NATURA1600 その2 NPシステムの謎2009年06月30日 00時00分00秒

国立科学博物館地球館:Nikon F-301、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F2.8開放、1/15sec、L37c、富士フイルムNATURA 1600、Nikon SUPER COOLSCAN 5000 ED、ICE・GEMなしマルチサンプルスキャニング×4

やっとNATURA 1600フィルムの作例がお見せできる。

このNATURA 1600はISO1600ということになっているのだが、ISO1600で撮ると暗部の締まりがよくないように思う。富士フイルム公式のNATURA BLOGでは「NPモード」なるものが説明されていて、暗いところではNPモード搭載のカメラにNATURAを詰めるとフラッシュ発光禁止になって+2段の露出補正が入るそうな。
NPモードの秘密4-露出補正プログラムの効果を見てみよう-

フラッシュ発光禁止はわかるが、+2段の補正ってよく分からない。せっかく超高感度フィルムを使っているのに、+2段の補正をしてしまうとISO400のフィルムを使っているのと同じシャッタースピードや絞り値しか選べなくなる。NATURAと普通のISO400のフィルムとでは、普通のISO400のフィルムの方が粒状性がいいので、なんのためにNATURAを使っているのか意味不明になってしまう。これがよくわからないので私はNATURAをいままで使ってこなかったのだ。

上記のNATURA BLOGでは、人の顔が暗くなる逆光条件だとか電球色の照明を使った低い色温度だとか書かれているが、それらを最初から考慮した露出(マニュアル露出やマルチパターン測光など)であってもISO1600を前提にしているとアンダーなネガしかできないのではないか。

前回の露出オーバーでも大丈夫というのは実用価値があった。超高感度フィルムを入れたはいいが、明るいところでは写せなくて撮りきれなくて困るという問題が解決するからだ。また写ルンですのような固定露出のカメラやシャッタースピードの最高速が速くないカメラに入れても使いやすい。

しかし、暗いところできれいに写すために+2段の補正というのはよく分からない。もしかして、NATURA1600は実効感度が1600もないのではないか。だから普通に撮るとアンダーなネガになって暗部は締まらないしざらざらで発色の悪いプリントになってしまうのではないか。まさか実はアンダーやオーバーに強いISO800フィルムというのではあるまいな。

ISO400のフイルムをそのままノンフラッシュで使うのと何が違うのか、という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
仮に、ISO400のフイルムに-2EVまで遜色ない画質で撮影可能なアンダーラチチュードがあれば、ISO1600をNPモードで使うのと全く同じことになります。しかしながら、ISO400のフイルムに-2EVのアンダー露光をすると、適正露光には明らかに及ばない画質となります。 こういう言い方もできます。ISO1600フイルムは、-2EVまでの完璧なアンダーラチチュードを持つISO400フイルムだ、と。
NPモードの秘密4-露出補正プログラムの効果を見てみよう-(NATURA BLOG)

PORTRA800フィルムがなければこのように言ってしまってもいいかもしれない(NATURA BLOGの当該記事は2005年04月15日付けであり、当時コダックPORTRA800は発売されていなかったされたばかりだった-2005年2月発売されていて、現行のNew PORTRA 800フィルムの発売は2004年5月であった-何度も訂正すまん)。しかし、ISO1600設定ではアンダー露出となってきれいに撮れないのであれば、ISO800のPORTRA800を使った方がいいのではないか。なんだか納得がいかないのである。

ともかく作例を見てもらいたい。NPモードシステムを使わずに普通にISO1600として「適正露出」で露光すると暗部の締まりが良くない。おそらく+1段補正するとかなり改善すると思われる。しかし、それだとコダックのPORTRA800を使った方が粒状性も発色もいいということになる。NATURA1600の良さは昨日の記事の露出オーバーに強いということしかないような気がする。そんなんでいいのか。

