朝日新聞にビネガーシンドロームの記事掲載 ― 2011年01月23日 00時00分00秒
朝日新聞東京本社版2011年1月20日付け夕刊に「マイクロフィルム劣化で読めず」という記事が載っていた(写真参照)。
図書館のマイクロフィルムに劣化の波 修復や電子化急務(1/2ページ)
まるで酢こんぶ…マイクロフィルム資料劣化に悩む図書館(1/3ページ)
l-1011tri 様、情報ありがとうございました
この記事は大阪本社で取材したようで、なぜかasahi.comに記事が二重に掲載されている。上の記事は大阪本社版で1月20日にアサヒコムに掲載。下の記事は東京本社版で1月22日にアサヒコムに掲載。東京本社版は都内の私立大学への取材が追加されている。大阪本社版にはマイクロフィルムの用語説明があるが、東京本社版にはない。
それで、気になったのは以下の部分。
神戸市の兵庫県立大学の図書館も、ビネガーシンドロームに苦慮する。書庫には新聞を写したマイクロフィルム計約780本があるが、保管用の引き出しを開けると、目が刺激されるほどの酢酸臭。担当者は「においがひどく、困っている」と言った。
ああ、それはマズイ。ビネガーシンドロームのフィルムをそんなところに密閉しては劣化が進むし、未劣化のフィルムにも影響する。最近の図書館って専門家がいないのかなぁ。兵庫県立大学ってあんまり聞かないなぁと思ったら、神戸商科大学と姫路工業大学(いずれも兵庫県立だった)が合併してできた大学らしい。歴史ある大学じゃないか、ちゃんとした担当者を置くべき。
ともかくも、酸っぱい匂いのするフィルムは風通しのよい低温低湿状況に置くべき。
それから以下の部分も気になる。
大手フィルムメーカーの富士フイルム(本社・東京)によると、同社がセルロースアセテートを材料にしたマイクロフィルムの販売を始めたのは1958年。しかし、80年代後半にビネガーシンドロームが問題化し始めたため、93年には劣化しにくいポリエステルに切り替えたという。
その5年以上の間なにをしていたのか(泣)。もっと早く切替えて問題を告知してくれよぅ。ちなみに、うちにある酸っぱいフィルムは、スチル写真よりも8mmフィルムの方ばかりだ。密閉して巻いてあるのがよくないのか。
あと、電子化・デジタル化に関して、ニコンやコダックや富士フイルムは民生用のフィルムスキャナをもう一度出して欲しい。キヤノンやコニカミノルタも。
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