フィルムにこだわる雑誌「JILLE」、他方PS3で上映する映画館…2009年09月14日 00時00分00秒

富山ライトレール:GR DIGITAL、28mm相当、F3.5、1/810sec、ISO64、-0.3EV、プログラムAE

ちょっと前になるが、我楽多屋・アローカメラさんの2代目若旦那のブログで、我楽多屋さんを背景にファッション雑誌の撮影があったという話があった。
「JILLE」って?(アローカメラ&我楽多屋)

ただ、撮影風景をチラ見していたところ、ポラを引いてカットを確認したり、アシスタントさんがフィルムを詰め替えている様子が見えたので、よく見ると撮影機材はニコンF3でした!なんと!フィルムカメラ!!

店内撮影の後は荒木町内路上で残りのカットを撮影していましたが、それも終了後、カメラマンさんが店内に戻って来られたので聞いてみました。機材がフィルムカメラであることを。

すると、そのカメラマンさんは100%フィルムで仕事しているそう。ファッション系の雑誌では比較的フィルム率が高いらしく、その理由は「デジタルの解像度は十分だけど、質感が出ないから」だそうです。

編集の人にもちょっとだけ聞きました。「デジタルでも同等レベルの仕上がりが見込めるようになってきたし、後工程を考えるとデジタルが便利だけど、フィルムでやってます。デジタルでやるページもありますけど。」とのこと。残念ながら時間がなくて、そのこだわりまでは詳しく聞けませんでした。

うお、フィルムでお仕事してると。しかもニコンF3とな。うれしいなぁ。「デジタルの解像度は十分だけど、質感が出ないから」なんてうれしいなぁ。この「JILLE」は10月10日発売とな。忘れずに本屋さんで見てみよう。

と喜んでいたら、他方でこんなニュースも。
PS3で劇場上映、アニメ映画「空の境界」最新作(Wired Vision)

PS3を劇場用映画の上映に使ったのは、仙台市の映画館『仙台フォーラム』。8月から全国で順次上映されている劇場版アニメ映画『空の境界』にPS3を利用した。9月初めの上映時、大画面の右上部分にPS3のコントローラーの充電を促すメッセージが表示され、これを見た観客から「上映にPS3を使っている」とのうわさが広まった。

配給元のアニプレックスによると、「仙台フォーラム」では確かにPS3を使って上映しており、ブルーレイディスクではなく、HDD内にフルHD(1920×1080ドット)で保存したデータを使っているという。劇場用の映像ソースとしての画質チェックを行っており、民生ゲーム機でも画質に分かるほどの差は出ないとしている。

うーん、映画がある限りフィルムは不滅だと思っていたのだが、PS3にやられるとは…。

普通の映画はネガフィルムで撮影してそれをリバーサルフィルム(ポジフィルム)に反転して上映用フィルムにしているそうだが、最近では撮影自体をデジタルにしてそれを上映用にフィルムにしている人もいるとは聞いていた(たとえばTRICKの堤幸彦氏など)。しかし、上映をPS3で、とは。だれか、スクリーンの映像がPS3経由では「質感が出ない」とか言ってくれ…。PS3に負けるなF3(違)。

【追記】
「質感」って書いてからよく見たら、上映されたのはアニメだった…。アニメの質感って、セルに彩色した筆の跡や絵の具の盛り上がりがわかるとか…。それもいまではコンピューターで彩色とかで…。


写真は記事とは関係ない。
富山ライトレール:GR DIGITAL、28mm相当、F3.5、1/810sec、ISO64、-0.3EV、プログラムAE

フィルムが…とかいいながらデジカメ画像ですまん。

【関連追記:2022年6月16日】
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コメント

_ maple ― 2009年09月14日 12時42分15秒

素人考えですが、今の時代にフィルムに拘って仕事をするって、すごくリスクが高いんじゃないかと思います。
デジタルと比べて、失敗するかもしれない工程をわざわざ増やしているというのが。
もっともそれでこその職人芸であり、プロの仕事なんでしょうけど、すごい自信と度胸の高さだなあと思います。

