富士フイルムNEOPAN 400 PRESTO(120)製造販売終了の理由はPFOS規制?2010年03月18日 00時00分00秒

富士フイルムが先頃NEOPAN 400 PRESTOの120サイズを製造販売終了にしたことは既に何度か書いた。
富士フイルムの今回の製造販売終了で代替品無しになくなるものを電話で確認した ― 2010年02月02日
富士フイルムの製造販売終了についてヨドバシカメラできいてみた ― 2010年02月01日
富士フイルムにネオパンプレスト400 120サイズ終了について聞いてみた ― 2010年01月29日
富士フイルムプロフェッショナル製品一部製造販売終了のお知らせ ― 2010年01月28日
富士フイルムがまたまた銀塩フィルムを整理、120や135-24や大判が対象(追記あり) ― 2010年01月21日

ネオパン400プレストといえば、富士フイルムの代表的な黒白フィルム(モノクロフィルム)なので、その120サイズがなくなるというのは衝撃的であった。製造販売の理由は特に公表されなかった。しかし、Charlie Kirkという人が富士フイルムに製造販売終了の理由について問い合わせたというコメントに次のように書かれていた。

Charlie Kirk (5000 to go until I take good shots) says:

Just spoke to Fuji Japan. My Japanese is not so good, but basically they had to discontinue as it has some chemical called PFOS in it that they say makes it illegal for them to make the film. I asked them if it was actually "illegal" and they said "yes".

I then asked if they had plans to make a new BW 400 120 film and they said "no".

After this I said that they should be aware that tere are many foreigners that are extremely upset about how this has been handled, and the dearth of information in English on their websites etc. I also said that if they do not seriously consider making a replacement there will be a lot of people that will switch entirely to Kodak or Ilford.

She said she would pass on my comments to her boss.

If anyone wants to call Japan, try that number and see if you can get an English speaker on the phone -

use: "sumimasen, fuji no neopan no film no shitsumon ga aru node, eigo ga dekiru hito to hanashitai desu." Posted 6 days ago. ( permalink )

Flickr: Discussing Fujifilm is on my shit list!!! in Fuji Neopan

NEOPAN 400 PRESTOの135にはPFOS(Perfluorooctanesulfonic acid:ペル(パー)フルオロオクタンスルホン酸)が含まれて無くて、120には含まれているというのだろうか。120と135とでフィルムの素材が違うとはあんまり考えられないようにも思う。あるいは120なので裏紙にPFOSが含まれているとも考えられる。しかし、そうだとすれば、裏紙だけPFOSを使わないものにしてネオパン400プレストの120を作ればいいのであって、そうしないのはなぜだろう。裏紙を変えることまでしてプレスト120を継続する程需要がなかったのか。謎だ。

そもそも、PFOS規制というのは今年急に始まったわけではなく、「EU委員会で2006年12月12日に発表のEU規制の改訂」で決まったことのようなので一応猶予期間はあったと思うのだが。フィルム、とりわけ中判の需要落ち込みなどを見て、富士フイルムは最初からPFOS規制に掛かるフィルムの対応をする気はなく、ギリギリまで売ってお終いにするつもりだったのだろうか。それだったらもっと早く告知してくれれば買い溜めするなりユーザーも対応できたのに。なんだかすっきりしないぞ。もういちど富士フイルムに電話するか。「スミマセン、フジ ノ ネオパン ノ フィルム ノ シツモン ガ アルノデ、エイゴ ガ デキル ヒト ト ハナシタイ デス」と(笑)。

【追記】
富士フイルム(の代理店?)は今から2ヶ月前(*)にquietlightphoto氏に以下のように答えたらしい。

I just spoke to my Fuji rep. They have no plans of discontinuing Neopan 400. It's a false rumor. All formats and speeds are still in production.
Flickr: Discussing Neopan400 discontinued???? WTF? in Fuji Neopan

* コメントの正確な投稿日時が分からないのだが、コメントに添付されている写真の投稿日はJanuary 7, 2010のようだ

もし、PFOS規制が理由でネオパン400プレスト120が製造販売終了であるのなら、富士フイルムはユーザーを欺いていたか、2ヶ月前はPFOS規制に気づいていなかった、代理店には知らされていなかった、のいずれかということになる。いずれにしてもひどい話だ。
【追記ここまで】

【関連追記:2010年3月23日】
PFOS塩含有製品に対する規制と写真感光材料への影響(コダック) ― 2010年03月23日
コダックは既に3月5日にアナウンスしていた。さすが、世界のコダック。
【関連追記ここまで】

【関連追記その2:2010年7月8日】
富士フイルム「PFOSを含有する業務用写真撮影フィルムのお知らせ」が更新されている ― 2010年07月08日
【関連追記その2ここまで】

コメントをどうぞ(だみー)

