ニコンF5の意味したもの(赤城耕一写真日録)2012年12月04日 00時00分00秒

六角橋商店街(横浜市神奈川区):Nikon F100、AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR、24mm、F5.6AE、マルチパターン測光、Nikon プロテクトフィルター、HK-2、Kodak PORTRA 400、Nikon SUPER COOLSCAN 5000 ED(ICEあり、GEMなし、ROCなし)

写真家・赤城耕一氏のブログに少し前だが、ニコンF5の意味したものという記事が載った。

ニコンの使用頻度が極端に減ったのは、ニッコールレンズがGタイプ化(絞りリングを省略した)したことにその大きな理由がある。MFニコンにニッコールGレンズは事実上使用不能だからだ。

いつまでもフィルム一眼レフカメラにこだわって、そんな意地を張るなと言われそうだけど、意地もなにも、新しいレンズが使えないカメラがあると不変のFマウントでも新しいレンズの購入意欲が失せてしまう私である。手もとにはたくさんのMFニコンがあるからレンズに本来あった絞りリングがなくなるのは困る。じゃあ、大人しく古いニッコールレンズ使えばいいじゃないのかと言われれば、それで話は終わってしまうのだけど。

ニコンはレンズ資産のほうはきちんと面倒をみますという方向なようで、最新のD600にもAi連動ピンや、ボディ内モーターを残しているのは周知のとおりである。

でもまあ、逆に最初っからフルに電子化されたEOSのほうが私にとっては潔くて、レンズの互換性など何ら気にすることがなく使えるので私など依頼仕事ではキヤノンをメインカメラに切り替えてしまったわけだ。

赤城先生、最近のお仕事用カメラはEOSのようで。しかもEOS Mもお気に入りのような…。この気持ちは私もよく分かる。私も以前から書いているが、知り合いにどんなカメラがいいか聞かれたら、ニコンではなくてキヤノンを勧めている。だってニコンのは一般向けの現行製品でもあれがこれに使えない、使えるけどそれはできないとか多すぎなんだもの。かといって最初から融通のきく値段の高い製品を勧められないし。ニコンはキヤノンとは違うのだから、キヤノン化を目指すのではなくて、ニコンの強みとして考えて欲しいなぁ。私も絞り環がないから新しいニッコールレンズの購入意欲が湧かない一人である。

先日、珍しいフィルムによる撮影依頼があり、久しぶりにニコンF5を引っ張り出して使用したのだけど、F5こそがニッコールをGレンズ化計画への大きな道筋をつけたというか加速をつけた機種なのではないかということを思い出した。

この理由を簡単に説明してみる。F5の場合にはSやDタイプのようなCPU内蔵の絞りリングのあるレンズを装着した場合、ボディ側のコマンドダイヤルでも絞りリングでもどちらでも絞り設定が可能になっている。前者の場合は最小絞りに設定してロックし、コマンドダイヤルで絞りを設定する。後者では従来どおり、絞りリングを動かして絞り値を設定する方式だ。一見、フレキシビリティな機能のように思える。

ところがだ、後者を主流にして使いたい人。つまり、常に絞りは絞りリングで設定している人の場合は、注意していないと大きなミスを起こしかねない。具体的にいうと、最小絞りで撮影していたつもりでも、それよりも開いた絞りになってしまうことがあるのだ。F5を使用してSやDタイプレンズを装着し、レンズの最小絞りで撮影する場合は、液晶表示パネルを確認し、絞りリングの最小絞り数値と、F5の液晶表示の絞り数値とが一致していることを必ず確かめる必要がある。

私がこのことに気づいたのは、たしかF5にポジフィルムを装填して、何かのマクロ撮影をした時にこのこと。現像が上がってきたコマに絶望的に露光オーバーのコマを発見したからである。自分は最小絞り値で撮影していたつもりだったけれど、カメラ側のコマンドダイヤルでの絞り設定は最小絞り値よりも開いていたのだ。