>『空の境界』
アニメですね。見たことないし原作は大部なので読む気力がないですが。
ご存知ならすみませんが&僕もちょろっと調べただけの知識ですが、昔のアニメは1コマ分のセル画等をフィルムに撮ったものの連続だったんです。今でこそAdobe After Effects等を使用した机の上の作業になってますが。
>アニメの質感って、セルに彩色した筆の跡や絵の具の盛り上がりがわかるとか…。
ですのでフィルムアニメとデジタルアニメの違いってそういうことじゃないかなと思うのですが・・・ただほとんどアニメを見なかった僕が思い出す限りですが、筆の跡がわかるような絵って見たことないんですよね^^;

実写の画質はどうなのか、というのはちょっと興味が出てきますね。

_ しがない写真屋 ― 2009年09月14日 14時28分03秒

知り合いのプロカメラマンも仕事はデジタルに変わりました。
やはり、安心感とスピードだそうです

お客さんの依頼で4X5ポジ指定の時は久々に使うので
撮影前日眠れなかった・・・ なんて言ってました。
冗談だとは思うんですが、緊張したそうですよ。

_ Haniwa ― 2009年09月14日 16時31分35秒

■ maple様
デジタルよりもリスクは高いでしょうが、ほんの少し前までは皆そうしていたのですから、以前からフィルムで仕事している人は大丈夫でしょう。素人の私でさえそんなにフィルム固有の失敗はなく撮ってますから(笑)。フィルム・デジタル関係なく起こる失敗はありますというか構図が駄目駄目とかシャッターチャンスが駄目駄目とかそういうのはデジタルになっても同じです(笑)。プロの方は失敗しない仕事の流れとかを持っておられると思います。

アニメの手彩色って三鷹のジブリ美術館で見たことがありますが、筆の跡なんかなさそうでした(笑)。絵の具の盛り上がりは原画にはありましたが、撮影後のフィルムではおそらく分からないでしょうね。とすると、アニメ映画に関してはPS3で問題ないんでしょうね。問題ないとしても少なくなってきているフィルムの需要がまたまた少なくなるわけで…。

PS3で上映するんだったら家のプロジェクターで見るからもう映画館に見に行かないぞ、みたいな観客の反応があってフィルム上映せざるを得なくなる、なんて展開はないですかねぇ。誰でもできる機材を使うとコストダウンにはなりますが、逆に専門のところに頼んだり行ったりする必要もなくなるわけで、自分の首を絞めることにもつながりかねないです。

■ しがない写真屋様
普通の流れでしたら、フィルムファンとしては残念ですが、そうなのでしょうね。ファッション雑誌のカメラマンさんの「デジタルの解像度は十分だけど、質感が出ないから」という拘りがどこまで続くのか(続けられるのか)、ちょっと心配です。

4×5指定のお客さんが増えるといいのですが(笑)。まあ、増えないですよね。フィルムの時はあんまり考えなかった「質感」って何なのかという、人間の知覚の問題に直面するようになってきたんでしょかねぇ。フィルム時代でもレンズによって質感がイマイチなレンズとかありましたけれども。

_ せいじん ― 2009年09月14日 21時17分23秒

現在の(日本製)アニメはごく一部を除いてフィルム撮影でなく
彩色及び撮影(?)はオールデジタル処理が主流ですね。
なのである意味フィルムに撮影するという処理が無い分
PS3で上映しても劇場で通用する品質が出るのかもしれません。
まぁ、PS3の性能がそれくらい高いと言えるのかもしれませんが(^^;

以前聞いた話だと、セルに塗る絵の具がフィルムと同様に種類(色数)が無くて
使いたくても使えないみたいです。
最近のTVアニメだと制作本数が多く、スケジュールが厳しいので
データをオンラインですぐ渡せるデジタル処理の方が向いているのかも。
後はDVD化するとき、テレシネ処理する手間が省けるし(ぉ

