フルサイズデジタルを必要とする人は少ないのか2006年10月18日 00時00分00秒

いつもコメントをくださるりー様のご報告によれば、ニコンはフルサイズデジタルについて、「高くなる」「必要とする人がどれだけいるか」と言っているようだ。本当に必要とする人は少ないのか。

以前から私は言っているが、135フルサイズが欲しい理由は大きく2点ある。一つ目はレンズの問題。APS-Cサイズに従来の135mm銀塩用レンズを流用するにしても、画角が1.5倍の焦点距離のレンズ相当になってしまうので、広角側が好みの人はレンズの選択肢が少ない。例えば私が好きな28mmだと、従来はAi Nikkor 28mm F2S、Ai Nikkor 28mm F2.8S、Ai AF Nikkor 28mm F1.4D、Ai AF Nikkor 28mm F2.8D、PC Nikkor 28mm F3.5などがあったのだ。ところが、APS-Cサイズで28mmの画角を得ようとすると18mmレンズを使わなくてはならない。ところが、ニコンは18mmレンズをAF・MFとも生産終了にしてしまった(Ai Nikkor 18mm F3.5SとAi AF Nikkor 18mm F2.8D)。上記の28mmレンズも生産終了になったものがあるが、F2.8のAF・MFレンズともにまだ現行品がある。しかし、APS-Cサイズのデジタル一眼レフで28mm相当の画角を実現する単焦点レンズが現行品で存在しないのだ。135サイズの20mmの画角を使いたければ高価な14mmレンズを買わなければいけない。14mmの画角を使いたければ…。

2つ目は、さんざん文句をつけている、ファインダーの見えだ。これもフルサイズなら簡単に従来レベルのファインダーが実現できるはずである(「ニコン D80+DX 18-135mm開発陣に聞く」(デジカメWATCH)(2006年10月17日)参照)。

必要としている人が少ないなんて、ニコンがそう思いたいだけなんじゃないのか。事実、写真家の那和秀峻氏も、

たしかに私はフルサイズがいちばんいいとは思うのだが、APSサイズの妥当な大きさとそれによってもたらされるカメラの適度な大きさも捨てがたいし、フォーサーズの深度の深さと望遠効果も好きである。だから、撮影する目的によってカメラを選べばいいのであって、どれが最高で、どれが最低と言うわけではないと思う。しかし、デジタルワールドはひとつのスタンダード(事実上の標準)を求めて、メーカーもユーザーも必死のようだ。私にはそれが滑稽な争いに見えるのだ。いちばんオールラウンドなフォーマットを求めるとすれば、中間の大きさであるAPSであり、だからこそニコン、キヤノン、ペンタックス、ソニーとメインなメーカーが採用しているのだ。ただ、高感度のノイズとか、ファインダーの見えとか、焦点距離のわかりやすさを求めればフルサイズになるから、私はフルサイズも使う。そういうことを重視するユーザーはフルサイズを使えばいい。また、接写でのピントの深さ(確かさ)とか、とくに望遠系で実質的な焦点距離が2倍になるというメリットを享受するなら、フォーサーズがいい。高感度ノイズがどうのこうのいうなら、フォーサーズを使わないで、APSなりフルサイズにすればいいのである。

と仰っている。 徒然なるままに(2006年10月17日の項)

私のように広角好きやファンダーにうるさい人向きに135フルサイズデジタル一眼レフがあってもいいじゃないか。リコーのGR DIGITALがあまり宣伝に金を掛けていないし、値段も普及クラスのデジタル一眼レフ並みの値段なのに結構売れているのは、APS-Cサイズのデジタル一眼レフの広角側に不満がある人が多いからなんじゃないのか。ニコンは、フルサイズがないのならAPS-Cサイズ向けの広角単焦点レンズを揃えるべきだ。それを出さないのは、必要としている人が少ないのではなく、今はフルサイズ出せないが、いずれ出した時に、フルサイズで使えないレンズが多くなって困るからじゃないのか。ある意味誠実ともいえるが、ある意味怠慢でもある。気長に待つつもりだが、すっきりしない。赤城耕一氏がアサヒカメラなどでチクチクと「APS-C専用レンズは1本も持っていない」といった形で抵抗を示しておられるし、那和氏のようにブログ(HP?)で正論を仰る方も出てきている。プロの方々がフルサイズも出せとたくさん言ってくだされば、ラインナップされるようになるかも。

ニコンは今色々な意味で試練の時だと思う。上記以外にも問題が山積だ。ひとつは、撮像素子前のローパスフィルターに付着するゴミ対策がないので、単焦点レンズを全面的に売り出せない。レンズ交換を頻繁にすれば当然ゴミがローパスフィルターに付着するので、その対策がないニコンは、一般の人にはズームレンズを勧めざるを得ない。また、レンズ内手ブレ補正しかないから、単焦点レンズを勧めようにも、新たに手ブレ補正内蔵の単焦点レンズを出さないと、ボディ内手ブレ補正の会社に見劣りする。しかし、いまから全部のレンズをVR(手ブレ補正)内蔵にするのはコストがかかりすぎる。どうなるんでしょうねぇ。気長に待ちますよ、ニコンさん。

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