う「ニコンはレンズの○○環を無くすな」の○○とは?
aperture(stop)の日本語

コメント:

トラックバック

Google
WWW を検索 haniwa.asablo.jp を検索
asahi-net.or.jp/~sp5j-hys/ を検索
※ブラウザで「保護されていない接続」「安全ではありません」などの表示が出る場合はSSL対応のhttps://haniwa.asablo.jp/blog/の方にアクセスしてください。お気に入り・ブックマークもSSL対応の方に変更をお願いします。(2021/02/23)