デジタルの方がラチチュードが広いんだそうな、はあそうですか(笑) ― 2009年04月21日 00時00分00秒
皆様、コメントのお返事は少しずつして参ります。m(_ _)m
アサヒカメラ2009年5月号を買った。あんまり面白い記事はなかったのだが、惰性で買った。特集の「デジタルだからよくわかる写真の『味』とは?」にデジタルカメラで撮った写真のラチチュードとフィルムのラチチュードを比較している記事があった。
それによると、
ここで例に挙げたデジタル一眼レフのRAWのダイナミックレンジは、12絞りぶんにも達するが、現行機では平均的な値といってよい。カラーネガフィルムは、ISO100クラスではダイナミックレンジ(ラチチュード)は7絞り程度、ISO800クラスであれば8絞りから9絞りに広がる。それでも現在の進化したデジタル一眼レフよりは狭いことになる。
(アサヒカメラ2009年5月号93ページ)
なのだそうだ。
デジタルの画像はRAW現像なのに、比較するフィルムはスキャンしたものなのかプリントしたものなのか条件がはっきりしない。スキャンしたのならスキャナーやスキャンドライバソフトによって結果も違う。RAWも現像ソフトにもよるだろう。何よりも変だと思うのは、ネガもアンダー部分を基準で撮ってスキャンしてデジタル処理しないとRAW現像と同じ土俵に乗っていないんじゃないかということ。ポジやネガと比較するのはJPEG画像じゃないのかなぁ。作例で比較している写真でも、フィルムの方もポジならハイライト基準でとってアンダーな部分を起こす、ネガならその逆でRAW現像と変わらないぐらいの結果は出せると思うのだが。
まあ、条件もきちんと出さすにフィルムよりもラチチュード広いとか言い切ってしまう時点でもうこの記事は信用できないのだが。日大と千葉大という写真関係では権威の大学の教授が2人も名前を連ねているけれども(*)、普段から測定条件も出さずにこんな感じで論文を書いているのだろうか。よく名前を出すのを了承したものだ(笑)。こんな記事を特集に持ってくるのならもうアサヒカメラは買うのをやめよう。気になる記事は図書館でコピーしよう(笑)。それで廃刊になるなり「アサヒデジタルカメラ」に改名するなりすればいい(笑)。先月号の読者アンケート結果を見るとアサヒカメラの読者は異常にフィルム派が多かったようだが、こんな記事でデジタルの方が優れてるとか思わせてデジタルカメラ買わせたいのか(笑)。あほらしい。さようならアサヒカメラ。アサヒカメラのCAPA化だな(笑)。
* 甲田謙一日本大学芸術学部写真学科教授、小林裕幸千葉大学大学院総合科学研究科教授
あと、ラチチュードが広くて情報量が多いのは便利なのだが、写真として見る場合にそれがいいとは限らないことにも注意すべきだ。あまりになんでも同じように写っていると、何を撮りたかったのか何を強調したいのかなどわからない写真になってしまうからだ。ネガの写真よりもポジの写真の方がぱりっとした作品ぽい感じに見えるのもそういうことだと思う。用途に応じてうまく使えばいいだけのことだが。アサヒカメラ2009年5月号88~89ページの比較写真だと、89ページのネガの写真の方が作品としての力強さがあると思う。橋の裏側が真っ黒なのが嫌ならば、少し起こしてやればいいと思う。しかし、88ページの作例みたいに写っている必要はないと思う。
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