でも昔の作品で使っている、フィルムの質感は捨てがたいですね
ちょっとジャンルは違いますが、TVの時代劇は今のビデオ撮影の物より
16mmフィルムで撮影していた時の方が雰囲気あって好きなんですがね(爆)

_ 永倉えみる ― 2009年09月14日 21時48分16秒

PS3を劇場上映機材に使うとは、少なくとも絶句してしまいました。このまま行くと、映写機の光源であるキセノンランプも道連れになる可能性が大きいのではないかと心配しています。
超高出力LEDでも登場しようものならキセノンランプも一気に衰退の道を走るのではないかと。
T4でデジタルシネマを見た瞬間、どこぞやらの映画会社の社長が残した言葉を思い出しました。

_ ノーネームしたん ― 2009年09月14日 23時35分45秒

友人の関係者の食べ物屋さんで、食べ物はフイルムの方が美味しく写せるんだと・・・、どういじっても何故かデジタルで撮影して美味しそうに見えず・・・、カメラが悪いのかな?と、某社デジタル最上位機を借りたり・・・、結局友人のF-100とかnFM-2で・・・・・。

PS3、良かったじゃないですか、PS3のHDDのデータをそのまま無料でネットに(意図せず)配信してくれるんですね・・・・・、劇場より早く上映とか。

Haniwa氏が劇場のPS3のHDDをこっそり書き換えておいて、アニメの上映と思ったら任侠映画が始まってしまい・・・・・、”熾烈フィルム対デジタル!””続フィルム対デジタル”の2本同時上映(18時間連続上映)に・・・・・、2009年最大の問題作・・・・・、全世界が恐怖に泣いた・・・・・。

_ Haniwa ― 2009年09月15日 09時18分59秒

■ せいじん様
やはりもうデジタル処理ですか。ちょっと前まではテレビのアニメ(ほとんど見ないのですが)のタイトルロールのところに中国・韓国の女性っぽい名前がたくさん挙がっていて「ああアジアで彩色してるんだなぁ」と思っていましたが、最近はそういう名前も出て来なくなったのでデジタル処理の予感がしていました。

PS3のプロセッサの性能は非常に高く、核開発に使えるのではないかという噂があったほどです。映画の上映と関係あるのかわかりませんが(笑)。

TVアニメって毎週放送するので手彩色の時は何チームかで同時並行にやっているような記事を昔見たことがあります。デジタル処理の方が楽でしょうね。DVD化というのは結構大事だそうで、視聴率あんまり取れなくてもあとでDVDが売れて元が取れるとかあるそうです。

たしかに以前のテレビ時代劇に比べて最近のビデオで撮った時代劇は暗部までシャープに写っていて陰影がないというかセットの粗がよく見えるというか雰囲気が違っていますね。私もフィルムで撮った時代劇の方が好きです。

■ 永倉えみる様
わたしもそういう一般用の機材で…とびっくりしました。キセノンランプ、たしかにこれが無くなると映写機がただのフィルム巻き戻し機になってしまいます。LEDはいまのところあまり明るくないですが、克服するのは時間の問題でしょうね。まあ新しいもので代替できるのならそれでいいのかもしれませんが、完全に代替できないのに他方が無くなってしまうというのはまずいですね。

■ ノーネームしたん様
実はライティングが…というオチでは?(笑) デジタルだと線が強調される傾向があるので素材によっては作り物のように見えるのかもしれませんね。上位機だとデフォルトで線が強調されていない傾向にあるように思いますが、これも数年前のに比べれば線が強調されているような…。ニコンD1系やD2系をいまでも使っている方の中にはそういう理由で使い続けている方もいるかもしれません。F100やNew FM2の働き場が見つかってよかったです。

PS3に変なウィルスが入り込んで、HDDデータを公開してくれるとか(笑)。ネットに繋がないことですね。

「大井町番外地」とか「昭和カメヲタ伝」とか「緋牡丹T* オーバーコッヘン参上」とかですか(笑)。大ヒット間違いなし。上映後はDVD化されず8mmフィルムで一般発売されます(笑)。コピーされ放題だったりして…。

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