ソニーα900のファインダー(アサヒカメラインタビューから) ― 2008年10月27日 00時00分00秒
以前からデジタル一眼レフのファインダー(特にニコン)がイマイチだと言い続けて来ているのだが、今度出たソニーのα900は35mmフルサイズの撮像素子で、ファインダーがすごくいいとのことだ。アサヒカメラ2008年11月号にソニーの方へのインタビューが載っていた。
―アイポイントが長いのにもかかわらず、画面が大きく見えるのはいいですね。どんな秘密があるんですか。
辻村 よくプリズムが大きいほど倍率が上がると思われている方が多いようですが、実はプリズムそのものは小さく、光路長が短い方が倍率を高くできます。ただ、小さくしすぎるとゴーストが出やすくなったり、ケラレたりするので、バランスが難しいのです。α900ではさらに、パワーの強いコンデンサーレンズを使うことで、倍率の低下を防いでいます。ただし、どれも世界初の新技術というものではなく、すでにある技術ですね。それを組み合わせたものです。
なるほど、光路長が鍵だったのか。ニコンF3でいえばDE-2の方が0.8倍で倍率が高いがアイポイントは短い。短いと言っても、当時の普及機に比べれば目を離しても四隅まで見えるいいファインダーだが。他方DE-3の方は0.72倍だがその分アイポイントが長くて眼鏡使用者に最適ということだった。それで、アイポイントを長くするとファインダー倍率が高くできないのかと思っていたが、そうではなかったのか。うーむ。
―このファインダーを、下位モデルに搭載するわけにはいかないんですか。
辻村 α350などはライブビューしながらAFができる仕組みのため、α900と同じ構造のファインダーを搭載するのは無理です。倍率を上げるのであればα900同様、パワーの強いコンデンサーレンズを組み込む方法もありますが、実は作るのが結構難しい部品でかなりお金が掛かってしまいますし、分厚いコンデンサーレンズを入れることで背が高くなっちゃうんで、α350のようなカメラには少しマッチングが悪いですね。
うーむ、ファインダーのよい廉価機というのも、フィルム時代と違って難しそうだなぁ。フィルムカメラと違って、ボディに金の掛かる部分が増えたからなぁ。
さて、これからの時代、ファインダーに手を抜いたままEVF・ライブビューに逃げて誤魔化すのか、ソニーやペンタックスのようにきちんとしたファインダーに拘っていくのか、注視していきたい。
「辻村」は、ソニー(株)デジタルイメージング事業本部AMC事業部開発4課シニアオプティカルエンジニアの辻村一郎氏。聞き手は、写真家・赤城耕一氏。
写真は記事とは関係ない。
子豚:GR DIGITAL、28mm相当、F3.5、1/290sec、ISO64、-0.3EV,、プログラムAE
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