国立科学博物館地球館:Nikon F-301、Ai Nikkor 20mm F2.8S、F2.8開放、1/15sec、L37c、富士フイルムNATURA 1600、Nikon SUPER COOLSCAN 5000 ED、ICE・GEMなしマルチサンプルスキャニング×4

※記事タイトルの「NPシステム」は「NPモード」の間違いなのだが、タイトルには訂正線のタグが使えないし、NATURA BLOGにこのタイトルでトラックバックしてしまったのでこのままでいく。すまん。「NPモード」のことだと思ってくれぇ。m(_ _)m

【関連】
NATURA1600 その1 コニカ現場監督で使ってみる ― 2009年06月29日
寝台特急北陸(追記あり) ― 2009年05月11日
Kodak PORTRA 800 フィルムを使ってみた ― 2009年03月16日

【関連追記:2009年7月24日】
コダックPORTRA800と富士NATURA1600 ― 2009年07月24日

コメント

_ まあがいあ ― 2009年06月30日 11時34分39秒

NATURA1600って実効感度は640~800くらいらしいですね。
NATURAカメラも普段はNPモードで+1.5の640で撮って暗くなると+2段になるってどこかで見たことあります。

_ Haniwa ― 2009年06月30日 12時30分26秒

まあがいあ様
やはりそんか感じですか。ちょっと使ってみただけで実効感度が低いことが分かる感じです。これは基本的にNPモードとセットでのシステムなのでしょうね。NATURA BLOGのノーマル露出の作例なんかちょっと信じられないあがりです。

ネガカラーの増感現像を受け付けてくれるお店を利用できたり、自分で現像できる場合は色々と使い道がありそうですが。あとはトイカメラとか。

露出がきちんとしているカメラで使えば使うほどアンダー露出に悩むフィルムでしょうねぇ。

_ WANI ― 2009年06月30日 12時46分25秒

昨日、今日と私の食いつき易い話題ですね・・・(w。

NATURA1600は言われる様に露出をオーバーに掛けないと綺麗に撮れないようです。人様のブログを見てもあちこちで同じ様な話が出ていますね。中にはISO400で撮る位が色と粒状性が一番良いのでは・・・とまで。

実は私はこのフィルムは多用してますが、夜間撮影ならISO6400に増感、後はニコノスで思いっきり絞り込んでの日中、しかも荒天での撮影でISO1600のまま使う位しか用途がありません(w。
私自身もNATURA1600をそのまま夜間で使うのはお勧めでは無いですね。とは言っても理由は写り具合よりはISO1600って夜間撮影と言う意味では中途半端な感度だなぁと・・・。夜景撮影ならもっと低感度のフィルムで長時間露光する方が綺麗だろうし、短時間の露光で動きの止まった画にするにはISO1600って足りない感じだし・・・と感じてます。
増感してしまうと確かに粒子は荒れるしコントラストの高いギラギラのガチガチな雰囲気になってしまう事もありますが夜間撮影で動きの物を撮るにはこれが限界と納得しているので気にしていないだけですね。

後は夜間じゃなくても室内とか光量が足りない時に・・・と言うシーンは私の想定外なので試した事が無いですが暗部の締りが悪い様だと向いてない感じですね・・・。

その昔、フジカラーHR1600が新発売となった時に試しに使ったのですがあれは酷かった・・・(w。ただでさえ粒子が粗いのにちょっとでも露出アンダーになるとそれはもう・・・(w。サービスサイズのプリント結果が見られた物じゃない粒子のあれ具合で星雲のドアップの写真か!?と思える様なのもありましたね(w。

_ Eddie ― 2009年06月30日 13時39分03秒

自分もNatural Classicaを使っているのでNPモードは使っています。ご指摘のようにISO 1600をカメラの適正補正で撮ってしまうと人物は暗くなってしまいますが、プラス補正する事で「顔もかろうじて見れる、背景も飛ばずに写る」ということらしいです。本来なら三脚を使ってシャッター速度を遅くして、日中シンクロとしてフラッシュを使うのが正しい夜景の撮りかたですが、フィルムメーカーにはこんな技があるんだよと自負している気がします。

