Carl Zeiss Distagon T* 2.8/25 ZF とNikkorとのデータ比較2006年11月22日 00時00分00秒

昨日に引き続いて、今日はCarl Zeiss Distagon T* 2.8/25 ZF とNikkorとの比較を。 ただ、Nikkorは24mmなので、まったく同一画角のレンズではないことをご承知おきくだされ。 このあたりの焦点距離1mmの差は大きいので。

比較対象はAi Nikkor 24mm F2.8SAi AF Nikkor 24mm F2.8DAi Nikkor 24mm F2Sだ。

項目Distagon T* 2.8/25 ZFAi Nikkor 24mm F2.8SAi AF Nikkor 24mm F2.8DAi Nikkor 24mm F2S
レンズ構成8群10枚9群9枚9群9枚10群11枚
対角線画角81°84°84°84°
絞り羽根枚数9枚7枚7枚7枚
最小絞り22222222
最短撮影距離0.17m0.3m0.3m0.3m
質量460g275g270g300g
最大径*長さ65*66mm63*46mm64.5*46mm63*51.5mm
フィルター径58mm52mm52mm52mm
価格(税込)93,975円56,700円51,450円87,150円(生産終了)

データはそれぞれ、コシナ、ニコンの製品ページから引用。

しかし、Distagon T* 2.8/25 ZFは重いなぁ。F2.8の単焦点レンズとは思えない重さだ。Ai Nikkor 24mm F2Sは逆にF2クラスの単焦点レンズとしてはかなり軽い。Ai Nikkor 24mm F2.8Sと25gしか違わない。

さて、歪曲収差なのだが、コシナのサイトにある歪曲収差のグラフを見ると、最大で-2%台前半のいわゆる陣笠型の歪曲収差である。樽型の歪曲の割合が増していって途中でそれが減少に転じている。 面白いのは、アサヒカメラ2006年12月号132ページの試用速報では、なぜかAPS-Cサイズのデジタル一眼レフカメラD80で試写している点だ。 もしかしたら陣笠型の歪曲を悟られないように樽型である画面の中央だけで撮ったのかもしれない。 さらになぜか作例のキャプションには「超広角レンズにありがちな陣笠状の歪曲はない。」とある。 たしかにD80での作例ではそうだろうから嘘はついていないと思うが、できればフィルムでも撮って周辺部の歪曲収差がどれぐらいなのか示して欲しかった。 グラフ上では陣笠型のようでも実写では気にならないような収差補正の仕方なのかもしれないからだ。 このあたりちょっと気になる。今後の実写レポートでこの点を注視したい。

比較対象のニッコール24mmは、Ai Nikkor 24mm F2.8(非S)がアサヒカメラ1977年7月号のニューフェース診断室(※)で測定されている。 歪曲収差は最大で-2.2%の樽型で、「超広角としては苦しいところで、特にすぐれているとはいえない。」とされている。グラフを見ると若干周辺で戻しているので弱い陣笠型ともいえなくもない。
※「ニューフェース診断室ニコンの黄金時代1」 2000年朝日新聞社に再録

MTFのグラフは、やはり絞り開放時でDistagon T* 2.8/25 ZFの方が全体にコントラストも高く周辺部まで持ちこたえている。 しかし、F5.6に絞ったときは両者とも似たようなグラフだ。絞ったときに差が出るようではいけないのだろう。

Distagon T* 2.8/25 ZFはF2.8でこの大きさ重さという点と値段をどう評価するか、あとは0.17mという近接能力をどう評価するかで、評価が分かれるだろう。 もちろん実写の結果も大事だ。これも次号以降のカメラ雑誌での特集を期待したい。

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