これ、結構深刻な問題だと思う。だからF100ではボディ側の設定値を優先するか、絞り環の設定値を優先するかの機能が加えられた。私は絞り環の設定値を優先にしている。最小絞りで撮ることはほとんどないが、失敗の可能性はなくなった。

F5も今のデジタルカメラのようにファームウェアのアップデートが頻繁に行なわれるような時代であったならば、F100発売時にF5のファームウェアのアップデートもあったろうにと思う。

しかし、「F5こそがニッコールをGレンズ化計画への大きな道筋をつけたというか加速をつけた機種」というのはちょっとかわいそうな気がする。F100以降は、絞り環で絞り値を設定してもミスが起こらないようになったし、F6以降はデジタルカメラも含めてレンズの情報を入力すれば、非CPUレンズでも液晶に絞り値が表示される機種も多い。ここまでやっておいて、やっぱり新しいレンズには絞り環がないんだよねぇ。なんだかもったいない。

F100は「F5ジュニア」の愛称だったけど、アニキよりも気配りされたカメラだったわけだ。もちろん絞りリングのないGタイプのレンズを使用する場合は、こうしたつまらないことに一切気を回す必要はないから安心して使える。でもなんだか釈然としないものだ。

ま、こんなこともあってかどうかは知らないけどニコンはGタイプレンズをより推進してゆき、私はそれとともに少し離れたところからみているという構図なわけである。

もちろんフツーのマジメなニコンユーザーにはどうでもいい話だけどね。

あ、あの、私も「フツーのマジメなニコンユーザー」のつもりなんですが…(泣)。ニコンが中級機から非CPUレンズで露出計を作動させなくなったり、絞り環のないレンズしか発売しなくなったり、ボディ内AFモーターをなくしたりしていく中で、離れたところから見るしかなくなっていったわけで…。だからこそ知り合いにニコンを勧めずにキヤノンを勧めるわけで…。

あと、光学式ファインダーがピントの確認できないものになっていったりとか…。「どうせピントが見えないんならEOSでも同じだよね」と思っていたが、先日あるところでEOS Kiss(デジタルだが細かい型番は分からなかった)のシャッターを押してくれと頼まれてファインダーを覗いて愕然とした。井戸の底を覗いたみたいに、目の前にすごく小さな長方形と広大な暗黒が周囲に広がっていたのだ。ま、まだD300はマシなんだなと納得させられて…

…堪るか!(怒)

こんなんだからミラーレスに追われる立場になるんだよ。仕事で写真撮ってるわけじゃないから楽しくなければ買わないよ。と、フツーのマジメなニコンユーザー(のつもり)は思うのだ。


とかなんとか言っておいて、絞り環のないDXレンズで撮影した作例だ(笑)。
六角橋商店街(横浜市神奈川区):Nikon F100、AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR、24mm、F5.6AE、マルチパターン測光、Nikon プロテクトフィルター、HK-2、Kodak PORTRA 400、Nikon SUPER COOLSCAN 5000 ED(ICEあり、GEMなし、ROCなし)

本当はこんなレンズ買いたくないわけで…。D300とAi Nikkor 20mm F2.8Sでピントがさくっと合わせられればこんなレンズは必要なかった。一旦はTOKINA AT-X 124 PRO DX II 12-24mm F4を買ったのだが(これも絞り環のないDXレンズだ)、不良品連発で返品・返金してもらったので(Tokina AT-X 124 PRO DX II 12-24mm F4交換してもらったが… ― 2012年07月07日参照)、仕方なく買ったのがAF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRだ。絞り環のないレンズやDXレンズにお金を掛けたくないので。結局そういう判断になってしまうんだよねぇ。あとあんまりFXに力を入れているように見えると、こんどはDXの値段の高いレンズが売れなくなったり、DXユーザーが捨てられた気持ちになったりするから、そこら辺の舵取りも大変だよねぇ。あんまり先行きがいいとは思えないな。

まあ、AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRについては、VRが船からの夜景で役立ったので、値段の安いVRレンズとしてこれはこれで評価したいと思うが。
AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRの手ブレ補正は小型船で有効だった ― 2012年08月24日参照

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