赤城耕一のフィルムカメラパラダイス第17回ニコンF3(FILM&IMAGE) ― 2011年09月21日 00時00分00秒
台風15号の接近で被害が出ているようだ。皆様、ご注意くだされ。さて、以下の記事は昨日掲載するつもりで連休中に少しづつ書いていたもの。コメントのお返事ができていないのに更新が先ですみません。コメントのお返事はもう少しお待ちください。m(_ _)m
富士フイルムの季刊誌、FILM&IMAGE VOL.25 2011 Autumnが届いた。今号は見るべき記事が多い。まずは、「赤城耕一のフィルムカメラパラダイス第17回ニコンF3」から。
絞り優先AEは登載されたものの、F3の大きな魅力はユーザーに必要以上に媚びた機能を登載していないことだ。
シャッターは横走りチタン幕シャッターでシンクロ速度は最高1/80秒と速くはないし、メーターも今のような多分割測光が開発される前だから中央重点測光のみである。しかもF3では他のニコンと比べ測光域がやや狭角に感じられる。余分な光によって測光値が左右されず正確な測光が行える反面、それだけ被写体の色や反射率に露光値が影響されてしまう両刃の剣となることがある。被写体や撮影条件によっては、露光補正が必要となるが、F3の露光補正はやりやすいとは言い難く、補正時の警告表示もなく不親切である。
また。AEロックボタンも備えてはいるけど、ボタンの位置は右手の指がつりそうな場所にある。ファインダー内表示も当時としては最新の液晶表示だが、マニュアル時には設定シャッター速度の隣りに「-」「- +」「+」の表示が出るだけで、実際の露出のずれ量がわかりづらい。これらの要件は欠点として挙げることもできるが、実は違うのだ。
F3が長く現役でいられた理由これは私の勝手な解釈だけど、ニコンF3は、写真撮影の基本や、カメラのクセが分かる人のために用意された高精度のカメラという認識を持っている。言い換えれば、”とりあえず”絞り優先AEも使うことができる、信頼できるマニュアルカメラと位置づけられるのではないか。シャッターがクォーツによって制御されるところもマニュアル露出へのこだわりがみてとれる。
F3の絞り優先AEをフルに使いこなしていたというプロにはいまだにお目にかかったことがない。しかし、機能面で保守的であったことが、後のAF化されたF4やF5が登場してからも、F3が現役でありつづけられた理由ではないか。マニュアルフォーカスでピントを合わせを行う場合、今挙げた機種の中で、最もピント合わせをしやすいのはF3だ。マニュアルフォーカスを多用するカメラマンにとってはF3の代わりになるものはないのである。なお、F3に装着して使用できるレンズは絞りリングがあるもののみ。最新の絞りリングのない『Gタイプ』レンズは使用不可能なので注意したい。
「赤城耕一のフィルムカメラパラダイス第17回ニコンF3」(富士フイルム『FILM&IMAGE VOL.25 2011 Autumn』)19ページ
よく言われている「ニコンF3が使いにくい」という点を認めつつも、機能面で保守的だったからこそニコンF3は20年もの間現行機種であったのだというのだ。
仰るとおり。露出表示が「+ -」だけでなんの問題があるのか。表示があるだけでもありがたい。FやF2のアイレベルなんかなんの表示もないじゃないか。(カメラのいう「適正露出」と)どれだけずれてるか(ずらしてるか)は、絞りリングのズレ量で把握するのだ。だから、ニッコールと違って半段クリックのあるサードパーティ製レンズは嫌いだ。
私が初めて使った一眼レフのPentax SVだってファインダー内には何の表示もないし露出計も付いていなかった。でもそれで写真は十分撮れるのだ。適正露出をカメラが示してくれるだけでも十分だと思う。最終的に露出を決めるのは自分なんだから。それに光線状況がころころ変わるときには絞り優先AEが使えるんだから、私にとっては十分すぎる機能だ。でも使い方や好みは人それぞれだから、使いにくいから嫌、というのはそれでいいと思う。自分の使いやすいカメラで撮るのがいい写真撮れることにつながると思う。ほかに選択肢はいっぱいある。私は、いいファインダーとAEが使える手巻きできるカメラという点でF3を選んだ。
「マニュアルフォーカスを多用するカメラマンにとってはF3の代わりになるものはない」と言っておいて唐突に「なお、F3に装着して使用できるレンズは絞りリングがあるもののみ。最新の絞りリングのない『Gタイプ』レンズは使用不可能なので注意したい。」と書いてあるところが、赤城耕一氏らしくて好きだ。「いいカメラだけど絞り環ないレンズは使えない(だからレンズには絞り環付けろ)」という意味だと受け取りたい。赤城耕一氏万歳!ニコンF3万歳!(笑)
最近のコメント