_ Haniwa ― 2009年06月30日 13時40分13秒

WANI 様
お待ちしておりました(笑)。

たしかにNATURA BLOGの作例見てもISO400設定がよさそうな感じですね。

増感して使える人にはISO1600ネガカラーの選択肢がほとんどないので貴重な存在ですね。何かのカメラに詰めっぱなしに使うにはたしかに便利なフィルムだと思います。

そうですね、暗いところでISO1600って半端かもしれません。PORTRA 800が粒状性・発色ともにいいのでPORTRA800に大口径レンズというのが室内・屋内での画質との妥協点でしょうね。PORTRA800は実効感度ISO800ある感じですし、暗部の締まりもいいです。

HG1600を使ったことがあります。たしかにアンダーで失敗すると星雲写真になっていました(笑)。コニカにISO3200のネガカラーがありましたが、カタログの小さな作例でもざらざらでしたね。富士フイルムには、粒状性のいい高感度フィルムと、NATURAの延長で実効感度がISO3200などの超高感度フィルムの2方向で挑戦して欲しいですね。

次はネオパン 1600 Super PRESTO使ってみますか!\(^o^)/

_ Haniwa ― 2009年06月30日 13時46分43秒

Eddie様
行き違いに。

NPモードはフィルムもカメラも作っている富士フイルムならではの技術だと思います。トータルでこういうことが出来るのは素晴らしいです。ただ、きちんと説明しないとNATURA 1600の評判が悪くなってしまいますね。パッケージに「-2EVまでの完璧なアンダーラチチュードを持つISO400フイルムだ」って書いておいた方がいいかもしれませんね。

いずれにせよ、選択肢があるのが大事です。コンパクトカメラやトイカメラに詰めっぱなしといった場合NATURA 1600は便利です。他方で高感度が必要だけれどもなるべく粒状性はよいほうがいい場合にはPORTRA 800。使い分けできる幸せ。

_ Haniwa ― 2009年06月30日 13時55分32秒

そうそう、富士フイルムとNATURA 1600の名誉のためにもう一言。

NATURA 1600は実効感度が低い感じだが、以前のISO1600ネガカラーよりは粒状性も大幅に改善しているフィルムだ。露出オーバーにするともっときれいに写るのでそっちに目が行きがちだが、ISO1600のフィルムとして見た場合でも従来のフィルムよりも格段の進歩がある。使ったことのない方は是非一度お試しあれ。その場合+-0、+1段、+2段など段階露出をしてみると画質とシャッタースピードとの妥協点が発見できるかもしれない。

_ Jack ― 2009年06月30日 20時05分13秒

NATURA 1600てそういう特性やったんですか。
3年前使ってみて、えらい荒れ荒れ画像やったので、結構がっかりで、それ以来、使ってませんでした。

_ Haniwa ― 2009年06月30日 21時07分11秒

Jack様
そうですよね、初めて使うとがっかりする人の方が多いと思います。"特殊なISO400のフィルム"だとちゃんと説明した方がいいように思います(笑)。NATURAのカメラを売りたいがために奥歯にものを挟んだみたいな説明になっているような気がします。

PORTRA 800の1段アンダーとNATURA 1600のノーマル(実は2段アンダー?)とではどちらの方がマシなのかちょっと気になってきました(笑)。

_ WANI ― 2009年07月03日 12時44分25秒

微妙な感度のNATURA1600の使い方としてISO1600のまま普通に撮って現像を2倍増感でやってみようかとただ今仕事の帰りとかに細々と撮影中です(w。

_ Haniwa ― 2009年07月03日 15時51分10秒

WANI様
それはいいアイデアですね。もしかしたら微粒子超高感度の世界が待っているかもしれません。私もナニワのカラーキットやってみたくなってきました。結果報告をお待ちしています。