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できますなぁんてね(笑)。こ れ は ダ ミ ー の コ メ ン ト 欄 で す 。 本 物 の コ メ ン ト 欄 は 右 下 の 「 コ メ ン ト 」 を ク リ ッ ク し て 一 番 下 に あ り ま す 。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

コメント

_ せんだい人 ― 2010年03月18日 11時20分00秒

うーむ。GF670がFinepix並にバカ売れしていたら、もう少し違う展開があったのでしょうか?富士フイルム、ユーザーの事を考えてくれているのか、いないのか、不思議なメーカーです。
とはいえ白黒はコダックしか使ったことないのですが・・・。暗室にこもれた学生時代に使っておけば良かったです。完全食わず嫌いでした。
「コダック」の力強さにひかれていたので、今思いますとメーカーの思う壺だったんですね。

_ ペ・ヤング ― 2010年03月18日 11時23分40秒

120と135、同じ銘柄のフィルムでも
実は違うのですよねぇ・・

120フィルムって上下のふちやフィルムカウンターの赤い窓からの感光を避けるため135フィルムよりも過剰に薬剤が塗られていていることが大きな違い。

その過剰な薬剤のため現像時の排水も
かなり濃く汚してしまいます。
そのまま下水に流すのはヤウ゛ァイ感じするものねぇ・・

なので環境配慮の観点上、廃止はやむを得ないのかもぉ・・

_ maple ― 2010年03月18日 12時03分28秒

エ?エイゴデキルンデスカ?スゴイスゴーイ!

そこは「ニホンゴ ガ デキル モノワカリ ノ イイヒト ト」じゃないのかなあと^^;

なるほど。120には↑コメント様のような背景があるんですね。
でも追記部分はひどすぎるでしょう本当なら。でもありえそうだよなあ・・・

題名、"PRESTO"ってあるし、120ディスコンの記憶が新しかったから「ええっ135がついにでも早すぎるっ!」て早とちりしてしまいました^^;
おととい久々にPRESTOとF2だけ持って出かけて昨日現像しました。黒のあやしさと一つ一つの物の質感がすばらしかったです。

_ Haniwa ― 2010年03月18日 17時15分39秒

■ せんだい人様
GF670がFinepix並にバカ売れしていたら、怖いです(笑)。大きな会社なので全然違う部署がまったく関係無しにやってるんでしょうかねぇ。

トライXは力強くて惹かれますが、ネオパンプレストの滑らかな階調も捨てがたいと思うのです。それにダークレスが使えるのも魅力です。

■ ペ・ヤング様
情報ありがとうございます。120と135とで薬剤が違うのですか。そうだとすると富士フイルムはPFOS規制でいずれ使えなくなることを分かっていてアナウンスもせずにぎりぎりまで放置していたんでしょうね。あれだけの大会社が直前までPFOS規制に気づかなかったとは思えないですから。

廃液の問題は廃液の問題として別に考えないといけないでしょうねぇ。

■ maple様
よくご存じで(笑)。「また海外からNEOPANのクレームだよ…」と思わせておいて、英語で喋られたら「す、すみません、日本語でお願いします(^ ^;」というオチなんですよ(笑)。

PFOSで2010年春には使えなくなると知っていて対策もアナウンスもしなかったんでしょうかねぇ。まあ事前にアナウンスしたらPFOS使ってないプレスト120つくれ!の大合唱になることは目に見えてますが(笑)。

すみません、タイトルが長くて120のみの話だとぱっと見分からなくて。

PRESTOいいですよねぇ。しばらく使ってなかったのでまた使ってみます。自家現はダークレスしか出来ないのですが…。

_ ノーネームしたん ― 2010年03月19日 00時12分16秒

>PFOS規制でいずれ使えなくなることを分かっていてアナウンスもせずにぎりぎりまで放置していたんでしょうね。

会社の大きさ関係無しに科学薬剤メーカーとかから薬剤購入する時に(又は自社生産)注意するはずなので(どういう扱いにするのか取り扱いに関する法律が変わったりする時に注意ぐらい有るだろうし)知らないはず無い・・、というよりほんとに知らなかったのなら他の科学薬剤の取り扱いも怪しいので、いろんな意味でヤバイですよ・・、

で、こういう事(PFOS規制)知らないはず無いので放置してたんでしょうね・・、やはり将来”富士フィルム”から”富士化粧品”に化けるつもりなんでしょうか・・、やる気無し、どうせ無くなるならケンコー辺りにフィルム・カメラ・レンズ部門を・・。

ここに書きますが
>問題は古い設計のレンズやとりわけ対称型(バックフォーカスが短い)のレンズでどれだけ周辺が問題なく再現できるかなんだと思います。そのあたりサムスンがどれだけやる気と技術があるのか、ですね。

