『写真工業』2008年9月号がおもしろい ― 2008年08月25日 00時00分00秒
今月の『写真工業』誌(2008年9月号)を買った。いくつか興味深い記事があったからだ。『写真工業』は、最近ではクラシックカメラ方面に力が入っていて、興味あるクラカメのときはいいのだが全然興味無いと買う気がしないのであった。しかし、今月号は現代的な問題で気になる記事がいくつかあった。
- 変わる写真の常識/実践編 デジタルの撮影感度と解像度
- そこが知りたい! レンズ周辺光量低下が補正される「ニコンD700」
- そこが知りたい! 歪曲収差が補正される「リコーGX200」
- この時期新規購入の皆さんへ テヒニカの使い方教えます
- テストレポート/テクニカルテストレポート シグマ50mm F1.4EX DG HSM
- 便利な小物:QPカード
「変わる写真の常識/実践編 デジタルの撮影感度と解像度」は、デジタルカメラの露出値を露出計代わりにしてフィルムカメラに移すと、そのままでは上手く写らないという話。フィルムとデジタルカメラの分光感度が違うことからくるものらしい。作例もあって詳しい。但し技術的な説明が少ないのがちょっと残念。
「そこが知りたい! レンズ周辺光量低下が補正される『ニコンD700』」は、35mmフルサイズのデジタル一眼レフがより手の届く価格になったとかニコンD3とどう違うのかといった記事が多い中、D700は周辺光量低下をどのように補正しているかという記事。ニコンの技術者の方が答えている。デジタル以前の設計のレンズもデジタルカメラで使いたいと考えている私には興味深い記事だ。と思ったら、D3やD700の周辺光量低下補正「ヴィネットコントロール」はDタイプとGタイプのレンズでしか機能しないそうだ。距離情報が必要なのだろう。残念。
「そこが知りたい! 歪曲収差が補正される『リコーGX200』」は、ズームレンズ搭載で、GR DIGITALに比べれば歪曲収差があるGXシリーズで画像処理の歪曲収差補正の話。画像処理での歪曲収差補正は、周知されていないだけでかなりのコンパクトデジタルカメラで導入されているらしい。公言していてかつON/OFFできるのは、リコーとニコンぐらいだそうだ。ON/OFFできるというのがミソだと思う。前にも書いたが、レンズの設計上で光学的に歪曲収差をできるだけなくすようにするのが本筋で、これはあくまでも補助的な手段にして欲しい。
「この時期新規購入の皆さんへ テヒニカの使い方教えます」は、できれば一冊の単行本にしてほしいぐらいだ。「このぐらいのカメラを使う人はそんなアンチョコをみないで使えるのが当たり前」といった建前は捨てて説明してくれているのがありがたい。どんな人でも使えるような解説書を用意しないとじり貧になって廃れてしまうかもしれない。大幅加筆で単行本化に期待。マスターテヒニカ、一回使ってみたいんだよねぇ。何を撮るかが問題(笑)。撮るもの決まってから機材の欲望を出せよ>自分(笑)。
「テストレポート/テクニカルテストレポート シグマ50mm F1.4EX DG HSM」は、開放からも安心して使える50mm F1.4レンズのレポート。これで絞りリングがあればなぁ。
「QPカード」は、カラーテストチャートなのだが、QP colorsoft 501というフリーソフトと併せて使うと、自動で「色相の歪み」を補正してくれるのだという。ホワイトバランス補正や単純な色補正よりも色相全体のバランスを補正してくれるという。デジタルカメラだけではなく、フィルムをつかうときもQPカードで1枚撮っておいてフィルムスキャン後にQP colorsoft 501で補正してみたらどうなるのか興味が出てきた。そんなに高いカードではないので、買ってみて試してみたい。しかし、そんな補正をしてみたら、せっかくフィルムごとに特徴ある色相を持っているのに、どのフィルムで撮ってもどのレンズで撮っても変わらない無味乾燥な画像ができそうで不安なのだが(笑)。何のために色々レンズを持っているのか、何のためにフィルムを変えて楽しんでいるのか、意味が失われる危険性が(笑)。
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