_ やまりゅ~ ― 2009年07月05日 11時17分31秒

興味深いお話で、コメントしようと思ってしそびれました。
私も全く同感です。

シチュエーションが違うのですが、

アンダーに入ったPORTRA800の例:
http://www.flickr.com/photos/ryamada/3622974435/

ISO1600で使ったNATURA1600の例:
http://www.flickr.com/photos/ryamada/3614103978/
http://www.flickr.com/photos/ryamada/3613284965/

PORTRA800も、さすがに粒状性が悪くなりますね。
NATURA1600は、暗部のしまりが悪すぎです・・・

いずれにせよ、この値段のフィルムをNATURA CLASSICAのようなカメラで使うのは勿体なくて、CONTAX G1/G2でしか最近は使っていません・・・

_ Haniwa ― 2009年07月06日 08時46分57秒

やまりゅ~様
作例ありがとうございます。リゾナーレ小淵っていいところですねぇ。

PORTRA800のアンダーの方がNATURA1600のノーマルよりも粒状感が低いように思います。NATURA1600の方の暗部のざらざら感は明らかにネガのアンダーの時の感じですよね。やはりISO400なんでしょうかねぇ。特殊フィルムだと思うのがいいんでしょうね。フィルムの値段はなんとかならないんですかねぇ。

Biogon T* 28mm F2.8、いいですよねぇ。と言いつづけてずっとそのままなのですが。(^ ^;

_ penpen385 ― 2009年10月23日 11時57分18秒

初めまして。
NATURA1600初めて使う際に、ブログ大変参考になりました。
一部リンクさせていただきました。
http://blog.goo.ne.jp/penpen385/e/14338cd78ca8c90750564460867f5605

_ Haniwa ― 2009年10月23日 13時12分32秒

penpen385様
ありがとうございます。すみませんが、あとでじっくり拝見させて戴きます。m(_ _)m

_ Haniwa ― 2009年10月27日 14時47分25秒

penpen385様
お返事が遅れてすみません。
そちらにコメントを書かせて戴きました。

penpen385様のお写真でもNatura1600はちょっとアンダーのような感じの写真になっていますね。やはり実効感度は1600もないのではと思ってしまいます。このあたりをもう少し改善したNewNatura1600を期待したいですね。

_ penpen385 ― 2009年10月27日 21時32分40秒

>Haniwaさま
わざわざご覧いただきありがとうございました。
写真、フイルムど素人なのでお恥ずかしいのですが、
写真撮るのが楽しくて楽しくてたまりません。
これからもフイルム撮影を楽しんでいきたいので、
どうかよろしくお願い致します!

_ Haniwa ― 2009年10月28日 09時05分08秒

penpen385様
いえいえ、わたしもここで色々文句付けてますがど素人です。(^ ^;
>写真撮るのが楽しくて楽しくてたまりません。
これがすごく大事だと思います。フィルムで撮って楽しい、この言葉に尽きますね。

こちらこそよろしくお願いします。

_ penpen385 ― 2009年10月31日 18時04分23秒

>Haniwaさま
初めてのフイルムPORTRA800を4本注文しました。
宮古島では原色か真っ暗しかないのでなにに使うか不明ですが^^;
那覇に沖縄県立博物館ができたので、そこで使うかもデス。
あまっているNatura1600 3本。
考えるに宮古島唯一の最後の被写体である
http://www.hakuaiueno.com/philanthropy-museum.htm
で使ってみようと思っています。

_ Haniwa ― 2009年11月02日 16時43分49秒

いいですね。しかし、天気のいい南の島ではISO800や1600は昼間困りそうですね。

博物館や屋内展示では大活躍しそうですね。高感度用と低感度用のフィルムを詰めたボディ2台体制でいくといいような気もします。

しかし、うらやましいですね。わたしも行きたいです。

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