いっそ本体にレンズ情報を入力(又はレンズに何らかの信号を伝えるバーコードと本体にリーダーを読む装置)を入れるとレンズごとの画像処理をするとか・・、全部開発は負担なので買った人が自分で具合を設定出来るとか、レンズマニアの”忠勇の士”がネットで設定公開とか・・、まあ・・、出来ないんでしょうが・・。

>結局フィルム時代の名玉はフィルムで使うのがベストですし、お財布にも優しいということですね。

そこでケンコーが!、サムスン・ケンコーバージョンデジタルで使ってる昔の名玉をフィルムでも使えますよ~と各社マウントのMFカメラとフィルムを・・、そういう商売を・・。

>京商のR/Cってこどもには敷居が高かった記憶が。

タ○ヤとかの方が安かったような気が・・、まあ性能とか品質を厳密に比べた事なんか無いので”どっち”がとかは分からないですが・・。

_ Haniwa ― 2010年03月19日 10時26分07秒

ノーネームしたん様
そうですよねぇ、薬剤メーカーから情報来ますよねぇ。やっぱり分かっていて対応せずギリギリまで販売で終了が既定路線だったんでしょうね。でもどこからPFOS買ってたんでしょうね。大手はもう生産をやめていたらしいので。深夜闇に紛れて船がPFOSの梱包を海中に落とし、それをあとから回収とか(笑)。

>やる気無し、どうせ無くなるならケンコー辺りにフィルム・カメラ・レンズ部門を・・。
もうなんでもケンコーに(笑)。コニカミノルタのカラーメーター撤退もケンコーがカラーメーターをだすことで救済されましたし。

あるいはコシナに。ガラス溶解から製品レンズまで一貫生産できる数少ないメーカーが、フィルムの製造まで手に入れたらもうコシナですべて完結ですよ。

画像処理よりもおそらく撮像素子の前面についているマイクロレンズのつけ方とか特性にノウハウがあるんでしょうね。入口でちゃんとしていないとあとから修正するのが大変になりますからねぇ。入力さえちゃんとなってればあとはRAWでお好きなように、となればうれしいのですが。もちろんメーカー渾身のJPEGも用意して欲しいですが。

ケンコーがCONTAX Gマウントの使い勝手を向上したKenko G3とか出してくれれば(笑)。ミラーレスのフィルムの場合、ピントの確認をどうするのかが問題になってきますよね。像面AFでピント合わせの後、撮像素子が待避してフィルムに露光とか(笑)。そういう中途半端に電気に頼るのはCONTAX Gで破綻していますが(笑)。

そうですね、周囲は田宮ばかりでしたね。京商も模型屋に売ってましたが、買っているのは大人だったような気が。

_ りゅうじ ― 2011年12月23日 22時54分31秒

PFOSは、コーティングやウェッティング性能が求められる分野では、非常に有用な界面活性剤でした。表面張力がたいへん小さく抑えられるだけでなく、素早くウェッティングするので、シートフィルムや中判のフィルムにおいては、現像むらを軽減するのに役だつであろうことを期待して配合されていたのだと思います。しかし、フジとコダックがフッソ系陰イオン界面活性剤を配合しはじめた頃、小型タンクで手現像していた人は、泡だちがよすぎてかえって気泡による現像むらがよく発生し、私などはむしろ入れてくれないほうがいいのに、と思っていました。(実際に現像するときは、一回消泡剤を入れた水で洗い流してから、現像液を入れていました)。だから、PFOS抜きでそれ以外は同じものを売っても、現在はたいして害もないのではないかと思います。それに、性能は悪いにしろ、代替できる界面活性剤はいくつか存在します。したがって、製造をやめたというのは、市場規模の問題ではないかと推測します。

_ Haniwa ― 2011年12月26日 09時21分17秒

りゅうじ様
お返事が遅れてすみません。m(_ _)m

詳細な情報をありがとうございます。

PFOSは泡立ちが良すぎてかえって小型タンクの手現像で現像ムラ発生していたのですか。

いまはどうしているんでしょうかねぇ。PFOS抜きでそのままなのか。代替の界面活性剤を使っているのか、その辺は企業秘密なんでしょうかねぇ。

市場規模の問題ですか。富士は中判のGF670シリーズを現行品で出しているのですから、120フィルムのラインナップはなんとか維持して欲しいものです。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
私がよく言う「ニコンはレンズの○○環を無くすな」の○○とは?
aperture(stop)の日本語

コメント:

トラックバック

Google
WWW を検索 haniwa.asablo.jp を検索
asahi-net.or.jp/~sp5j-hys/ を検索
※ブラウザで「保護されていない接続」「安全ではありません」などの表示が出る場合はSSL対応のhttps://haniwa.asablo.jp/blog/の方にアクセスしてください。お気に入り・ブックマークもSSL対応の方に変更をお願いします。(2021/02/23)